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2024-05-04 03:59:24

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決算後の業績上方修正が大きい航空業界!!株価は出遅れ!?

2022/11/16
投資情報部 榮 聡

7-9月期の決算発表を経て、通期予想EPSの上方修正が最も大きいのが航空のサブセクターだったとみられます。株価は市場平均から大きく出遅れており、業界が新型コロナ発生前の正常な状態を取り戻すなら、株価の戻り余地は大きいと考えられます。S&P500指数に採用されている米国の大手航空銘柄をご紹介いたします。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(11/15) 52週高値 52週安値
ユナイテッド エアラインズ(UAL) 44.04ドル 53.12ドル 30.54ドル
デルタ エアーラインズ(DAL) 34.90ドル 46.27ドル 27.20ドル
アメリカン エアラインズ グループ(AAL) 14.61ドル 21.42ドル 11.65ドル
サウスウエスト エアラインズ(LUV) 38.64ドル 50.10ドル 30.20ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 7-9月期決算を経て、最も業績上方修正が大きいサブセクター

今回は7-9月期決算の発表を受けて通期予想EPSの上方修正が目立った航空大手4社を取り上げます。

〇通期EPSの上方修正が最も大きいサブセクター

航空株は、今回の7-9月期決算を経て通期EPSの上方修正が最も大きいサブセクターであったとみられます。

S&P500指数採用銘柄について、通期EPSの修正率(過去4週)を11/11(金)時点でランキングすると、上位5位までにアメリカン航空の120%、ユナイテッド航空の114%、サウスウエスト航空の33%が入り、デルタ航空はランキング28位で9%の上方修正と、いずれも上位となっています。

現在、米国企業の収益環境はドル高による売上・利益の目減り、原材料費・人件費の上昇によるマージン悪化圧力、景気減速による売上見通しの下方修正などで厳しく、上記の時点で採用銘柄500社中、実に300社が下方修正となっています。

その中で航空業界も同様の逆風を受けていますが、一方で経済再開が順調でこれらの逆風を上回る押し上げ要因が働いているとみられます。利益水準が低くなっているため、修正変化率が大きく出るということはありますが、業界全体で業績が上方修正基調という希少なセクターとして注目できるでしょう。

〇航空株の株価推移

株価は図表2の通りで、新型コロナの感染が収束した2021年4月にかけて上昇したものの、その後は2021年秋、2022年初、2022年初夏と感染がぶり返したことを受けて低迷が続いてきました。

S&P500指数は今年大きく下落したとはいえ、2020年初を100とすると123%の位置にあります。一方、航空大手4社の株価は50〜70%の位置にとどまっており、大きく出遅れています。

業績については、第2節で後述するように2022年4-6月期、7-9月期と売上が大きく回復していますが、株価にはこれをはっきりと織り込んだ形跡がみられず、出遅れとなっている可能性がありそうです。

〇新型コロナは大丈夫か?

上記のように株価が出遅れているとしても、新型コロナの感染者数が再び急増するようなことがあると、株価の回復に水を差す可能性がありますので、状況を確認しておきましょう。

世界と米国の新規感染者数は図表3の通り、沈静化の方向にあります。これから感染が広がりやすい北半球の冬を迎えますが、ニュース映像を見ると数ヵ月前から米国人はもうマスクをしていない人が多くなっています。あの状況で感染が増えていないのであれば、さほど警戒する必要はないとみられます。

また、ワクチン接種も進んでいることから、感染しても症状は軽いケースが多く、感染拡大が経済活動の制限につながる度合いはこれまでに比べて小さくなるだろうと考えられます。

なお、必要な回数のワクチン接種を終えている人の割合は、世界で64%、米国で67%です。日本の同割合は80%に達していますので、米国では十分な接種機会があるにもかかわらず、ワクチンを打たない選択をする人が多いことがうかがえます。

図表2 米航空大手4社の株価推移(週足)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 世界と米国の新型コロナ新規感染者数推移(週間)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 米航空大手4社の業績動向

〇米航空大手4社の業績推移

航空大手4社の四半期業績の推移を集計したものが、図表4になります。売上は2022年4-6月期から大きく改善して、新型コロナ前の2019年4-6月期を10%上回り、7-9月期も同じく12%上回って回復モメンタムが強まりつつあります。

一方、純利益は、2019年の同期から約3割低い水準にとどまっています。売上が比較時期を上回っているのに、利益が下回っているのは、債務増加による支払利息の増加、燃料費の上昇などが主因とみられます。ただ、利益も回復傾向にあるため、売上の増加が継続することでいずれ新型コロナ前の水準を回復すると期待できるでしょう。

先行きについては、いずれの会社のCEOも新型コロナによる悪影響が小さくなることで、業績回復の継続を見込んでいます。

特にユナイテッドのCEOは、現在進んでいる景気鈍化の影響を相殺する要因として、(1)新型コロナからの回復局面が継続している、(2)リモートワークの普及で旅行回数が増えている(休暇を柔軟に計画しやすくなった)、(3)サプライチェーン問題で業界の供給は今後数年間制約される見通し、の3つをあげて業績回復に自信を示しています。

4社を比較すると売上については、いずれの会社も2019年7-9月期に比べて10〜13%上回っており、大きな違いはありません。一方、利益水準については同じく−10%から-50%までかなりの違いがあります。

米国内中心のサウスウエストの利益の落ち込みが最も大きくなっているのは、意外感がありますが、運賃の引き上げを抑制していることが一つの要因とみられます。ユナイテッドの利益回復度合いが大きく注目できるでしょう。

〇航空会社に関する中長期の見方

航空株は、資産運用の世界では不人気セクターで、ファンドマネージャーがポートフォリオにあまり組み入れない業種です。これは航空会社の経営基盤がもろく、長期に持続的な利益成長が見込めない構造的な要因があることが(後述します)、歴史的にわかっているためです。

しかし、今回の新型コロナに際する経営危機では「米国経済に欠かせないインフラ」として緊急融資の対象となったことからわかるように、経済で一定の役割が与えられる業種でもあります。

ですから、航空株は長期で保有するというよりは、シクリカルな回復を見届けたら売却するというタイプの株式だと考えられます。今回は業績の回復が目立っているので取り上げましたが、投資する際には売り時も重要になることはご承知おきください。

上述した航空会社が長期に持続的な利益成長が見込めない構造的要因とは、主な経営資源である、航空機、乗務員、空港の発着枠をいずれも市場価格で調達しなければならず、差別化できる工夫の余地が小さいため、超過利潤が持続しにくいことにあるとみられます。

格安航空会社が見出した運航の効率化や大手航空によるマイレージでの顧客の囲い込みなど、このような構造要因に抗う施策もでていますが、いまのところ構造要因のくびきから完全に解放されるほどではないようです。

図表4 航空大手4社の四半期業績推移

注:ユナイテッド、デルタ、アメリカン、サウスウエスト の業績を集計したものです。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表5 2022年7-9月期対2019年7-9月期の業績比較(増減率、%)

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

3 航空大手4社のご紹介

図表5の売上・利益の回復具合、図表6の財務指標を総合的に考えると、投資妙味がありそうなのは、まずはユナイテッド エアラインズ(UAL)、次にデルタ エアーラインズ(DAL)ということになりそうです。

この両社は海外渡航制限緩和の恩恵が大きく、業績の回復度合いも相対的に堅調で、財務体質も航空会社の中ではまずまずと考えられるためです。

アメリカン エアラインズ グループ(AAL)は業績の回復は順調なものの、財務面のリスクが大きいため、避けるべき銘柄となるでしょう。サウスウエスト エアラインズ(LUV)は、財務面では最もしっかりしているものの、海外渡航制限緩和による追加的な恩恵が相対的に小さいでしょう。

〇ユナイテッド エアラインズ(UAL)

米国の航空大手の一角。スターアライアンスの創設メンバーで、日本のANAと緊密な関係です。米航空大手では最大のグローバルネットワークを保持、2021年12月期の米国外売上は32%に達します。超音速旅客機「オーバチュア」の導入に積極的(2029年の運航開始予定)で、オプションを含めて50機を発注しています。

2022年7-9月期の業績回復度合いは、4社のうちで最も良好となっています。10-12月期の調整後営業利益率は、2020年以降で初めて2019年同期のレベルを上回ると予想されています。2023年の調整後売上高税前利益率は約9%への回復を目指しています。

〇デルタ エアーラインズ(DAL)

米国の航空大手の一角。2005年に経営破綻も2007年に復活、ノースウエスト航空との統合で現体制に。エールフランス、大韓航空などと「スカイチーム」アライアンスの創立メンバー。2021年12月期の米国外売上は19%と、UAL、AALに比べると10%ポイント程度小さくなっています。純利益額では、2022年12月、2023年12月期とも4社のうちで最大となる見込みです。顧客体験を向上するため、120億ドルの空港施設改装プロジェクトを進めています。

10-12月期のガイダンスは、売上が2019年10-12月期との比較で5〜9%増、営業利益率は9〜11%まで回復の見込みです。会社は2024年12月期の調整後EPS7ドル以上、フリーキャッシュフロー40億ドルの中期目標に向けた軌道に乗っているとコメントしています。

〇アメリカン エアラインズ グループ(AAL)

米国の航空大手の一角。2011年に親会社のAMRが経営破綻、2013年にUS Airwaysと合併して現体制に。「oneworld」アライアンスの創設メンバー。2022年2月にブラジル最大のゴル航空に出資して独占パートナーシップを締結。2022年にはユナイテッドエアラインズに追随して超音速旅客機「オーバチュア」の導入を決め、オプションを含めて60機を発注しています。

10-12月期のガイダンスは、売上が2019年10-12月期との比較で11〜13%増(輸送能力は同5〜7%減の見込み)で、営業利益率は5.5〜7.5%まで回復する見通しとしています。

〇サウスウエスト エアラインズ(LUV)

米国内線最大手の格安航空会社です。ハブでない地方空港を利用し、単一機材(ボーイング737)で効率運用を行い、航空会社の中では財務体質が堅固です。米国内および近隣地域での売上が100%を占めます。このため、海外渡航制限緩和の恩恵は他の3社に比べて小さいと想定されます。

10-12月期の売上は、2019年10-12月期との比較で13〜17%増のガイダンスです。他社に比べて利益の回復が遅れている一因は、航空運賃の引き上げを抑えていることとみられます。半面、市場シェアは拡大することが見込まれます。

図表6 航空大手4社の財務指標

コード 銘柄名 S&P長期
発行体
格付け
負債/
EBITDA
(前期実績)
(倍)
株主資本
比率
(前期実績)
(%)
営業
利益率
(今期予想)
(%)
総資産
利益率
(今期予想)
(%)
UAL ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス B+ 11.8 7.4 5.1 1.1
DAL デルタ航空 BB 6.8 5.4 7.3 2.5
AAL アメリカン航空グループ B- 28.1 -11.0 2.5 -0.2
LUV サウスウエスト航空 BBB 3.5 28.7 8.7 4.0

※BloombergデータをもとにSBII証券が作成

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

免責事項・注意事項

  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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