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株価が大幅下落したネットフリックスに復活はあるのか!?

2022/10/5
投資情報部 榮 聡

加入者数が2四半期連続でマイナスとなったことで、中長期の成長期待が大きく低下、ネットフリックスの株価は高値から大幅な下落となっています。短期的には計画している広告モデルの導入によって売上成長を再加速できるかが、中長期には「Disney+」との競合や動画ストリーミング市場の拡大余地が、同社復活のカギになるとみられます。

図表1 言及した銘柄

銘柄 株価(10/4) 52週高値 52週安値
ネットフリックス(NFLX) 240.74ドル 700.99ドル 162.71ドル
ウォルト ディズニー(DIS) 101.44ドル 179.63ドル 90.23ドル
アマゾン ドットコム(AMZN) 121.09ドル 188.11ドル 101.26ドル
アップル(AAPL) 146.10ドル 182.94ドル 129.04ドル
アルファベット A(GOOGL) 101.64ドル 151.55ドル 95.56ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 ネットフリックスの復活はあるのか?

今回は大手テクノロジー銘柄の中でも特に年初来の株価下落がきつくなっているネットフリックスについて、今後の復活の可能性を検討してみました。

〇大幅に下落したネットフリックスの株価

ネットフリックスはアマゾン、メタプラットフォームズ、アルファベットとともに「FANG」の一員として、成長性の高いネット企業として並び称されていましたが、成長力を失った可能性が懸念されて株価は大幅な下落となっています(図表2)。

コロナ禍による「巣ごもり」需要と株式市場の過剰流動性を背景に2021年11月には700.99ドルの高値をつけました。しかし、2022年に入ってからはインフレ高進、金利上昇を受けてPERの高い銘柄が売られる流れの中で、70倍を超えるPERで買われていた同社の株価下落はきつくなりました。

さらに、1-3月期の加入者純増がマイナスに落ち込んだことが大きなショックとなり、4月の決算発表を受けて株価は大幅な下落となりました。コロナ下での需要先食いの反動だけでなく、中期的な成長力を失った可能性が懸念されたとみられます。

その後4-6月期の加入者純増もマイナスとなりましたが、会社が7-9月期にはプラスに転じるとのガイダンスを出したことから、過度な悲観は後退して7月以降の株価は徐々に戻り歩調となっています。しかし、依然として高値の3分の1程度の戻りにとどまっており、今後も戻りが続くのか気になるところです。

〇広告モデルの導入が復活につながるか?

同社の短期的な株価動向は、4-6月期の決算リリースで発表された広告モデル導入の成否にかかっているとみられます。

同社が2007年に動画ストリーミングサービスを開始した当初は料金プランは1種類でしたが、消費者の異なる需要に対応するため2014年に3種類のプランに拡張、今回の広告プラン導入は消費者の多様な需要にさらに対応するためと説明されています。

ネットフリックスの現在の料金プラン(米国)は、ベーシックが9.99ドル、スタンダードが15.49ドル、プレミアムが19.99ドルで、それぞれ同時に視聴できるスクリーン数が1、2、4で、料金が高いほどより高画質での視聴が可能となっています。広告ありのプランでは、加入料金の一部を広告で賄うことにより、従来よりも安く提供する見通しです。

ネットフリックスは広告ありプランの導入について広告主に説明を行っており、そのときの説明資料が9/14(水)付のウォールストリートジャーナル紙で報じられて市場の注目を集めています。

それによると、広告ありプランは年内に主要10ヵ国以上で導入する予定で、広告ありプランによる視聴者数(加入契約当たり複数人が視聴できるため、加入者数よりも多いと考えられます)は、2022年末に4.4百万人(うち米国が1.3百万人)、2023年7-9月期に40百万人(うち米国が13.3百万人)に達すると想定されています。

ネットフリックスの2022年6月末の加入者数2.2億人に対して、加入契約当たり平均で2.5人が視聴しているとすると視聴者数は5.5億人と推計されます。40百万人の視聴者数は7%に相当すると計算で、小さくないインパクトが見込まれていると言えるでしょう。

Bloombergのメディア業界アナリストの分析によると、2023年の広告収入は15億ドルになると予想されています。広告収入がない2022年の売上成長は7%まで低下していますが、2023年は広告収入の追加によって12%の成長に高まる可能性があるとしています。

さらに、ネットフリックスの広告単価は、その良質なオーディエンスを背景に市場の平均的な広告単価よりも2倍ほど高くなる可能性があることが指摘されています。その場合にはさらに売上成長が高まる可能性があります。

広告モデルの導入によって売上成長が10%を超える成長に戻るようなら、現在の20倍台前半のPERには割安感が出る可能性があり、注目できるでしょう。

図表2 ネットフリックスの株価(月足、10年)

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表3 四半期加入者数純増の推移(百万人)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 地域別加入者数の推移(各期末、百万人)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 中長期の成長見通しは?

ネットフリックスの業績動向を占ううえで、短期的には前節のように広告モデル導入による効果が重要と見られます。一方、中長期には、Disney+との競争や、市場拡大余地が決め手になると考えられますので、この点について状況を確認してみます。

〇ネットフリックスとDisney+が2強

動画ストリーミング市場には、アマゾン、アップル、アルファベットなどの大手IT企業も参入していますが、加入者数や売上の規模を考えると、ネットフリックスとウォルトディズニーの「Disney+」が2強として君臨すると見込まれています(図表5)。

ウォルトディズニーのDisney+は2019年11月に開始したサービスですが、既に世界で1億5,000万人を超える加入者数を有します。ウォルトディズニーの傘下にあって事業統合が検討されているHuluと合計すると2億近くの加入者数となり、ネットフリックスに肉薄することになります。

ただし、Disney+の加入者数には、インドの動画ストリーミングサービス「Disney+ Hotstar」の加入者数58.4百万人が含まれています。同サービスの平均月間加入料金は1.20ドルと低く(これを除くDisney+は6.29ドルです)、かなり性質の異なる事業の加入者数が合計されていることには留意が必要です。「Disney+ Hotstar」を除くDisney+の加入者数は93.6百万人です。

「Disney+ Hotstar」を除く「Disney+」の加入者数は、ネットフリックスが加入者数を減らした4-6月期にも87.6百万人から93.6百万人に増やしています。ネットフリックスに比べて若いサービスで普及途上にあることもあって、加入者数のモメンタムはネットフリックスよりも強くなっています。

〇消費者への浸透では、ネットフリックスが圧倒的なリードを保つ

一方、加入者数ではネットフリックスに迫りつつあるDisney+ですが、消費者への浸透度合いでは大差をつけられているようです。図表6は米国のTVメディアごとの視聴時間で、ネットフリックスはストリーミング各社だけでなく、地上波TVをも凌駕しています。米国でのネットフリックスの浸透度合いがうかがえる計数です。

ネット業界では、アルファベットがGoogle検索で、メタプラットフォームズがSNSでと、1社が世界市場を総取りするケースがありましたが、動画ストリーミングの市場では、そうならないと見込まれています。各社のサービスを利用するかどうかは、提供されるコンテンツ次第のためです。

Disney+が加入者数を増やして、さらに消費者への浸透度を高めた後も、ネットフリックスとDisney+はこの市場を分け合う可能性が高いと考えられます。

〇中長期の成長ストーリー

動画ストリーミングの成長ストーリーは、従来のリニアTV(番組の放映時間が決まっているTV)の市場の一部が、オンデマンドTV(自分の都合に合わせて視聴できるTV)にシフトすることで、大きな市場を獲得することです。

図表6の米国の状況をみると実際にそのようなことが起きたことがわかります。一方、世界的には米国ほどのシフトが起こっておらず、同様のことがこれから起こると考えられるために成長余地が大きいと考えられます。

ネットフリックスの成長の鈍化は、コロナ禍からの反動や、サービスを始めて間もないDisney+の普及モメンタムの強さなど複数の要因が絡んでおり、本当に中期的な成長力を失ったか、まだ、判断がつかないところがあると考えられます。もし、成長が回復するとすれば、魅力的な投資対象になるでしょう。

ネットフリックスにおいては、世界市場での一層の浸透を念頭に、韓国や日本などでローカルコンテンツの制作に力を入れています。世界的に人気となった韓国の「イカゲーム」などの成功例も出ており、米国企業としては独自の取り組みであるため、注目できるでしょう。

また、これまでのフィクション中心の品揃えから、ドキュメンタリーの制作に展開しており、幅広い視聴者の獲得に向けて布石を打っていることも注目されます。

図表5 主要動画配信サービスの加入者数(単位:百万人)

注:ワーナーブラザーズディスカバリーはネットフリックスとの比較に適する「HBO Max」のみの加入者数を開示していないため、「HBO」「Discover+」を含む加入者数の合計を示しています。
※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表6 米国のメディア別視聴時間(単位:10億時間、2021年9月20日〜2022年5月8日)

※会社資料をもとにSBI証券が作成

2 ネットフリックスの業績動向

ネットフリックス(NFLX) 時価総額:1,063億ドル
決算期 売上高(百万ドル)(前年比) 純利益(百万ドル)(前年比) EPS(ドル)
21.12 29,698 19% 4,894.2 36% 10.75
22.12予 31,751 7% 4,565.2 -7% 10.53
23.12予 34,252 8% 5,376.0 18% 11.24
24.12予 37,547 10% 6,613.0 23% 13.24
株価(10/3): 239.04ドル 予想PER(22.12期):22.7倍

注:予想はBloombergが集計するコンセンサス予想によります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

〇4-6月期決算の業績動向

売上は前年同期比9%増で、加入者数の増加が同6%ポイント、加入者平均単価が同2%ポイント、それぞれ寄与しています。ドル高の影響を除く売上は同13%増、平均単価は同7%増でした。加入者純増は0.97百万人減(ガイダンスは2百万人減)で、1-3月期の0.20百万人減に続いてマイナスとなりました。

営業利益は前年同期比15%減でした。増収にもかかわらず減益となっているのは、同社の費用はドル建ての支出が多いため、利益に対するドル高の影響が大きく、また、売上成長の低下に伴う人員削減やオフィスの縮小などで150百万ドルのリストラ費用を計上したことが影響しています。

〇7-9月期の業績見通しと会社のコメント

7-9月期は、売上が前年同期比5%増、営業利益が同29%減で、営業利益率は16%(前年同期は23.5%)に悪化するとの会社ガイダンスが出ています。売上の約60%が外貨で発生することから、ドル高による目減りの影響が大きくなる見込みです。ドル高の影響を除くベースでは、売上は前年同期比12%増、営業利益は同3%減、営業利益率は20%と見込んでいます。

4-6月期の決算リリースを以下のように結んでいます。

「売上成長を再加速するのはビッグチャレンジだ。しかし、私たちは過去にも困難な時期を経験してきた。私たちはこの会社を柔軟で適応力のあるものにつくってきたので、この機会は私たちやそのハイパフォーマンスカルチャーにとってのすばらしいテストになるだろう。幸運なことに、ストリーミングエンターテインメントにおいて、すべての尺度(売上高、エンゲージメント、加入者数、利益、そしてキャッシュフロー)で業界リーダーの強いポジションにある。私たちは将来について自信をもっているし、楽観している。」

 

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