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米国「歳出・歳入法」で注目の環境関連!!テスラ、クリーンエナジーETF、エンフェーズエナジーほか

2022/9/7
投資情報部 榮 聡

今回は米国で8月半ばに成立した「歳入・歳出法」の気候変動対策から恩恵を受ける銘柄を取り上げます。EV大手のテスラのほか、クリーンエネルギーのETF、太陽光発電関連の銘柄をご紹介いたします。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(9/6) 52週高値 52週安値
テスラ(TSLA) 274.42ドル 414.50ドル 206.86ドル
iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN) 21.67ドル 25.80ドル 16.34ドル
エンフェーズ エナジー(ENPH) 292.82ドル 308.88ドル 113.40ドル
ソーラーエッジ テクノロジー(SEDG) 278.38ドル 389.71ドル 200.86ドル
コンソリデーテッド エジソン(ED) 97.75ドル 101.57ドル 71.52ドル
ファースト ソーラー(FSLR) 127.60ドル 130.95ドル 59.60ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 気候変動対策に約3,700億ドルを投入へ

今回は米国で先月成立した「歳出・歳入法」の気候変動対策の施策から恩恵が期待される環境関連銘柄をご紹介します。景気減速が続く投資環境下ですので、景気動向とは別の要因で業績の下支えがある銘柄への注目は高まると期待できるでしょう。

〇米国の「歳出・歳入法」(通称「インフレ抑制法」)

米国の「歳出・歳入法」は、8/16(火)に成立した法律で、もともとバイデン大統領が実現を目指していたものの、2021年末に不成立となった「ビルド・バック・ベター」法案の規模を縮小して成立に漕ぎつけたものです。

ホワイトハウスはインフレとの闘いをアピールするために「インフレ抑制法」と呼んでいますが、法律の内容からは、「歳出・歳入法」と呼ぶのが適当なようです。主な内容は図表2の通り、企業に対する課税を強化して、環境対策や薬価の引き下げを行うものです。

株式市場にとって直接的にはマイナスと捉えられる施策が多くなっていますが、歳出の85%を占める気候変動対策は関連銘柄に恩恵をもたらすと期待されます。

〇気候変動対策の主な内容

法律全体の予算規模は縮小されましたが、歳出の目玉である気候変動対策には、85%を占めるおよそ3,700億ドルが投入されます。日本円では50兆円を超えますので、インパクトは小さくないでしょう。

具体的な内容は図表3の通り、家庭の太陽光発電装置、電気自動車、省エネ機器などの購入に対するインセンティブが設けられています。

例えば、米国の平均的な家庭の太陽光発電装置に対して30%は7,500ドル(約100万円)に相当します。太陽光発電装置購入の強い動機付けになるのではないでしょうか。

需要が喚起されるため、これらの機器を生産する会社には恩恵が期待されます。米国経済はFRB(米連邦準備制度理事会)による積極的な利上げを受けて景気は減速傾向です。政策による業績の押し上げ効果が期待できる銘柄は注目されやすい環境と言えるでしょう。

図表2 米国の「歳出・歳入法」(インフレ抑制法)の主な施策

※各種報道をもとにSBI証券が作成

図表3 気候変動対策の主な内容

※ホワイトハウスのWEBサイトをもとにSBI証券が作成

2 気候変動対策で恩恵を受ける銘柄

電気自動車最大手のテスラのほか、気候変動対策で恩恵を受ける銘柄について、検討します。

〇環境関連銘柄で別格のテスラ

まず、別格で恩恵が大きいのがテスラと考えられます。気候変動対策では、メーカー別で年間20万台の上限が2023年1月から撤廃されるため、EVの販売台数が大きい同社への恩恵が大きくなります。

2021年の米国でのEV販売でテスラは35.2万台、53%のシェアをもっています。2位のトヨタが5.5万台でシェア8%ですから、ダントツと言っていいでしょう。

法律による恩恵は米国内での組み立てでないと適用されないとの推測もありますが、同社が米国で販売する車の大部分はカリフォルニアのフリーモント工場で製造されているとみられます。

また、同社は今年テキサス州でオースティン工場を立ち上げたところで、2023年中に年間50万台の生産体制にもっていく計画です。気候変動対策による恩恵を大きく受けるポジションを築いていると言えるでしょう。

〇クリーンエネルギーのETF

環境関連の銘柄には小ぶりの会社が多く投資リスクは高めと考えられるため、多数の銘柄に分散投資するETFの利用価値が高いと考えられます。

日本の金融機関が取り扱う、米国上場の環境関連ETFには、ブラックロックの(1) iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)とインベスコの(2)インベ グローバルクリーンエネルギー ETF(PBD)があります。

いずれもグローバルに環境関連銘柄に投資するファンドですが、米国株の組入比率は(1)が47%、(2)が36%ですので(9月2日時点)、「歳出・歳入法」に着目して買うには(1)がより適していると考えられます。

iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETFは、2020年に環境重視のバイデン氏が大統領に当選したことで物色が盛り上がったものの、その後は人気が離散していました。一方、「歳出・歳入法」成立の可能性が高まった7月末頃から上昇して、一時年初来高値を更新しました。

さらに、再生可能エネルギーが市場で注目を集め、同ETFが組成された2008年まで遡ってみると、2019年まで10年以上鳴かず飛ばずの時期がありました。太陽光パネルの生産には中国企業が大挙して参入したことで価格が低下、風力発電では政府による補助金が削減されたことことなどが主因です。

このように相場が枯れ切っていたために、2020年にバイデン大統領の誕生を受けた物色は枯れ木が燃え上がるように大幅な上昇になったとみられます。

なお、同ETFの投資指標をみると、実績PER(過去12か月のEPSベース)は36.1倍と高めとなっています。組入上位銘柄のPERが高いためです。株価の変動性が大きい点には注意が必要でしょう。

〇クリーンエネルギーETFの上位組入銘柄

また、クリーンエネルギーのETFは、環境関連の銘柄を探すときに手がかりとして利用できます。図表5は同ETFの米国株の組入銘柄を組入比率の大きいほうから10銘柄抽出したものです。

これを見ると、太陽光発電関連の銘柄が多いことがわかります。しかも、太陽光パネルを生産している会社は少なく、組入上位30銘柄(米国銘柄以外も含む)で、6位の米国ファースト ソーラー(FSLR)、26位の中国のジンコソーラー ADR(JKS)のみとなっています。太陽光パネルは価格の下落が続き、業績が悪化した企業が多かった結果と考えられます。

一方、太陽光パネルと補完財(※)の関係にある関連機器やサービスは、太陽光パネルの価格下落によって需要が拡大するため、この関係の銘柄が多くなっていると考えられます。インバータや地上システム、パネルの設置サービスなどがこれに相当します。

図表5の上位銘柄から、次節でご紹介いたします。

※補完財とは、相互に補完して効用を得る財の関係のことで、交差価格弾力性が負の値をとる2つの財の関係を指します。例えば、パンの価格が下がると、パンと補完財の関係にあるバターの需要が増えるといったことです。

図表4 iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)の株価チャート

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表5 iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)の組入上位銘柄(米国銘柄のみ抽出)

銘柄名 組入比率
(%)
時価総額
(億ドル)
事業内容 売上
(百万ドル)
純利益
(百万ドル)
エンフェーズ エナジー(ENPH) 10.0 378 マイクロインバータ。 1,382 145
ソーラーエッジ テクノロジー(SEDG) 6.2 149 インバータ最大手。 1,964 169
プラグ パワー(PLUG) 5.7 150 水素燃料電池システム。 502 -460
コンソリデーテッド エジソン(ED) 5.5 349 電力会社。太陽光発電能力大。 13,676 1,346
ファースト ソーラー(FSLR) 5.3 135 太陽光発電パネル。 2,923 469
サンラン(RUN) 2.8 67 住宅用太陽光発電システムの設置。 1,610 -79
ブルーム エナジー コーポレーション A(BE) 1.6 46 固体酸化物燃料電池。 972 -164
オーマットテクノロジーズ(ORA) 1.3 52 地熱と回収エネルギーの発電事業。 663 62
ショールズ テクノロジーズ(SHLS) 1.2 42 太陽光発電の電気バランスシステム。 213 2
アレイ テクノロジーズ(ARRY) 1.1 30 太陽光発電の地上設置システム。 853 -50
  • 注:9月2日時点のデータによります。売上と純利益は直近の通期実績値です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3 環境関連の注目銘柄

 テスラ(TSLA)  時価総額: 8,599億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 53,823 71% 5,471.3 599% 1.62
22.12予 85,240 58% 14,328.6 162% 4.14
23.12予 119,803 41% 20,482.6 43% 5.80
株価(9/2): 270.21ドル 予想PER(22.12期): 65.3倍

・ 「歳出・歳入法」によって、これまであったメーカー当たり20万台の控除の上限が2023年1月から撤廃されます。このため、EVの生産台数が大きいテスラがエコカー控除の恩恵が大きくなります。また、同社は太陽光発電関連の事業を保有しており、同事業も恩恵を受けます。世界でEVシフトが本格化しつつある中、米中欧の3極生産体制が軌道に乗っていることから、業績拡大の継続が期待されます。

・4-6月期は売上が上海工場のロックダウンで1-3月期からは13%の減収となったものの前年同期比では42%増、EPSは同57%増と伸びました。粗利率も25.0%と前年同期の24.1%から改善しており、原材料高による利益率悪化の圧力をかわしています。営業費用は同13%増に抑えられて、利益は市場予想を大きく上回り、通期のコンセンサス予想EPSが引き上げられています。

 エンフェーズ エナジー(ENPH)  時価総額: 397億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 1,382 78% 194.1 26% 1.36
22.12予 2,254 63% 574.5 196% 4.05
23.12予 3,017 34% 711.2 24% 4.96
株価(9/2): 279.07ドル 予想PER(22.12期): 68.9倍

・iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)の組み入れトップ銘柄です(10.0%、9月2日)。原油価格の上昇やロシアからの調達減少懸念から太陽光発電の需要が拡大しており、その恩恵を受けています。4-6月期売上は前年同期比68%増で、1-3月期比でも同20%増と伸びが加速しています。米国市場、海外市場とも市場予想を上回る売上を記録しました。

・同社は2006年にカリフォルニアで創業した家庭用の太陽光発電向けに直流を交流に変換するマイクロインバータを主力製品とする企業です。マイクロインバータは、小型化することで個々の太陽光パネルの裏に取り付けることができるインバータで、従来の複数の太陽光パネルを束ねて一つのインバータで変換する方式に比べて発電パフォーマンスを効率化できるものです。

 ソーラーエッジ テクノロジー(SEDG)  時価総額: 155億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 1,964 35% 150.8 7% 2.73
22.12予 3,073 56% 322.7 114% 5.54
23.12予 3,912 27% 511.6 59% 9.12
株価(9/2): 267.12ドル 予想PER(22.12期): 48.2倍

【太陽光発電向けインバータの最大手】

・iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)の組み入れ3位です(6.2%、9月2日)。家庭や商業施設の太陽光発電で使われるインバータ(直流電流を交流電流に変換する装置)を製造販売する企業。同市場で売上のシェア拡大が続いており、2014年の世界10位、2017年の世界4位から2020年には世界1位にのぼり詰めています。主力製品の「DCオプティマイズドPVインバータ」は2010年以来、34.2ギガワット分の出荷実績があります。4,360名以上の従業員を擁し、34ヵ国に事業所を展開しています。

・2022年の世界の太陽光発電需要は前年比30%以上の増加が見込まれており、インバータでトップシェアをもつ同社の売上は前年比57%増が予想されています。4-6月期の売上は前年同期比52%増、1-3月期比でも11%増でした。一方、コスト増とドル高の影響を受けて調整後の粗利率が26.7%と、前年同期の33.9%から低下、調整後営業利益は同4%増にとどまりました。

 コンソリデーテッド エジソン(ED)  時価総額: 357億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 13,676 12% 1,528.0 9% 4.37
22.12予 14,168 4% 1,613.5 6% 4.51
23.12予 14,642 3% 1,764.6 9% 4.81
株価(9/2): 98.48ドル 予想PER(22.12期): 21.8倍

【米国最大級の太陽光発電能力をもつ電力】

・iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)の組み入れ5位です(5.5%、9月2日)。ニューヨーク州を中心に展開する電力中堅。主要子会社のCECONYは、ニューヨーク市とウエストチェスター郡で約330万世帯に電気、約110万世帯にガスを供給しています。同社は卸売市場で電力を調達して送電・配電に特化した会社です。また、クリーンエネルギー事業にも展開しており、太陽光発電の能力では北米最大級です。48年の連続増配を記録しています。

・同社はニューヨーク市を主市場としていることもあり、パンデミックでは他の電力企業よりも悪影響を大きく受けましたが、2022年12月期の利益はパンデミック前2019年12月期の水準まで回復する見込みです。景気減速局面では、公益事業本来のディフェンシブ性を発揮すると期待されます。4-6月期決算は売上が前年同期比15%増、調整後EPSは同21%増と堅調です。2022年12月期の調整後EPSガイダンスは、4.4〜4.6ドルで維持されました。

 ファースト ソーラー(FSLR)  時価総額: 136億ドル
決算期 売上高(百万ドル)  (前年比) 純利益(百万ドル)  (前年比) EPS(ドル)
21.12 2,923 8% 377.8 -16% 3.53
22.12予 2,596 -11% -32.5 赤字転換 -0.23
23.12予 3,263 26% 227.3 黒字転換 2.23
株価(9/2): 126.41ドル 予想PER(22.12期): −倍

【米国最大の太陽光パネルの会社】

・iシェアーズ Globalクリーンエナジー ETF(ICLN)の組み入れ6位です(5.3%、9月2日)。太陽光パネルを製造している米国企業です。太陽光パネルの世界シェア上位は、中国企業で占められていますが、ファースト・ソーラーは米国企業で唯一トップ10に入っています。米国最大のパネルメーカーであるので、「歳出・歳入法」による恩恵が大きいと考えられます。同社は、一般的な結晶シリコンではなく、テルル化カドミウム(CdTe)を採用することにより、様々な環境下でも高い発電力を持つ製品の開発に成功していることも特徴です。

・22年12月期は上表の通り、前年比減収で赤字の見通しですが、四半期ベースでは業績の改善が顕著です。1-3月期の売上は367百万ドルで前年同期比54%減、4-6月期は621百万ドルで同1%減、7-9月期は855百万ドルで同26%増と急回復が見込まれています。また、8/30(火)には米国で4ヵ所目の新工場の建設などに最大12億ドルを投資すると発表、新工場は2025年の稼働を目指します。「歳出・歳入法」の成立が動機になったとみられます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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