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【中国「独身の日」イベント】 予想外の好スタート、特徴はライブコマースの好調や国潮ブーム

2021/11/10
投資情報部 李 燕

中国最大のネット通販セール「独身の日」イベントが始まりました。今年のイベントをめぐっては、ネット大手への規制強化による影響が懸念されています。しかし、大方の予想に反して、販促イベントは好スタートを切りました。その実態と、今年の「独身の日」の特徴を探ってみたいと思います。

図表1 主な言及銘柄

銘柄 株価(11/9) 52週高値 52週安値
アリババ(09988) 157.10香港ドル 293.00香港ドル 132.00香港ドル
JDドットコム(09618) 301.60香港ドル 422.80香港ドル 236.40香港ドル
ピン多多 ADR(PDD) 83.24米ドル 212.60米ドル 74.12米ドル
美団(03690) 270.40香港ドル 460.00香港ドル 183.20香港ドル
快手(01024) 92.05香港ドル 417.80香港ドル 64.50香港ドル
小米 (01810) 20.35香港ドル 35.90香港ドル 19.86香港ドル
安踏体育用品(02020) 128.20香港ドル 191.90香港ドル 95.60香港ドル
李寧 (02331) 92.75香港ドル 108.20香港ドル 39.55香港ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1「独身の日」イベントの概要

今年で13回目となる「独身の日」イベントは、当初はアリババ(09988)が運営する ECプラットフォーム「天猫(Tmall)」や「淘宝網(Taobao)」などで実施したものです。現在はアリババだけでなく、競合のJDドットコム(09618)やピン多多 ADR(PDD)などが運営しているECプラットフォームも参加しています。流通取引総額(GMV)ベースでは、既に中国および世界最大の“ショッピングフェスティバル”になっています。

「独身の日」は、中国語では「光棍節(こうこんせつ、“光棍”の意味は独身)」です。当初は独身者向け販促イベントで、独りを表す数字「1」が4つ並ぶ11月11日に毎年行われていることから名付けられました。今は独身者にとどまらず、全国民向けの大型販促イベントになっている関係もあり、中国では「双11(ダブルイレブン)」が通称になっています。販促期間も当初の11月11日だけから11月1日-11日のおよそ2週間(予約販売は10月21日)になっています。

「独身の日」イベントのGMVは、2009年第1回目の0.5億元から2020年は8,403億元(EC全体)に拡大しました。主なプレイヤーはEC大手3社(アリババ、JDドットコム、ピン多多)と家電量販を手掛ける蘇寧易購(002024、SBI証券取り扱いなし)に加え、フードデリバリー最大手の美団(03690)、ショート動画1位と2位の抖音(中国版TikTok、未上場)や快手(01024)などです。各社のシェア(2020年)は下記の通りです。イベントの火付け役であるアリババが59%、次いでJDドットコムが25%と、EC大手2社が全体のおよそ85%を占めます。2社のここ数年のGMVの推移は右側のグラフ通りです。

図表2 各社の「独身の日」GMVシェア(2020年)とEC大手2社のGMVの推移

  • ※SyntunデータをもとにSBI証券が作成
なお、2020年の「独身の日」イベントでは、11月11日(1日だけ)のGMVは前年に比べ19%減少しましたが、全イベント期間(11月1日-11日)のGMVは29%増加しました。イベント期間中の商品別GMVは、家電が1位、スマートフォンが2位、アパレルが3位、化粧品が4位、家具が5位でした。家電部門のメーカー別GMVは、美的集団(000333、SBI証券取り扱いなし)が首位で、海爾智家(06690)が2位、小米 (01810)が3位でした。スマートフォン部分のGMV上位3社は、米アップル(AAPL)、ファーウェイ(未上場)、小米となっています。

図表3 2020年「独身の日」イベントの商品別GMV上位5社

  家電 スマートフォン アパレル(注) 化粧品部門
1 美的集団(000333、中国本土上場)* アップル(AAPL、米国上場) ユニクロ(9983、日本上場) エスティ ローダー A(EL、米国上場)
2 海爾智家(06690、香港上場) ファーウェイ(未上場) 波司登国際(03998、香港上場) ロレアル(OR、フランス上場)*
3 小米 (01810、香港上場) 小米 (01810、香港上場) 伊芙麗(未上場) ランコム(未上場、親会社はロレアル(OR))
4 ダイソン(未上場) Vivo(未上場) 太平鳥(603877、中国本土上場)* Whoo(親会社はLG生活健康 (051900、韓国上場))
5 シーメンス(SIE、ドイツ上場)* Realme(未上場) Vero Moda(未上場) 資生堂(4911、日本上場)
  • 注:アパレルはレディースファッションの順位です。*印が付いている銘柄はSBI証券では取り扱っておりません。
  • ※SyntunデータをもとにSBI証券が作成

2今年の「独身の日」イベントの特徴

ネット大手への規制強化による影響

ネット大手に対する規制強化の始まりを象徴する出来事がちょうど1年前に起こりました。それはつまり、アリババ傘下のアントフィナンシャルの上場延期です。それ以降、中国当局はアリババを筆頭に、ネット大手に対する規制を強化しています。足元では、「独身の日」に向けたプロモーションのためのスパム送信を控えるよう通達を出しました。その関係もあり、今年の「独身の日」イベントについては、規制強化による影響を懸念する向きが多いです。

なお、市場ではネット大手への規制強化は、“最悪期を脱しつつある”との見方も出ています。きっかけは、美団に対して課した独占禁止法違反の罰金が市場予想を下回ったからです。その後、海外渡航が禁止されていたとされるアリババの馬雲・会長が欧州を視察していたことが明らかになりました。アリババと中国当局の関係改善を示す出来事として捉えられています。直近では、最も厳しい規制措置(“非営利化”)が敷かれた学習塾の運営をめぐっては、職業試験向けの学習指導サービスなら営利が認められる可能性も出てきました。したがって、今年の「独身の日」イベントは、確かに規制強化の中で行われることになりますが、規制強化の最も厳しい時期というより、むしろ“最悪期を脱しつつある”時期に行われることになりそうです。

スタートは予想外に好調?!

今年の「独身の日」イベントをめぐっては、規制強化による影響に加え、中国恒大の債務問題が消費に与える影響も懸念されています。イベント全期間の取引状況は11月12日以降に発表される予定のため、現段階でその影響を測るのは難しいかもしれません。

一方、販売動向を占ううえで、例年、イベント初日の販売実績が参考になります。そこで、昨年のGMV85%を占めるアリババとJDドットコムの初日の販売状況を確認してみたいと思います。まず、アリババのECプラットフォームでは、販促開始1時間で2,600ブランドの取引額が昨年1日分の取引額を超えました。そのうち、中国新興EVメーカーのシャオペン(米国上場:XPEV、香港上場:09868)も含まれています。海外ブランドでは米アップル(AAPL)が引き続き人気で、販売開始4分間の取引額が昨年の1日分を上回りました。

次に、JDドットコムのECプラットフォームでは、家電と化粧品が販促開始1時間で昨年1日分の取引額を超えました。化粧品はメーカー別で、エスティローダーA(EL)や SK-II(プロクター&ギャンブル(PG)傘下ブランド)が販促開始4時間で昨年1日分の取引額を超えました。スマートフォンは、中国ブランドの小米やOppo(未上場)、Vivo(未上場)などが販促開始1時間で取引額が昨年1日分を超えました。米アップルは、販促開始4時間の取引額が昨年1日分の2倍になりました。

ライブコマースは引き続き堅調

中国のライブコマースのユーザー数は2020年末時点で3.9億人(Eコマース全体の4割弱)に達しており、ライブコマースはますます存在感を増しています。ライブコマース各社の2020年のGMVは、アリババ傘下の「淘宝直播」が約4,000億元、快手が約3,800億元、抖音傘下の抖音小店が約1,000億元と、上位3社が市場シェアおよそ9割を占めます(抖音の場合は、アリババやJDドットコムのECプラットフォームへ接続する分を含めるとGMVは約5000億元です)。中国当局が今年3月にライブコマースに対し規制を強化したこともあり、今年の「独身の日」イベントではライブコマースの動向が注目されました。

アリババは例年、「淘宝直播(Taobaoライブ)」で著名インフルエンサー(李佳キ氏や薇婭氏など)を起用し、ライブ配信プロモーションを実施しています。李佳キ氏と薇婭氏は中国のライブコマースで最も人気のあるインフルエンサーです。今年の「独身の日」イベントで李佳キ氏と薇婭氏は、予約販売日にそれぞれ累計12時間、14時間のライブ配信を実施しました。ライブ配信の累計視聴回数はそれぞれ2.5億回と2.4億回、累計取引額はそれぞれ106.5億元と85.3億元に達しました。2人とも、累計取引額は2020年(それぞれ39.1億元と38.7億元)を大きく上回りました。今のところライブコマースの人気や勢いは続いており、中国当局による規制強化の影響は限定的のようです。

国潮ブームは一層拡大

中国ではここ数年、若者を中心に国産ブランドの人気が高まっています。背景には、以下の要因が挙げられます。

1)昔は“安かろう悪かろう”のイメージが強かった中国製品ですが、近年は値段の割に品質が良くなってきています。
2)過去20-30年間の経済発展を経て、若い世代は上の世代より中国製品や中国カルチャーに対し自信を持つようになりました。
3)欧米諸国の「新疆綿不買運動」をきっかけに、中国では欧米ブランドが不買対象となり、その結果、国産ブランドがより注目されるようになりました。
一部の中国企業が自社のブランドに中国カルチャーを全面的に出していることも、国潮ブームの拡大につながりました。

今年の「独身の日」イベントでも、「国産ブランド」が一つのキーワードとなりました。JDドットコムの「独身の日」イベント前半で最も人気のある5つのブランドには、中国ブランドが4つランクインしました。具体的には、ファーウェイ、小米、安踏体育用品(02020) 、李寧(02331)です。安踏体育用品と李寧はともに中国のスポーツ用品大手です。「独身の日」イベントでは今のところ、世界著名ブランドのナイキやアディダスよりも売れ行きが好調と現地で報じられています。化粧品市場でも中国ブランドは存在感を増しています。著名インフルエンサーの李佳キ氏が予約販売日に行ったライブ配信では、最も売れた化粧品の10ブランドのうち、8ブランドが国産ブランドでした。ライブコマースの女王とも呼ばれている薇婭氏の場合は、取引額トップ10ブランドのうち、7ブランドが国産ブランドでした。国潮ブームは引き続き拡大しているようです。

なお、上記はあくまでも現時点での販売動向です。販促イベントのピークは最終日の11月11日であるため、その日の販売動向がより重要になってきます。他方、例年の経験からすると、販売初日や予約販売の状況はある程度、全体像を反映しています。好調なスタートからすれば、ネット大手への規制強化や中国恒大の債務問題による影響について、過度に心配する必要はなさそうです。

図表4 「独身の日」イベントの関連企業や銘柄

  企業名・銘柄名 主な事業内容・製品
EC大手 アリババ(米国上場:BABA、香港上場:09988) Eコマース、クラウド
JD ドットコム (米国上場:JD、香港上場:09618) Eコマース、物流サービス
ピン多多 ADR(PDD) Eコマース(共同購入が特徴)
美団(03690) フードデリバリー、Eコマース
ライブコマース大手 淘宝直播(アリババ傘下) ライブコマース
快手 (01024) ライブ配信や動画配信
抖音小店(抖音傘下、未上場) ライブ配信や動画配信
国潮ブーム関連 ファーウェイ(未上場) 通信機器、スマートフォン
小米(01810) スマートフォン、IoT家電
安踏体育用品 (02020) スポーツウェア、スポーツ用品
李寧 (02331) スポーツウェア、スポーツ用品
その他 海爾智家 (06690) 冷蔵庫や洗濯機など家電製品
波司登国際 (03998) ダウンアパレル製品
  • ※BloombergをもとにSBI証券が作成

図表5 「独身の日」イベントの関連銘柄のデータ

銘柄
株価
11/10
(香港ドル)
52週高値

(香港ドル)
52週安値

(香港ドル)
予想
PER
(倍)
来期
予想
増収率
(%)
来期
予想
増益率
(%)
アリババ(09988) 157.10 293.00 132.00 17.75 19.95% 15.61%
JDドットコム(09618) 301.60 422.80 236.40 50.18 22.27% 40.76%
ピン多多 ADR(PDD) 83.24* 212.60* 74.12* - 41.08% 2177.78%
美団(03690) 270.40 460.00 183.20 - 37.59% 赤字縮小
快手(01024) 92.05 417.80 64.50 - 36.65% 赤字縮小
小米 (01810) 20.35 35.90 19.86 19.44 21.90% 17.23%
安踏体育用品(02020) 128.20 191.90 95.60 36.65 22.34% 28.01%
李寧 (02331) 92.75 108.20 39.55 52.48 23.00% 26.29%
海爾智家 (06690) 27.45 38.45 22.60 15.84 9.55% 19.72%
波司登国際 (03998) 5.76 6.93 2.96 22.44 17.51% 23.67%
  • 注:業績予想はBloomgergがまとめたコンセンサスで、増益率はEPSベース(調整後)です。
  • *ピン多多 ADR(PDD)は米国上場銘柄のため、株価は「米ドル」です。
  • ※BloombergをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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