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「テーパリング」「経済再開」で存在感が復活する自社株買い!?

2021/10/6
投資情報部 榮 聡

パンデミックをきっかけとするマクロ要因による株式の好需給によって、企業が実施する自社株買いの存在感は薄まっていたと考えられます。しかし、「テーパリング」と「経済再開」によって自社株買いの株式市場での存在感が復活する可能性がありそうです。過去に大きな自社株買いを行った企業を、自社株買いを投資テーマとするETFの組み入れ銘柄からご紹介いたします。

図表1 注目銘柄

銘柄 株価(10/5) 52週高値 52週安値
フォーティネット(FTNT) 298.52ドル 322.00ドル 106.75ドル
オラクル(ORCL) 91.49ドル 92.27ドル 55.14ドル
チャーター コミュニケーションズ A(CHTR) 747.79ドル 825.62ドル 572.46ドル
イーベイ(EBAY) 69.97ドル 77.84ドル 45.36ドル
オールステート(ALL) 128.13ドル 140.00ドル 86.51ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1「テーパリング」「経済再開」で自社株買いの存在感は復活か

今回は米国市場の自社株買いを取り上げます。

新型コロナのパンデミックをきっかけとするマクロ要因による株式の好需給によって、企業が実施する自社株買いの存在感は薄まっていたと考えられますが、「テーパリング」と「経済再開」によって自社株買いの株式市場での存在感が復活する可能性があるためです。
第1節で米国市場の自社株買いの状況を確認、第2節では自社株買いを投資テーマとするETFを取り上げ、第3節では同ETFの組み入れ上位銘柄をご紹介いたします。

企業にとっての自社株買いの意味とは?

自社株買いは、企業にとっては「資金アロケーション」の問題です。保有する現金とキャッシュフローの合計から、運転資金、投資資金、買収などに備える資金を差し引いた、余剰資金を配当と自社株買いに分けて株主に還元するというのが典型的な考え方です。
その意味では、事業収益が堅調で、かつ、大きな投資案件や買収案件がない、成長のピークを過ぎた「安定企業」が活発に行うと考えてよいでしょう。株式市場の言葉では、「バリュー銘柄」に分類される企業が多くなります。
自社株買いは短期的には株式の需給要因ですが、発行済株式数の減少を通じてEPSの増加に寄与するため、ファンダメンタルズ面にも好影響をもたらします。このため、自社株買いの発表は株式市場で通常ポジティブに捉えられます。

自社株買いが回復しつつある

米国企業による自社株買いは業績拡大にともなって年々拡大傾向にありましたが、2020年はパンデミックを受けて企業が手元流動性の確保を優先したため減少しました。しかし、2020年10-12月期からは顕著な増加に転じています(図表2)。
2021年4-6月期には、2019年4-6月期の1,650億ドル、2018年4-6月期の1,910億ドルを上回る1,990億ドルまで回復しています。企業の事業運営に対する自信が回復していることが伺え、新型コロナを克服するに伴い、今後も増加していくと見込まれます。

一方、マクロ要因による株式の好需給はピークアウトへ

「マクロ要因による株式の好需給」とは、(1)FRBによる債券の購入、(2)米国の家計純資産の従来トレンドを上回る増加、を指します。

(1)については、FRBの資産額はパンデミック前の4.2兆ドルから8.5兆ドルに増加して、この差額が新たに金融市場に流れ込みました。しかし、FOMC(米連邦公開市場委員会)で検討されている通り、「テーパリング」(FRBによる資産購入の段階的縮小)として数ヵ月以内に月々の購入額の縮小が開始され、1年数ヵ月後には購入が終了となる見込みです。

(2)については、昨年来の[1]国民への現金支給、[2]住宅価格の上昇、[3]株価の上昇、[4]サービス消費の抑制などで積みあがった資産の一部が株式市場に流れ込んでいると言われます。

図表3の通り、従来の増加トレンドを上回る額は2021年6月末に12兆ドル(約1,300兆円)に達しています。10分の1の1.2兆ドルが株式市場に流れ込んだとしても、過去12ヵ月の自社株買いが約6,000億ドルだったのに比べて、市場へのインパクトは大きいと考えられます。

一方、新型コロナが克服されて経済の再開が進むと、いままで抑えられていた旅行や外食などのサービス消費に回ると考えられ、家計の純資産はピークアウトすると想定されます。そうすると余剰資金として一時的に株式で保有していた資金が流出し、これまでの株式の好需給の一部が後退すると見込まれます。

いままで、上記の(1)や(2)の要因によって自社株買いの存在感は薄くなっていたと見られますが、今後はその存在感を回復すると考えられるでしょう。

図表2 S&P500指数採用企業の配当と自社株買い

S&P500指数採用企業の配当と自社株買い
  • ※S&P Global社の公表資料をもとにSBI証券が作成

図表3 米国家計の純資産額推移

米国家計の純資産額推移
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2"自社株買いETF"インベスコ・バイバック・アチーバーズ(PKW)

自社株買いに着目した投資を考える場合、米国には参考になるETFが上場しています。

自社株買いを投資テーマとしたETF、インベスコ・バイバック・アチーバーズ(PKW)がそれです。同ETFは毎年1月に過去12ヵ月に発行済株式数が5%以上減少した銘柄から組成され、前年に大きな自社株買いを行った企業は、このETFの組み入れ銘柄に網羅されていると期待されます。

自社株買いETFのパフォーマンス

まず、パフォーマンスを確認してみましょう。図表4はインベスコ・バイバック・アチーバーズETFとS&P500指数の値動きを2007年初を100として指数化したものです。2021年9月末までに前者は354、後者は300となっています。自社株買いに着目することは、投資の切り口として長期的に有効であることが確認できます。

一方、短期的には株価の変動が大きくなる局面もあるようです。昨年のパンデミックで株式市場が急落した局面では、S&P500指数以上に下落率が大きくなっています。自社株買いを行っている企業群であるため、下値抵抗が大きいイメージがありますが、短期的にはそうではないこともあるようです。ただ、その後の反発は市場平均を上回り、2020年初からの1年9ヵ月では、ほぼS&P500指数並みまで戻しています。

自社株買いETFの組入上位銘柄

図表5が、同ETFの10/1(金)時点の組入上位銘柄です。組み入れ比率がトップのフォーティネットはサイバーセキュリティ大手で成長企業のイメージが強く、やや意外感があります。

2020年12月期は通期の営業キャッシュフローの10.8億ドルをほとんど自社株買いに回して発行済株式数が5.4%減少したことから、同ETFに組み入れられました。ただ、配当は支払っておらず、元々株主還元に熱心な会社というわけではなく、たまたま、投資案件がなかったために自社株買いを行ったとみられます。

2020年10-12月期の決算リリースでCEOは、「我々の前にある成長機会を考えると、少なくとも今後数四半期は成長に注力する計画だ。」として、自社株買いは当面後退することが示唆されています。

それ以下については、成長のピークを過ぎているけれども、収益は概ね堅調な企業が多く、大きな自社株買いを行っている企業として違和感はありません。

上位の組み入れ銘柄で今期予想EPSの増加が見込まれているものから、5銘柄を次節でご紹介いたします。

図表4 "自社株買いETF"インベスコ・バイバック・アチーバーズ(PKW)とS&P500指数

自社株買いETFインベスコ・バイバック・アチーバーズ(PKW)とS&P500指数
  • 注:最後のデータは2021年9月末です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表5 自社株買いETFの組入上位銘柄

銘柄(コード) 株価
(10/1)
(ドル)
予想PER
(倍)
EPS増加率
今期予想
(%)
株価騰落率
年初来
(%)
ETFの
組入比率
(%)
フォーティネット(FTNT) 298.00 77.0 15.5 100.6 6.1
オラクル(ORCL) 89.74 19.1 0.6 38.7 5.9
チャーターコミュニケーションズ A(CHTR) 738.08 35.1 31.6 11.6 5.2
イーベイ(EBAY) 69.91 17.8 15.0 39.1 5.1
インテル(INTC) 53.86 11.3 -9.7 8.1 4.9
オールステート(ALL) 127.72 8.3 4.1 16.2 4.8
HP インク(HPQ) 28.07 7.5 63.7 14.2 4.2
バイオジェン(BIIB) 283.94 15.3 -44.8 16.0 4.2
アメリプライズ ファイナンシャル(AMP) 268.53 12.3 54.5 38.2 3.9
マケッソン コーポレーション(MCK) 200.02 9.9 17.6 15.0 3.9
  • 注:10/1(金)時点のデータによります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3注目銘柄のご紹介

フォーティネット(FTNT)

総合的なサーバーセキュリティの大手

・米国のネットワーク用セキュリティ・ソリューションのプロバイダーで、ファイアウォール、次世代ファイアウォール、UTM(統合脅威管理)などネットワーク用のセキュリティ機器、関連ソフトウエア、保守サービスを提供します。地域別売上は、米州42%、欧州・中東・アフリカ38%、アジア太平洋20%とグローバルに事業展開しています(2020年12月期)。サイバーセキュリティの専業企業では特許取得数が圧倒的に多く、この分野で重要な地位を占めていることがわかります。

・4-6月期決算は、売上が前年同期比30%増、調整後EPSが同19%増となり、いずれも市場予想を上回りました。通期の売上ガイダンスを30.8〜31.3億ドルから32.1〜32.5億ドルに引き上げています。バイデン政権が大手IT企業にサイバーセキュリティの強化を要請するなど、事業環境は追い風を受けています。自社株買いに関しては、年初に今後数四半期は成長にフォーカスする計画としていた通り、2021年6月末の発行済株式数は前年同期比1%増になっています。

オラクル(ORCL)

データベース管理でトップのソフトウェア企業

・マイクロソフトに次ぐ、世界第2位のソフトウェア企業で、法人向けのデータベース管理システムで世界トップです。新興のアマゾンやマイクロソフトなどに主力市場が侵食されつつあることから、売上の成長率は5%以下にとどまることが多くなっています。ただ、大きい顧客ベースがあり、事業に不可欠な性質のソフトウェアでもあることから、安定した収益を稼いでいます。

・9/13(月)に発表された5-8月期決算は、売上が前年同期比4%増、純利益が同9%増と堅調でした。オンプレミスを含むライセンス部門が前年同期比8%減、ハードウェア部門が同6%減となる一方、クラウドサービスが同6%増となって全体を押し上げています。EPSの計算に使われる発行済株式数は同8%減少して、EPSは同19%増となっています。

チャーター コミュニケーションズ A(CHTR)

意外に堅調な業績

・米国で32百万件の顧客をもつケーブルTV、高速インターネットの大手です。ケーブルTVの事業は、ネットフリックスやディズニー+など動画ストリーミングサービスの台頭を受けて契約数の減少(いわゆる「コードカッティング」)が進んでいますが、高速インターネット契約の増加でカバーして、意外に堅調な増収・増益が続いています。

・4-6月期決算は売上が前年同期比9%増、EPSが同45%増となり、市場予想に対してそれぞれ2%、7%上回りました。この結果を受けて2021年12月期のEPSは6%上方修正されました。4-6月期の高速インターネットの契約数は前年同期比5%増えたうえ、料金引き上げによって売上は同15%伸ばして全体の売上をけん引しました。ケーブルTVの契約件数は前年同期比1%減の16百万件となりましたが、売上は同0.2%増を確保しています。ある意味「枯れた事業」ですが、増収・増益傾向が続く中、株主還元の増加が期待されます。

イーベイ(EBAY)

事業売却で自社株買い計画を増額

・ネット通販の大手。ネットオークションで創業、現在はマーケットプレイス(オンラインモール)が主力事業となっています。世界190ヵ国に事業展開し、マーケットプレイスに参加するセラーが19百万、アクティブ・バイヤーは1.59億人、約15億個の商品が掲載されています(2021年6月末)。クラシファイド事業や韓国事業の売却でコア事業の絞り込みを進める一方、コア事業に関連する決済サービスの強化などに取り組んでいます。

・4-6月期の取引総額は前年同期がパンデミックの影響で押し上げられていたことから前年同期比7%減となる一方、売上は決済サービスなどの強化が効いて同14%増となりました。ただ、粗利額は同4%増にとどまり、営業利益は同4%減でした。クラシファイド事業の売却が完了したことにより、2021年の自社株買いの計画を20億ドルから50億ドルに引き上げています。2021年6月末の発行済株式数は前年同期比6%の減少となっています。

オールステート(ALL)

個人向け損保で米国最大級

・個人向け損害保険で米国最大級の保険会社。全米に専属代理店網を擁し、自動車保険、住宅所有者保険、傷害・医療保険などを販売します。2021年1月に損害保険が主力の同業ナショナル・ゼネラル買収(旧GM傘下のGMAC社)を完了の一方、生命保険部門売却を発表、事業の選択と集中を進めています。昨年はパンデミックの影響で自動車事故が減少したため、自動車保険部門の利益が拡大したものの、足もとではその反動減が出ています。

・4-6月期は主にナショナル・ゼネラルを買収した効果によって売上が前年同期比22%増、純利益は同30%増となりました。オールステートブランド保険の自動車事故は前年同期比47%増となったものの、2019年4-6月期との比較では依然として21%下回っています。着実に自社株買いを進められており、2021年6月末の発行済株式数は前年同期比5%の減少となっています。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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