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ロイヤルティファーマ、医薬品ロイヤルティに投資する「初物企業」がナスダックに上場!!

2020/6/16
投資情報部 榮 聡

IPOの注目点

(1)医薬品のロイヤルティに投資する初物企業

(2)業界の圧倒的トップ、2位の7倍を超える取引実績

(3)売上高純利益率が60%を超える高収益企業

図表1:IPOの概要

企業名(コード)

ロイヤルティファーマ(RPRX)

上場市場

ナスダック

公表日

5/22(金)

上場日(予定)

6/17(水)

予想公募価格

25.0〜28.0ドル

募集・売出し株数

70百万株

公募規模

1,960百万ドル

時価総額概算

167億ドル

  • 注:公募規模は、「募集・売出し株数×予想公募価格の上限」で計算しています。時価総額概算は「IPO後の発行済株式数(オーバーアロットメントを含まない)×予想公募価格の上限」で計算しています。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※SBI証券では米国株式のIPOの申込み等の受付は行っておりません。当社では上場後に取扱銘柄への追加を予定しております。

医薬品のロイヤルティに投資する初物企業

開発中またはすでに開発された医薬品に関してロイヤルティを受け取る権利を取得して医薬品ロイヤルティのポートフォリオを組み、受け取ったロイヤルティで新たな医薬品や医薬品候補に投資して、キャッシュフローの成長を目指す会社です。

同社が事業の対象とする世界の処方薬市場は、人口増、長寿命化、新興国での中間層の増加などを受けて2019年推定の8,770億ドルから2024年予想の1兆2,090億ドルへ、年平均成長率7%で成長すると見込まれています(図表2)。

さらに近年の医療研究の劇的進歩により、分子レベルでの病気の原因やこれを阻止するための潜在的なターゲットが判明しつつあり、新薬開発の余地が広がっています。加えて、新薬開発のコスト上昇も新薬開発資金に対するニーズを高め、業界の資金供給の担い手として同社業務への需要が拡大しています。

業界の圧倒的トップ企業、2位の7倍を超える実績

会社の調査によると医薬品ロイヤルティの取引は1996年から2019年までに250件超あり、取引額は360億ドルと推定されています。そのうち、ロイヤルティファーマによる取引が53%を占めています(図表3)。業界2位のシェアは7%で7倍以上の実績があり、圧倒的なトップ企業と言えます。取引額が5億ドル以上の案件に限ると、ロイヤルティファーマのシェアは83%と、さらに高まります。

売上高純利益率が60%を超える高収益企業

過去3期の売上高純利益率は、17年12月期が76%、18年12月期が77%、19年12月期が65%と、いずれも60%を超える高収益企業です。同社は医薬品のロイヤルティ権利について投資判断する数名の専門家によって運営されているため、有望な薬を目利きする力が備わっていれば、規模の拡大とともに利益率は高まる傾向にあると考えられます。

会社概要

創業者で現CEO(最高経営責任者)のLegorreta氏は元ラザードの投資銀行家で、他の経営陣はJPモルガンチェース、バンクオブアメリカ、シティグループなどでヘルスケアの株式アナリストを務めた人物が占めています。

1996年の創業以来、医薬品のロイヤルティ取得に180億ドルの資金を提供し、現在のロイヤルティ・ポートフォリオは、販売されている医薬品46個と開発後期の候補薬3個からなります。19年12月期に受け取ったロイヤルティは図表4の通りで、大手バイオテクノロジー企業の主力薬が多く含まれています。

上市後まもなくの医薬品や有望なデータが出ている開発後期の候補薬についてロイヤルティの権利を取得することで医薬品開発に付き物の開発失敗によるリスクを抑えることができるとしています。

業績推移

20年2月10日に会社構造の再編が行われています。主要子会社の経済的利益に対する権利は、既存投資家のパートナーシップが41%、上場するA株が59%を所有します。この結果、A株保有者の経済的権利は、新規に投資するロイヤルティの59%、既存のロイヤルティでは48%に限定されます。

19年12月期業績(上記の会社構造の再編を反映した試算ベース)は、売上が18.1億ドル、営業利益は25.6億ドルです。ロイヤルティ資産で10.2億ドルの評価益が発生したため、営業利益が売上よりも大きくなっています。税前利益の25.8億ドルに対して少数株主の持ち分が14.0億ドルあり、純利益は11.8億ドルとなっています。

筆者の見方

株式市場で高い評価がつくことが多い初物企業であること、また、通常の医薬品企業と異なるリスク・リターンのプロファイルであること、規模の拡大とともに収益性が高まる可能性があること、COVID-19のパンデミックを受けて世間のヘルスケア業界に対する期待が高まっていること(世間の薬価高批判が後退する可能性)、など注目できる点が多いIPOと思われます。

図表2:世界の処方薬市場の予想

  • 注:19年から24年まで、いずれも調査会社EvaluatePharmaの予想です。
  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表3:ロイヤルティ取引市場のシェア

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表4:19年12月期の受け取りロイヤルティ上位医薬品と販売企業

医薬品名(適応症)  ロイヤルティの構成比

販売企業

オルカンビなど(嚢胞性線維症治療薬) 19% バーテックスファーマシューティカルズ
タイサブリ(多発性硬化症治療薬) 16% バイオジェン
イムブルビカ(B細胞性腫瘍治療薬) 13% アッヴィ、ジョンソン&ジョンソン
ツルバダなど(HIV治療薬) 12% ギリアドサイエンシズ
ジャヌビアなど(糖尿病治療薬) 7% メルク
  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表5:業績推移

17年12月期

18年12月期

19年12月期

19年
1-3月期

20年
1-3月期

売上高(百万ドル) 1,598 1,795 1,814 435 501
営業利益(百万ドル) 940 1,364 2,563 431 361
純利益(百万ドル) 1,210 1,378 1,176 367 71
  • ※注:19年12月期は、20年2月に行われた会社構造の再編を反映した場合の試算ベースによります。
  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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