米国から1ヵ月余り遅れて日本でも急激にテレワークが広がり、実際にどのようなものか実感されている方が多いのではないでしょうか。新型コロナウイルスの終息とともにテレワーク需要は一旦落ち着くとみられますが、今回の経験を機に中長期に拡大する可能性もありそうです。そこで今回は米国で注目を集めるテレワーク関連銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄
銘柄 | 株価(4/21) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
ズーム ビデオ コミュニケーションズ(ZM) | 143.27ドル | 164.94ドル | 59.94ドル |
リングセントラル A(RNG) | 234.58ドル | 256.60ドル | 104.83ドル |
シトリックス システムズ(CTXS) | 146.64ドル | 152.49ドル | 90.28ドル |
ドキュサイン(DOCU) | 99.33ドル | 105.15ドル | 43.13ドル |
アトラシアン(TEAM) | 148.20ドル | 156.12ドル | 100.28ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
新型コロナウイルスの感染抑止のための緊急事態宣言が発せられて、テレワークされている方も増えているのではないでしょうか。筆者も先週からテレワークを始めましたが、通信インフラ、パソコン、リモートアクセスのサービスやソフトウェアの重要性を実感しているところです。
そこで今回は、米国のテレワーク関連銘柄についてご報告いたします。
新型コロナウイルスの影響で米国においてテレワークの需要が高まったのは、3/4(水)にカリフォルニア州、3/7(土)にニューヨーク州の非常事態宣言が出てからと、日本よりも1ヵ月余り早くなっています。
このためグーグルで「remote work related stocks(リモートワーク関連銘柄)」と検索して出てくる記事は3/16(月)〜3/20(金)付のものが多く、既にひと相場あった感があります。新型コロナウイルスの新規感染者数がピークアウトすると市場の注目も後退して、株価は反落するものもあるでしょう。
しかし、外出自粛の解除は徐々に進む見通しであるほか、一般的に「コロナウイルス」の感染力が増しやすいと考えられる次の冬に備える動きも想定され、引き続き注目できそうです。
また、今回の経験を契機にテレワークは平時においても中長期で広がる可能性がありそうです。従業員にとっては通勤や外出準備の時間が、企業側ではオフィススペースが節減できるため、労働産出物とその効果が測定しやすい職能では特に広がりそうです。
このような背景を踏まえて、米国のETF(上場投資信託)運用会社ディレクションは、「work from home」(家から働く)を投資テーマとし、ティッカーを「WFH」とするETFの立ち上げを計画しているとされます。
ETFのリサーチャーによると、「このETFは既に人気が高く、よく確立された投資テーマである『クラウド』と『サイバーセキュリティ』、および、新型コロナウイルスにより需要が拡大している『遠隔授業』と『文書管理』を統合するものになるだろう」としています。
米国メディアのリモートワーク関連銘柄の記事から、よく名前のあがっている銘柄を図表2にリストアップ、年初来の株価騰落率が高い順に並べてあります。S&P500指数は同期間に11%下落していますので、関連銘柄はいずれもパフォーマンス良好と言えるでしょう。
騰落率が高い銘柄を中心に5銘柄を次節でご紹介いたします。なお、予想PERが非常に高水準になっている銘柄が多い点にはご留意ください。
社歴が浅く利益水準の低い企業が多く、また、売上拡大に対する利益拡大のレバレッジが大きい傾向のあるソフトウェア企業であることが高PERの要因と考えられます。
図表2:米国上場のテレワーク関連銘柄
コード | 銘柄 | 事業内容 | 年初来 株価騰落率 (%) |
時価総額 (億ドル) |
---|---|---|---|---|
ZM | ズームビデオコミュニケーションズ | ビデオ会議システムをクラウドで提供。 | 120.5 | 419 |
RNG | リングセントラル | ビジネスコミュニケーションツールをクラウドで提供。 | 40.2 | 206 |
CTXS | シトリックス・システムズ | リモートアクセスに必要なサービスをクラウドで提供。 | 35.6 | 186 |
DOCU | ドキュサイン | 電子署名サービスをクラウドで提供。 | 35.4 | 183 |
AMZN | アマゾン・ドット・コム | クラウドサービス世界1位。 | 28.5 | 11,840 |
TEAM | アトラシアン | コラボレーションソフトウェアをクラウドで提供。 | 26.5 | 373 |
WORK | スラックテクノロジーズ | チームコミュニケーションツール「Slack」を擁す。 | 25.0 | 156 |
AKAM | アカマイ・テクノロジーズ | 動画配信の企業。リモートアクセスの環境も提供。 | 22.0 | 171 |
MSFT | マイクロソフト | クラウドサービス世界2位、グループチャットの「Teams」を擁す。 | 13.3 | 13,584 |
DBX | ドロップボックス | ファイル共有サービスをクラウドで提供。 | 7.1 | 82 |
- 注:4/17(金)時点のデータによります。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:テレワーク関連銘柄の株価推移
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
市場: NASDAQ | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
20.1 |
623 |
88% |
22 |
黒字転換 |
0.09 |
21.1予 |
917 |
47% |
130 |
499% |
0.42 |
22.1予 |
1,221 |
33% |
173 |
33% |
0.57 |
株価(4/20): 148.99ドル |
予想PER(21.1期): 354.7倍 |
||||
【ミーティング・ソリューション分野のリーダー企業の1社】
|
市場: ニューヨーク | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
19.12 |
903 |
34% |
-38.2 |
赤字縮小 |
-0.46 |
20.12予 |
1,115 |
23% |
85.6 |
黒字転換 |
0.91 |
21.12予 |
1,387 |
24% |
117.1 |
37% |
1.20 |
株価(4/20): 253.11ドル |
予想PER(20.12期): 278.1倍 |
||||
【統合コミュニケーション分野のリーダー企業の1社】
|
市場: NASDAQ | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
19.12 |
3,011 |
1% |
487 |
-13% |
3.60 |
20.12予 |
3,092 |
3% |
697 |
43% |
5.32 |
21.12予 |
3,266 |
6% |
787 |
13% |
6.17 |
株価(4/20): 150.67ドル |
予想PER(20.12期): 28.3倍 |
||||
【バーチャルデスクトップのサービスを提供】
|
市場: NASDAQ | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
20.1 |
974 |
39% |
-208 |
赤字縮小 |
-1.18 |
21.1予 |
1,258 |
29% |
102 |
黒字転換 |
0.51 |
22.1予 |
1,585 |
26% |
171 |
68% |
0.83 |
株価(4/20): 101.80ドル |
予想PER(21.1期): 199.6倍 |
||||
【電子署名サービスを提供する企業】
|
市場: NASDAQ | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.6 |
881 |
42% |
-95 |
赤字転換 |
-0.41 |
19.6 |
1,210 |
37% |
-91 |
赤字縮小 |
-0.38 |
20.6予 |
1,981 |
64% |
342 |
黒字転換 |
1.34 |
株価(4/20): 152.63ドル |
予想PER(20.6期): 113.9倍 |
||||
【DevOpsのリーダーでコラボレーションツールの需要が拡大】
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。