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2024-04-18 09:55:06

マーケット > レポート > 特集レポート > 新型コロナ禍を受けて米国企業の安全性を総点検

新型コロナ禍を受けて米国企業の安全性を総点検

2020/4/8
投資情報部 榮 聡

新型コロナウイルスの封じ込め策により米国の4-6月期GDPは20%以上のマイナスと急激な悪化が見込まれています。落ち込みは一時的とみられるものの、打撃が非常に大きい産業もあるため、企業の財務の安全性について点検しておくことは有用と思われます。注意を要する安全性の低い企業とともに安全性の高い企業についてもご紹介いたします。

図表1:言及した主な銘柄

銘柄 株価(4/7) 52週高値 52週安値
ネットフリックス(NFLX) 372.28ドル 393.52ドル 252.28ドル
アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD) 47.56ドル 59.27ドル 26.03ドル
マイクロソフト(MSFT) 163.49ドル 190.70ドル 118.58ドル
アルファベット A(GOOGL) 1182.56ドル 1530.74ドル 1008.87ドル
アップル(AAPL) 259.43ドル 327.85ドル 170.27ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1米国企業の財務安全性を総点検

今回は企業の信用不安が取りざたされているため、企業の財務安全性に関してご報告いたします。通常の経済状態では、S&P500指数採用企業であれば破産のリスクは小さいだろうとの判断で、収益性を重視して銘柄をご紹介しています。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的な景気後退の可能性が高まり、また、一時的とは言え産業によっては打撃が非常に大きいケースもあるため、安全性が低い企業と高い企業について考えておくことは有用だろうと考えました。

企業の信用不安については、図表2のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドの推移で確認できます。CDSは企業の信用リスクに対する保険のような役割を果たすデリバティブ契約で、信用不安が高まるとスプレッド(保険料率)が上昇します。ハイイールド債の上昇が著しく、リスクが高い企業に対する懸念が高まっていることがわかります。

S&P500指数採用企業を対象に、第2節では「財務の安全性が低い企業」、第3節では「財務の安全性が特に高い企業」をご紹介しています。銘柄の抽出にあたっては、格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)の長期発行体格付けを主な基準としたほか、財務安全性に関係の深い、以下の財務指標を参考にしました。

・負債/EBITDA・・・負債を期間利益の一種であるEBITDA(利払い、税金、償却前利益)で割った数値です。年間の利益をすべて負債の返済に充てる場合、何年かかるかという指標です。この数値が小さいほど負債の返済に関する安全性が高いと言え、企業の安全度を測るうえで使いやすい指標です。

・株主資本比率・・・総資産に占める株主資本の比率を示す指標です。長期的視点から会社の財務体質の安全性を判定でき、株主資本比率が高いほど企業経営の安全度が高いと考えられます。

・営業利益率・・・営業利益を売上高で割った数値で、各業界での競争力の高さがうかがえる指標です。この数値が高いと売上の変動に対する利益の変動が小さくなる傾向があるため、新型コロナウイルスショックによる経済の下振れにも強いと考えられます。

・総資産利益率(ROA)・・・当期純損益を総資産で割った数値で、経営資源である総資産を如何に効率的に活用して利益に結びつけているかを示しています。米国企業は自社株買いが活発なため株主資本が小さい企業も多く、日本でよく使われる株主資本利益率(REO)は使いにくくなっています。

なお、米国には著名な大企業の中に「債務超過」(株主資本比率がマイナス)となっているものがあります(図表3)。「債務超過」は企業が保有する資産で負債を賄えない状態で、日本では信用リスクが高い企業とみられますが、米国では必ずしもそうでない場合がありますのでご注意ください。

債務超過でも平気でいられるのは、その会社のキャッシュフローが非常に安定していると考え、社債を引き受ける債券投資家がいるためです。「債務超過」であっても、キャッシュフローに信頼を置く債券投資家がいる限りは経営に行き詰まることはほぼありません。

米国の企業経営者は「株主利益の最大化」を図る存在で、もし可能ならば債券を発行してでも自社株買いを行って株主に報いるという考え方があります。これが極端なところまで行った企業が図表3に抽出された企業群ということになります。

ただ、キャッシュフローの安定性が損なわれる場合には、急速に窮地に追いやられます。その典型例が昨年から今年にかけてのボーイングと言えるでしょう。主力機種「737MAX」の運航停止で業績が落ち込んでいたところに、新型コロナウイルスによる世界的な渡航制限が追い打ちをかけ、同社のキャッシュフローは急速に悪化して政府に支援を要請するまでになりました。

同社は米国経済全体への影響が大きいため、つぶすことは考えられませんが、キャッシュフローに対する絶大な信頼があっても信用不安に陥ることがある事例となりました。

図表2:信用リスクが高い企業に対する懸念が高まった状態が続いている

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3:直近会計年度で債務超過となっている著名な大企業(S&P500指数採用銘柄対象)

コード 銘柄名 S&P長期
発行者
格付け
負債/
EBITDA
(倍)
株主資本
比率
(%)
営業
利益率
(%)
総資産
利益率
(%)
PM フィリップ・モリス・インターナショナル A 2.7 -22.4 35.3 17.4
HD ホーム・デポ A 2.0 -6.1 14.4 23.6
ABBV アッウ゛ィ A- 4.4 -9.2 39.0 10.6
MCD マクドナルド BBB+ 3.9 -17.3 43.0 15.0
SBUX スターバックス BBB+ 2.8 -32.4 15.4 15.6
ADSK オートデスク BBB 4.6 -2.3 10.5 3.9
BA ボーイング BBB 52.6 -6.2 -2.6 -0.5
  • 注:株主資本がマイナスで、株式時価総額が300億ドル以上の企業です。4/1(水)時点のデータによります。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2財務の安全性が低い企業

格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)の長期発行体格付けが「BB」格以下の銘柄、および、格付けがないものでも財務の安全性が「BB」格以下と考えられる銘柄を図表4にリストアップしています。

新型コロナウイルスによる外出自粛要請や不要不急の消費を抑える動きからネガティブな影響を受けやすい航空会社のアメリカン航空グループ、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス、デルタ航空、アラスカ・エア・グループ、カジノのウィン・リゾーツ、MGMリゾーツ・インターナショナル、ボーイングのサプライヤーであるトランスダイム・グループなどは注意が必要でしょう。

リストアップされた中で日本の投資家にもなじみがあり、保有されている可能性がある銘柄について以下コメントします。事業が順調に拡大しているネットフリックス、AMDについては、特に心配はいらないでしょう。

ネットフリックス(NFLX)
同社は映像コンテンツへの投資が年間数千億ドルと米国のメディア企業でも最大級です。これが先行投資となっているため、財務体質は比較的脆弱です。一方、海外市場を中心に加入者数は順調に拡大しているため、財務体質の弱さが問題になる局面ではないとみられます。また、巣ごもり消費の広がりで恩恵を受けやすいサービスを提供していることから、1-3月期、4-6月期の新規加入者数は高い数字が出ることが期待されています。

アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)
半導体メーカーで、PCやサーバーに使われるCPU(中央演算処理装置)やゲーム機やPCに使われるGPU(画像の表示を補助する) のほか、産業機器や家電などに使用される組み込み半導体などを製造します。業績が低迷した時期が長かったために、財務体質は依然として脆弱ではあります。しかし、PC向けCPUで「Ryzen」、サーバー向けCPUで「EPYC」、GPUで「Radeon」と競争力のある製 品ポートフォリオをそろえたことで、利益率は着実に上昇傾向にあることから、当面心配ないとみられます。

ヤム! ブランズ(YUM)
傘下にKFC、ピザハット、タコベルをもつ世界屈指のファーストフード大手です。中国事業をヤムチャイナホールディングスとして切り離した事業再編に伴って借入が増えて16年12月期に債務超過となり、19年12月末の総資産が52億ドルに対して総負債が132億ドルで、債務超過が80億ドルに達します。19年12月期のEBITDAは21億ドルで収益は比較的安定していると考えられますが、経済ショックに対する脆弱性は否めません。

ギャップ(GPS)
Old Navy、Gap、Banana Republicなどのカジュアル衣料品店を展開する大手アパレルです。低価格帯のOld Navyやスポーツ衣料のATHLETAなどで伸ばそうとしていますが、19年1月期の営業利益率が3.5%と低位で安定してしまっています。財務比率は特段悪くないものの、収益性が低くなっていることが、安全性に対する評価が低い要因とみられます。現在のような経済ショックでは、注意が必要でしょう。

ダウ(DOW)
19年4月にダウ・デュポンから分離した世界最大級の素材・化学メーカーで、包装、インフラ、コンシューマー向けなど幅広い製品を展開しています。表中の19年12月期の営業利益率は-1.8%ながら、一時要因を除いた実績は8.9%、20年12月期予想は7.8%と収益性には問題がありません。ただ、世界的な産業景気の低迷、新型コロナウイルスによる打撃、環境問題を意識したプラスチックの使用削減など事業環境は厳しいものとなっています。

なお、原油価格の大幅な下落で信用不安が高まっている米国のエネルギー企業については、「BB」格以下の銘柄はありませんでした。ただ、1バレルあたり40〜50ドルと言われるシェールオイルの生産コストを下回る原油価格が続くと懸念が高まることは間違いないでしょう。格付けが相対的に低く、「負債/EBITDA」の値が高い、アパッチ(APA)オクシデンタル ペトロリアム(OXY)ノーブル エナジー(NBL)などは注意が必要でしょう。

図表4:財務の安全性が低い企業(S&P500指数採用銘柄対象)

コード 銘柄 S&P長期
発行体
格付け
負債/
EBITDA
(倍)
株主資本
比率
(%)
営業
利益率
(%)
総資産
利益率
(%)
AAL アメリカン航空グループ B 6.2 -0.2 6.7 2.8
COTY コティ B - 28.6 -40.1 -14.4
DISH ディッシュ・ネットワーク B 5.7 36.5 14.7 4.4
LB Lブランズ B+ 6.5 -14.8 2.0 -4.0
LYV ライブ・ネーション・エンタテインメント BB- 5.0 17.4 2.8 0.7
UAL ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス BB- 2.7 21.9 9.9 5.9
WYNN ウィン・リゾーツ BB- 6.9 11.1 13.3 0.9
MGM MGMリゾーツ・インターナショナル BB- 2.9 37.7 30.5 6.4
NFLX ネットフリックス BB- 5.6 22.3 12.9 6.2
IRM アイアンマウンテン BB- 5.9 10.6 18.3 2.1
DAL デルタ航空 BB 1.9 23.8 14.1 7.6
NLSN ニールセン・ホールディングス BB 11.2 16.7 -1.4 -2.8
ALK アラスカ・エア・グループ BB 1.8 33.3 12.1 6.4
AMD アドバンスト・マイクロ・デバイセズ BB 0.8 46.9 9.4 6.4
SBAC SBAコミュニケーションズ BB 8.3 -37.4 29.0 1.7
YUM ヤム・ブランズ BB 5.4 -153.2 34.5 27.6
NLOK ノートンライフロック BB 4.9 36.0 8.0 21.1
CTL センチュリーリンク BB 13.2 20.8 -12.2 -7.8
IT ガートナー BB 4.5 13.1 8.7 3.5
DVA ダビータ BB 4.0 20.2 14.4 4.5
FCX フリーポート・マクモラン BB 3.9 42.8 7.6 -0.6
NRG NRGエナジー BB 3.5 13.4 13.1 38.3
URI ユナイテッド・レンタルズ BB 2.8 20.2 23.0 6.3
LKQ LKQ BB 3.5 39.7 7.2 4.5
UAA アンダーアーマー BB 2.2 44.4 4.5 2.0
HBI ヘインズブランズ BB 3.8 16.8 12.8 8.3
GPS ギャップ BB 3.3 24.2 3.5 3.2
M メーシーズ BB 3.2 30.1 3.8 2.8
ADS アライアンス・データ・システムズ - 14.1 6.0 23.4 1.1
KMX カーマックス - 10.6 17.9 6.5 4.5
TDG トランスダイム・グループ - 7.6 -17.7 36.9 6.5
DOW ダウ - 6.9 22.5 -1.8 -2.4
  • 注:4/1(水)時点のデータによります。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3財務の安全性が特に高い企業

S&Pの格付けが「AA」以上の銘柄、および、格付けがない銘柄でもAA格と同等程度の安全性と考えられる銘柄を、時価総額が1,000億ドル以上と以下の銘柄に分けて図表5にリストアップしています。格付けが高いものを上に、同格付け内では、営業利益率が高いものを上に並べてあります。

新型コロナウイルスショック後の回復局面を念頭に米国株式を買う場合、まず検討に値する銘柄群と言えるのではないでしょうか。マイクロソフト(MSFT)アルファベット A(GOOGL)フェイスブック A(FB)はソフトウェアによる事業を世界的に展開することで、利益率が高く、安定したキャッシュフローを稼得できる事業モデルとなっています。スマートフォンが主力のアップル(AAPL)は現預金の保有が大きいことが知られ、19年9月末には488億ドル(約5.3兆円)を保有しています。

一方、格付けが高い銘柄ながら、気を付ける必要がありそうなのは、エネルギーのエクソン モービル(XOM)シェブロン(CVX) でしょう。原油価格がWTIで20ドル前半まで急落しているため、事業環境が急変しています。すでに両社の営業利益率は、19年12月期にそれぞれ4.5%と0.1%と低くなっていますが、現在のような低い原油価格が続くとなると安全性が低下する懸念があります。

なお、日本の個人投資家の保有が多い、アマゾン ドットコム(AMZN)ビザ A(V)はこのリストに入っていませんが、両社の格付けは「AA−」で比較的安全性が高い銘柄と言えます。

図表5:財務の安全性が特に高い企業(S&P500指数採用銘柄対象)

コード 銘柄名 S&P長期
発行体
格付け
負債/
EBITDA
(倍)
株主資本
比率
(%)
営業
利益率
(%)
総資産
利益率
(%)
株式時価総額1,000億ドル以上
MSFT マイクロソフト AAA 1.4 35.7 34.1 16.4
JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン AAA 1.0 37.7 24.5 9.7
AAPL アップル AA+ 1.5 26.7 24.6 16.1
GOOGL アルファベット AA+ 0.3 73.0 21.1 13.5
FB フェイスブック - 0.3 75.8 33.9 16.0
BRK/B バークシャー・ハサウェイ AA 0.9 52.4 32.2 10.7
XOM エクソンモービル AA 1.6 54.9 4.5 4.0
WMT ウォルマート AA 2.1 34.5 3.9 6.5
CVX シェブロン AA 1.0 61.2 0.1 1.2
株式時価総額1,000億ドル以下
SPGI S&Pグローバル - 1.3 24.7 48.2 20.4
MNST モンスタービバレッジ - 0.0 81.0 33.4 22.9
ISRG インテュイティブサージカル - 0.0 85.1 30.7 15.7
VRTX バーテックス・ファーマシューティカルズ - 0.5 73.2 28.8 16.2
REGN リジェネロン・ファーマシューティカルズ - 0.3 74.9 28.1 15.9
ADP オートマチック・データ・プロセシング AA 0.7 12.9 21.3 5.6
  • 注:4/1(水)時点のデータによります。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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