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10分でわかる!?クラウドコンピューティングと関連銘柄

2019/1/9
投資情報部 榮 聡

米国株式市場では、昨年末にかけての行き過ぎた悲観の修正が進んで落ち着きを取り戻しつつあるようです。一方、今年の市場は米中貿易摩擦が継続する可能性や経済成長の鈍化への対応を迫られると考えられます。そこで今回は、成長鈍化の中でも市場拡大が期待でき、かつ、貿易摩擦との関連性が低い、クラウドコンピューティングとその関連銘柄をご紹介いたします。

図表1:言及したクラウドサービス提供企業

銘柄 株価(1/8) 52週高値 52週安値
アマゾン ドットコム(AMZN) 1656.58ドル 2050.50ドル 1232.03ドル
マイクロソフト(MSFT) 102.80ドル 116.18ドル 83.83ドル
アルファベット A(GOOGL) 1085.37ドル 1291.44ドル 977.66ドル
IBM(IBM) 119.83ドル 171.13ドル 105.94ドル
アリババ グループ ADR(BABA) 146.79ドル 211.70ドル 129.77ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

110分でわかる!?クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティングとは

クラウドコンピューティングとは、コンピュータによる情報処理を自分の手元のパソコンで行うのではなく(クラウドの世界では、自社所有のリソースを「オンプレミス」と呼びます)、インターネットを経由してクラウド事業者のコンピュータで行うサービスのことです。

情報システムの利用者にはクラウドかどうか意識されないこともあるようですが、クラウドではクラウド事業者が管理するコンピュータで情報を処理して、手元のパソコンやスマホは情報処理の結果を表示するディスプレイとしてのみ使用することになります。

調査会社のガートナーが18年8月に公表したリリースによると、パブリッククラウドの市場は16年の182億ドルから17年には295億ドルへ29.5%増加しました。また、クラウドを利用している企業において、クラウド関連の支出は全IT支出の20%を占めるまでに増えており、急速に普及しつつあることがわかります。

一方、2015年の推計でクラウドの普及率は、世界のいずれの市場でも10%以下と見られています。このため、クラウドはまだまだ成長する分野と考えられます。市場をリードするアマゾンドットコムでは、クラウド市場の現状を普及の緒に就いたばかりという意味で「Day1」と呼んでいるそうです。

このため、この分野のリード企業は投資先として注目できるでしょう。また、世界経済が減速する中でも成長が続いていく分野として、現在の市場環境下では、特に注目できそうです。グローバルに事業展開しているのは、アマゾンドットコムやマイクロソフト、IBM、アルファベット(グーグルの親会社)など、日本では、NTTコミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンク、富士通、NECなどがサービスを提供しています。

クラウド普及の背景

企業のITシステムは、80年代のメインフレーム(大型汎用コンピュータによる集中処理)、90年代のクライアント・サーバー(クライアント端末にも処理機能を分散)、2000年代のネットワークコンピューティング(Webブラウザ利用して社内ネットワーク構築)と変化してきましたが、2010年頃からクラウドコンピューティングが普及してきました。

クラウドが普及してきた背景にはさまざまな技術の進歩がありますが、最も重要なものは通信速度の向上と考えられます。図表3は家庭向けの固定通信サービスの通信速度ですが、2000年に比べて2015年には1,000倍速いサービスが提供されています。

データセンターで処理したものも、手元のパソコンで処理したのと違和感のないスピードで表示できるようになったことが、ここ数年でクラウドサービスが普及してきた主要因と見られます。また、通信料金の低下、CPUの高速化、データセンターの大規模化による規模の経済なども重要な要因でしょう。

クラウドを利用する企業側では、ITシステムの一部をクラウドサービスで置き換えることにより、IT投資コストの削減、柔軟なサービス利用、システム構築スピードアップなどのメリットが生じると言われています。

クラウドの種類

クラウドサービスには、さまざまな種類がありますが、サービス提供の形態と利用形態の面から、以下のように分類されます。クラウド関連への投資を考える際には、ざっくりと知っておく必要があるでしょう。

サービス提供形態による分類

・SaaS(Software as a Service)・・・ソフトウェアの利用をサービスとして提供
・PaaS(Platform as a Service)・・・アプリケーションの実行環境、開発環境をサービスとして提供
・IaaS(Infrastructure as a Service)・・・CPUなどのコンピューティングリソースをサービスとして提供

クラウドの利用形態による分類

・パブリッククラウド・・・クラウド事業者がシステムを構築し、ネットワークを介して不特定多数の企業がサービスを利用するもの
・プライベートクラウド・・・クラウド利用者または事業者のデータセンターに利用者専用のクラウド環境を構築するもの
・ハイブリッドクラウド・・・パブリッククラウド、プライベートクラウドやオンプレミスシステムを連携させて活用するもの

図表2:クラウドコンピューティング(イメージ図)

  • ※各種報道をもとにSBI証券が作成

図表3:通信速度の向上

  • 注:家庭向け固定通信サービスのうち、下り通信速度が最大のものによります。
    ※総務省「27年版 通信白書」をもとにSBI証券が作成

2クラウドを実現する技術

クラウドコンピューティングについて調べていると、日常生活ではなじみのない様々な専門用語に遭遇します。そのうち、特に重要と思われるものについて、以下にご紹介いたします。

アマゾンドットコムやマイクロソフトなど広くクラウドサービスを提供している企業に投資するには、ここまで必要ないと思われますが、さらに進んで要素技術を提供している企業への投資を考える場合には、必須の知識と言えるでしょう。

仮想化技術

サーバー(コンピュータ)やストレージ(記憶装置)、OS(基本ソフト)などの情報処理リソースを物理的な構成に捉われず、論理的に統合(物理的に複数あるものを一つに見せかける)したり、あるいは分割(物理的には一つであるものを論理的に複数に見せかける)したりする技術です。データセンターの利用効率を高めることが可能になり、クラウドの普及に大きく貢献した技術と言えるでしょう。

クラウドで特に重要なサーバーの仮想化では、サーバーハードウェア上に論理的な仮想化レイヤーを作成し、複数のOSを同時に実行できるようにします(図表4のハイパーバイザー型)。CPUやメモリなどのハードウェアリソースを共有して利用できるため、効率的なシステム環境が構築できます。また、複数の物理サーバーを集約することで、サーバー台数を減らすことができ、運用コストや環境コストの抑制や削減につなげることが可能です。

代表的なハイパーバイザーには、VMウェアの「VMware vSphere」、マイクロソフトの「Hyper-V」、Linuxの「KVM」などがあります。

コンテナ技術

従来とは異なるサーバー仮想化の技術として注目を集めています。従来のハイパーバイザー型仮想化では、ホストOSの上にゲストOSを重ねることによって、アプリケーションの実行環境を複数構築します。しかし、コンテナ技術では、一つのOSの上に複数のアプリケーション実行環境を構築します(図表4)。

OSが一つであるため、従来の仮想サーバーに比べて高速で起動や停止ができ、仮想化に伴う性能の劣化が少ないことにメリットがあると言われています。

この技術はコンテナ管理ソフトウェアによって可能になり、「Docker」(未上場のDocker社が開発した)と呼ばれるオープンソースソフトウェアが業界標準となっています。「Windows Server 2016」が「Docker」に対応したことから利用が広がっています。

分散処理技術

クラウドが普及する前には、大量のデータを処理するには高速なCPUと大容量のメモリーを搭載したサーバーが必要でした。しかし、今では分散処理技術とクラウドサービスを利用することで、データを複数のサーバーに分散して並列で処理することができるようになっています。

分散処理技術を実現するためのソフトウェアとして、オープンソースで公開されているバッチ処理に適した「Apache Hadoop」(アパッチ ハドウープ)、逐次処理に適した「Apache Spark」(アパッチ スパーク)があります。いずれもマスターサーバーと、その配下にある複数のスレーブサーバーをコントロールして大量データの計算処理を行うものです。

図表4:サーバー仮想化の2つの種類

  • ※各種資料をもとにSBI証券が作成

3クラウドサービスの提供企業

クラウドサービスをグローバルに展開している主要企業と、主に中国で展開して圧倒的シェアを誇るアリババグループをご紹介します。

アマゾン ドットコム(AMZN)
「Amazon Web Services(AWS)」というブランドでクラウドサービスを提供して、現在世界最大のシェアを保有しています(図表5)。2006年にサービス開始、2013年に米中央情報局(CIA)の案件でIBMに競り勝ったことから余技のレベルではないと市場の注目を集め、また、2015年に同部門の業績が開示されて利益の牽引役として期待が高まりました。現在100以上の幅広いサービスを展開し、世界で数百万、日本でも10万以上の顧客を保持しています。

同社の18年7-9月期決算で、AWS部門は売上が66.8億ドル(前年同期比46%増)、営業利益が20.8億ドル(同77%増)となっています。全社の営業利益が37.2億ドルですから、56%を占める収益の柱になっています。

ただし、新規開拓にあたって企業にコンタクトを築く必要があることから、マイクロソフトなど競合他社に比べて手間暇がかかると考えられます。「クラウド業界最大手」の看板を梃子に当面は優位が続くものの、クラウドを新規に利用する企業の規模が徐々に小さくなるに従って競合条件は厳しくなると見られます。一方、非常に積極的なサービスメニューの拡充を行っており、マイクロソフトとのトップ争いの行方が注目されます。

マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは様々なクラウドサービスを提供していますが、本レポートでフォーカスしている企業向けのITサービスでは、「Microsoft Azure」(マイクロソフト アジュール)というブランドで事業展開しています。「Microsoft Azure」は、IaaS、Paasの分野で「AWS」に次ぐ市場シェアをもっています(図表5)。

注目できるのは、同社はメールシステムやビジネスソフトウェアの「Office」などで企業のIT部門と繋がりがあるため、クラウドサービスで新規開拓する場合にも、アマゾンドットコムに比べて有利と考えられることです。超大手企業のクラウド採用が一巡したあと、新規採用企業の規模が徐々に小さくなるときに、同社の優位性が際立ってくると見られます。

同社の収益に占める割合については、18年7-9月期に「Microsoft Azure」を含むインテリジェント・クラウド部門の売上が全社売上の30%を占めています。「Microsoft Azure」の売上額は開示されていませんが前年同期比76%増と部門の成長を牽引する事業となっています。アマゾンドットコムほどではありませんが、クラウドで成長する企業として持つには、十分な大きさになっていると言えるでしょう。尚、Azureに加え、Office 365、LinkedIn、Dynamics 365など企業向けの全クラウドサービスの売上合計は18年6月期に232億ドルと開示されています。

IBM(IBM)
「IBM Cloud」のブランドで展開しています。仮想化されていないサーバー(「物理サーバー」と呼ばれます)を使う、「ベアメタル・クラウド」のサービスを提供しているのが特徴です。ベアメタル(物理サーバー)により、仮想化サーバーに比べてサービス開始までの時間を短縮し、より安定したパフォーマンスが期待できます。また、世界中のデータセンター間を10Gbps以上で結ぶプライベート・ネットワーク網で結んでいることもセールスポイントとなっています。

18年7-9月期の決算リリースによると、同社の過去12ヵ月のクラウド売上は190億ドルで、前年比20%増と成長が続いています。過去12ヵ月の全社売上804億ドルに対する比率は24%となっています。

ただし、同社は企業向けITサービスでトップシェアをもっているため、クラウド化の進展により「オンプレミス」のITサービス売上に減少する部分があります。このため、クラウドに対する拡張営業においてアマゾンやマイクロソフトなどよりも腰が引けていると見られ、企業ITシステムにおける同社のシェアは低下傾向となっています(図表6)。

アルファベット A(GOOGL)
「Google Cloud Platform」というブランドで事業展開しています。グーグルの検索エンジンやGmail、YouTubeなどのサービスで使用していると同等の、高性能なインフラ環境が利用できます。また、ビッグデータの分析や同社が得意とする人工知能を利用した機械学習の機能などにサービスの特徴があります。

クラウド事業が同社収益に占める割合は開示されていません。18年7-9月期の決算リリースでは、グーグル事業の売上336億ドルのうち、広告収入290億ドル以外の「その他売上」46億ドルに含まれています。「その他売上」には「Google Play」などの売上も計上されているため、推測は難しくなっています。

ただ、17年10-12月期決算でクラウド売上が10億ドルを超える事業になったとの会社コメントがあり、これを手掛かりに年間売上は40億ドルを超えていると推定されています。17年12月期の全社売上は1,108億ドルですので、売上構成比は4〜5%と見られ、これを中心的な材料に投資できるほどにはなっていません。ただ、クラウド事業の成長率は主力の検索連動型広告事業よりも高く、売上構成比は年を追うごとに高まっていくと考えられます。


アリババ グループ ADR(BABA)
グローバルシェアでは上位に顔を出してはいないものの、同社のクラウド事業は中国版AWSと言われているため、今後の注目銘柄として取り上げます。同社は中国のeコマースのトップ企業で、よくアマゾンドットコムと比較され、その事業戦略もアマゾンドットコムがeコマースからクラウドや動画へ展開したのと似ています。

クラウド事業は、「Alibaba Cloud」のブランドで展開しています。調査会社のIDCが公表した17年の調査結果で、中国のパブリッククラウド市場のシェアは、1位のアリババが46%、2位のテンセントが10%、3位のチャイナテレコムが8%と、アリババは圧倒的なトップシェアとなっています。

18年7-9月期決算では、クラウド事業の売上は56.7億人民元で、前年同期比90%増加しています。全社売上に占める割合は、7%にまで上昇しています。調整後EBITDA(利払い、税金、償却前利益)は依然として2.3億人民元の赤字であるものの、黒字化にかなり近づいていると見られます。決算リリースによると7-9月期に600を超える新製品と新機能を加えたとしており、非常に積極的な拡大策を採っていることが窺えます。

図表5:クラウドサービスの世界シェア(17年)

企業名

シェア
(%)

シェア変化
(%ポイント)

アマゾンドットコム

10.5

0.7

マイクロソフト

9.3

1.9

IBM

8.9

-0.7

グーグル

4.5

0.6

セールスフォースドットコム

4.5

-0.2

オラクル

2.8

0.4

  • 注:シェア変化は、16年から17年にかけてのシェアの変動を示します。
  • ※各種報道をもとにSBI証券が作成

図表6:企業向けITサービスの世界シェア推移

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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