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配当利回りに着目する「ダウの犬」戦略が有効!?

2018/04/18
投資情報部 榮 聡

一昨年来上昇が続いてきた米国の長期金利がピークアウトして、配当利回りが高い銘柄のパフォーマンスが改善しています。このため配当利回りに着目する投資戦略「ダウの犬」への注目が高まっているようです。そういえば今年は「戌年(いぬどし)」です、「ダウの犬」が有効な年になるのでしょうか?検討してみましょう。

図表1:注目銘柄

銘柄 株価(4/17) 52週高値 52週安値
シスコ システムズ(CSCO) 44.59ドル 46.16ドル 30.36ドル
インターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM) 160.91ドル 171.69ドル 139.13ドル
メルク(MRK) 59.27ドル 66.41ドル 52.83ドル
シェブロン(CVX) 121.46ドル 133.88ドル 102.55ドル
ベライゾン コミュニケーションズ(VZ) 48.85ドル 54.77ドル 42.80ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
1

「ダウの犬」戦略とは?

株式市場のボラティリティが上昇した状態が続いていることに加え、一昨年来上昇基調となってきた10年国債利回りが2月以降ピークアウトの形となったことから、配当利回りの高い銘柄を物色する動きがあります。

このような背景から配当利回りに着目した投資戦略「ダウの犬」への注目が高まっていますので、今回はこれについて検討してみました。

「ダウの犬」は1991年にマイケル・オヒギンズ氏が提唱した、NYダウ構成銘柄の一部を選択してNYダウ指数を上回るパフォーマンスを目指す投資戦略です。ルールは単純で、年末にNYダウ採用銘柄の配当利回りが高い10銘柄を保有して、翌年NYダウを上回るパフォーマンスをあげようとするものです。

同戦略の理論的根拠は、「株価の変動に比べて配当額の変動は低いため、年末に配当利回りが高い銘柄は株価が下落した銘柄を多く含み、次の年にはその反動で株価のパフォーマンスが市場平均を上回る可能性が高い」というものです。米国では一般にも知られ、年末になるとどれが「犬」銘柄になりそうか話題になります。

尚、犬は人間に忠実で愛すべき動物だと思いますが、東西のことわざや日本語にある「犬死に」「負け犬」というようにネガティブな成語・熟語に使われることも多いようです。「ダウの犬」も「ダウのダメ銘柄」といった、意味合いで使われているようです。

18年の「ダウの犬」銘柄は、17年末に配当利回りが高かった図表2でピンクに塗りつぶした10銘柄です。これら銘柄の17年株価騰落率(表の右端)は、NYダウが25%上昇したのに対して、これを上回ったのがシスコシステムズに限られ、その他は大きく下回りました。

3割、4割と上昇した銘柄も多かったことを考えると、確かに17年に株価が冴えなかった銘柄群です。昨年、米10年国債利回りが上昇を続けたために、配当利回りが高い銘柄は市場平均のパフォーマンスを下回り続けました。

しかし、足もとでは変化の兆しが見られます。これら銘柄の平均パフォーマンスをNYダウのパフォーマンスと比較したものが図表3です。2月下旬に10年国債利回りがピークを付けて以降は、「ダウの犬」の相対株価は右肩上がりとなっています。つまり、「ダウの犬」銘柄の平均がNYダウの値動きを上回る傾向が出ています。

ここからNYダウを上回るパフォーマンスをあげるとすれば、要注目でしょう。そこで「ダウの犬」の有効性について、次節で検討しています。

図表2:18年の「ダウの犬」銘柄(赤の塗りつぶし)

銘柄 配当利回り
17年実績
(%)
1株配当
17年実績
(ドル)
17年末
株価
(ドル)
株価騰落
年初来
(%)
17年株価
騰落率
(%)
ゼネラル・エレクトリック 4.8 0.84 17.45 -22.6 -44.8
ベライゾン・コミュニケーションズ 4.4 2.34 52.93 -10.0 -0.8
IBM 3.8 5.90 153.42 2.1 -7.6
エクソンモービル 3.7 3.06 83.64 -6.9 -7.3
ファイザー 3.5 1.28 36.22 0.3 11.5
シェブロン 3.5 4.32 125.19 -4.2 6.4
メルク 3.4 1.89 56.27 1.6 -4.4
コカ・コーラ 3.2 1.48 45.88 -3.0 10.7
プロクター・アンド・ギャンブル 2.9 2.70 91.88 -14.7 9.3
シスコシステムズ 2.9 1.10 38.30 12.3 26.7
インテル 2.6 1.20 46.16 12.3 27.3
ジョンソン・エンド・ジョンソン 2.4 3.32 139.72 -6.5 21.3
マクドナルド 2.2 3.83 172.12 -6.0 41.4
ダウデュポン 2.1 1.52 71.22 -7.1 24.5
ユナイテッド・テクノロジーズ 2.1 2.72 127.57 -3.8 37.8
トラベラーズ 2.1 2.83 135.64 0.5 10.8
ウォルマート 2.1 2.04 98.75 -12.9 42.9
3M 2.0 4.70 235.37 -8.4 31.8
JPモルガン・チェース 2.0 2.12 106.94 3.1 23.9
キャタピラー 2.0 3.11 157.58 -4.7 69.9
ボーイング 1.9 5.68 294.91 11.7 89.4
ホーム・デポ 1.9 3.56 189.53 -8.8 41.4
マイクロソフト 1.8 1.56 85.54 8.8 37.7
ウォルト・ディズニー 1.5 1.56 107.51 -6.7 3.2
アップル 1.4 2.40 169.23 3.3 46.1
アメリカン・エキスプレス 1.3 1.34 99.31 -6.3 34.1
ユナイテッドヘルス・グループ 1.3 2.88 220.46 1.7 16.4
ゴールドマン・サックス・グループ 1.1 2.90 254.76 0.5 6.4
ナイキ 1.1 0.70 62.55 7.5 23.1
ビザ 0.6 0.66 114.02 5.9 46.1
  • 注:4/13(金)時点のデータによります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3:18年「ダウの犬」銘柄のパフォーマンスは改善傾向

  • 注:「ダウの犬」相対株価は、{「ダウの犬」平均÷NYダウ}を計算して指数化したものです。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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「ダウの犬」戦略の検証

「ダウの犬」戦略のパフォーマンスを検証してみましょう。

図表5は、「ダウの犬」のトータルリターン指数とNYダウのトータルリターン指数の年間騰落率の比較です。NYダウに対して勝ったり負けたりですが、09年から17年の9年間平均でダウの犬が17.5%、NYダウが15.5%と、ダウの犬が市場平均を上回っています。

01年から17年の17年間でも、ダウの犬の平均騰落率が10.1%でNYダウの8.9%を上回っており、「ダウの犬」は市場平均を上回る可能性が高い優秀な投資戦略と言えそうです。

ただ、頭に入れておく必要がありそうなのは、図表5の通り過去30年以上米国の10年国債利回りは趨勢的に低下してきて、配当利回りが高い銘柄の評価が進みやすい投資環境だったのではないか、ということです。

一方、米10年国債利回りは、16年7月にブレグジットショックの余波や欧州の信用不安で付けた1.32%をボトムに反発、17年11月のトランプ大統領誕生以降は景気刺激策への期待で上昇基調となり、18年2月に2.95%をつけました。

FOMC(米連邦公開市場委員会)による政策金利予想の中央値は、18年末2.1%、19年末2.9%、20年末3.4%、長期の均衡金利は2.9%で、長期金利も中期的には3%台に上昇していく可能性が高いと考えられています。

長期金利が上昇する環境でも、配当利回りに着目する投資戦略が有効となるかは、注意していく必要がありそうです。

当面については、米中貿易摩擦、企業景況感のピークアウト、米中間選挙に向けての不透明感など金利上昇を抑える要因もあり、配当利回りが注目される投資環境が継続しそうです。

図表4:「ダウの犬」戦略は、平均でNYダウを上回る

  • 注:両指数の年間騰落率の比較です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表5:米長期金利は趨勢として低下してきたが、今後は?

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
2

個別で注目できる銘柄は?

17年の「ダウの犬」銘柄の平均パフォーマンスがNYダウを下回ったことは(2)で述べました。

さらに銘柄ごとのパフォーマンスを見ると、10銘柄中7銘柄はNYダウの騰落率を大きく下回り、NYダウを上回ったのは3銘柄に限られています。注目したいのは、この3銘柄に17年の株価上昇率が89%で1位のボーイングと、同70%で2位のキャタピラーを含んでいたことです。

「ダウの犬」銘柄全体としては、市場平均に負けることはあるものの、その構成銘柄には市場平均を大きく上回るものが含まれていることがあるようです。そこで、18年の「ダウの犬」銘柄から注目銘柄を選んでご紹介いたします。

選択の視点として、(1)法人税減税があったため、企業による設備投資関連が注目できる、(2)市場全体でバリュエーションの高さが気にされているため、予想PERは相対的に低めの企業、(3)EPSの増加が見込まれている、などを考慮して、以下の5銘柄を選びました。

シスコ システムズ(CSCO)
スイッチ、ルーターなど通信インフラ機器の最大手で、TV会議システムなどのアプリケーション、セキュリティなども手掛けます。新しいスイッチなど新製品群の好調で、売上が8-10月期の前年同期比2%減、11-1月期の同3%増、2-4月期ガイダンスの同3〜5%増と改善基調です。さらに、法人税減税を受けて米国企業はITインフラ機器への投資を増やす可能性が高く、事業環境の一段の好転が期待されます。中期的には、ハードウェア事業の成長低下をカバーするため、ソフトウェア事業の構成を高めようとしており、2020年までに50%を目標に動いています。11-1月期のソフトウェア事業の売上構成比は経常収入ベースで33%で、M&Aも視野に入れていると考えられます。

IBM(IBM)
IT機器とITコンサルティングを主力とする企業です。レガシーシステム(古いITシステム)の売上減少を受けて13年から17年まで減収・減益が続いてきましたが、18年12月期は増収・増益への復帰が期待されます。さらに、法人税減税を受けて米国企業はITインフラ機器への投資を増やす可能性が高く、事業環境の一段の好転が期待されます。成長が期待される「戦略上不可欠な売上」(クラウド、モバイルコンピューティング、ビジネス・アナリティクス、セキュリティなど)の17年12月期の売上は365億ドルで前年比11%増、全売上に占める比率は46%まで増えています。

メルク(MRK)
米国の医薬品大手で、医薬品を中心にワクチン、動物用医薬品にも展開しています。株価は薬価引き下げの話が出た16年夏から、市場平均を下回る推移となってきましたが、最近のディフェンシブ株物色の流れの中で回復歩調です。16年半ばに25倍前後であった予想PERは16倍台まで低下しており、薬価引き下げでさらに株価が下落するリスクは小さくなっていると見られます。業績はがん免疫治療薬で先行する「キートルーダ」が牽引すると期待されています。同薬は非小細胞肺がんやホジキンリンパ腫などで承認されていますが、今後の適応拡大によって売上は17年の38億ドルから2022年に112億ドルへの拡大が見込まれています。

シェブロン(CVX)
米国ではエクソンモービルに次ぐ総合エネルギー大手です。配当利回りが高いことに加え、地政学リスクを背景に原油価格が上昇基調となっていることから市場の物色意欲が回ってきています。石油換算生産量が、オーストラリアの天然ガスやパーミアン盆地でのシェールオイルの増産によって17年は前年比5%増、18年ガイダンスが同4〜7%増と、相対的に高い伸びが見込まれている点がポジティブです。また、設備投資や資産買収を抑えて、株主還元を重視する姿勢をとっています。長期の成長については疑問視されるものの、足もとの収益改善の確度が高いと見込まれます。

ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)
大手通信サービス会社で、携帯電話、固定電話、ブロードバンド接続、コンテンツ配信などのサービスを幅広く展開しています。配当利回りは現在でも4.8%と、米国の主要銘柄ではトップ級です。主力のワイヤレス部門は市場飽和と競争激化で売上が停滞して厳しいものの、インターネットTVの「Fios」、インターネットメディアの「Oath」など他分野の貢献によって増収確保に努めています。中期的な成長率の引き上げを目指して5Gのブロードバンドサービスに積極的で、競合に先んじて18年末までに3〜5市場で商業サービスを開始する計画です。

図表6:18年「ダウの犬」銘柄の投資指標

株価
(4/16)
(ドル)
予想
PER
(倍)
売上高
増加率
(%)
(%)
EPS
増加率
(%)
予想
配当
(ドル)
予想配当
利回り
(%)
目標株価
乖離率
(%)
IBM 156.71 11.3 1.4 0.3 6.2 3.9 9.7
シェブロン 119.92 18.8 14.8 84.2 4.5 3.7 13.2
プロクター・アンド・ギャンブル 78.37 18.7 2.9 6.9 2.8 3.6 14.8
エクソンモービル 77.84 16.4 19.5 24.1 3.2 4.1 10.6
メルク 57.17 13.7 4.3 4.9 1.9 3.4 17.4
ベライゾン・コミュニケーションズ 47.66 10.5 1.8 20.9 2.4 5.0 17.4
コカ・コーラ 44.51 21.2 -11.2 9.7 1.6 3.5 11.5
シスコシステムズ 43.00 16.6 2.4 8.5 1.2 2.9 12.3
ファイザー 36.32 12.3 3.6 11.1 1.4 3.8 10.9
ゼネラル・エレクトリック 13.50 14.4 0.9 -10.6 0.5 3.7 23.5
  • 注:データは4/16(月)時点です。目標株価乖離率は、「アナリストの目標株価平均値」の「現在値」に対する乖離率です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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