株式市場で注目されている投資テーマのAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、IC(半導体)、OLED(有機EL)、EV(電気自動車)について現状を確認のうえ、それぞれ最有力と考えられる銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄
銘柄 | 株価(10/3) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
エヌビディア(NVDA) | 179.37ドル | 191.20ドル | 63.70ドル |
テキサス インスツルメンツ(TXN) | 89.94ドル | 90.24ドル | 66.80ドル |
アプライド マテリアルズ(AMAT) | 51.84ドル | 52.63ドル | 27.56ドル |
ユニバーサル ディスプレイ(OLED) | 128.70ドル | 145.30ドル | 47.88ドル |
ソシエダードキミカイミネラデチリ ADR(SQM) | 57.50ドル | 63.80ドル | 26.28ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
注目投資テーマの「いま」をおさらい |
◯AI(人工知能)
AI(人工知能)は、学習・推論・判断といった人間の知能のもつ機能を備えたコンピュータ・システムで、コンピュータが自分で学習する「機械学習」が可能となったことから応用の可能性が広がり、今後の社会に大きな影響を与える技術として注目が高まっています。
既にアルファベット、フェイスブック、アマゾンドットコムなど米国のインターネット大手は、AIを活用して自社サービスの向上および他社との差別化に努めているほか、現在あらゆる産業でAIの活用が検討されていると言われます。
この分野の最有力銘柄として、AIの計算処理に欠かせない存在となっているエヌビディア(NVDA)が有望と考えられます。同社はAIの計算に用いられるGPU(グラフィックプロセッシングユニット)を主力事業とし、かつ、GPUを数値計算に使用するためのソフトウェアを2006年から展開してきたことから、この分野で独占的な地位を築いていると見られます。
人工知能の市場についてより詳しくは、16年12月4日掲載の「人工知能(AI)関連の本命銘柄は?」をご参照ください。
◯IoT(モノのインターネット)
IoTは様々なモノをインターネットに接続することにより、モノを遠隔操作したり、モノから送られる情報を活用する仕組みです。調査機関IHS Technologyの推定によれば、2016年時点でインターネットにつながるモノ(IoT デバイス)の数は173億個で、2016年を起点に2021年までに年平均成長率15%で増加、2020年には約300億に達する見通しです(平成29年度版「情報通信白書」)。
IoTは、「スマート工場」などの産業分野や「コネクテッドカー」と呼ばれる自動車分野では着々と浸透しているようです。一方、身近な家庭周りでは目立った動きが見られていませんでした。しかし、米国の家庭で普及が進むAIを利用した「スマートスピーカー」は、これが司令塔となって家庭内でのIoTが急速に進む可能性が出てきており、注目できるでしょう。
関連銘柄として、インターネットに接続されるモノに搭載される、センサー、マイコン、通信モジュールなどの電子部品が注目されます。半導体では、(1)マイコンが主力事業の一つである、(2)アナログ半導体の技術をもつ(センサーで集めたアナログ情報を処理する必要があるため)、(3)幅広い電子機器メーカーと取引関係がある、ということが選別のポイントと考えられ、これを満たすテキサスインスツルメンツ(TXN)が最有力銘柄と考えられます。
また、普及が進むスマートスピーカーでは、アマゾンドットコム(AMZN)の「エコー」、アルファベット(GOOGL)の「グーグルホーム」が先行しており、注目されます。
モノのインターネットについてより詳しくは、15年5月20日掲載の「離陸直前!! IoT(モノのインターネット)」、また、スマートスピーカーについては、17年5月24日掲載の「注目高まる「スマートスピーカー」、スマホの次の覇権争い!?」をご参照ください。
◯IC(半導体)
半導体市場では、スマートフォンの高機能化による半導体搭載量の増加、ソーシャル・メディア、4Kテレビ、IoTによるデータの爆発的増加、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、スマートカーなど強力な計算機能が必要なプラットフォームの構築などが需要を牽引していると見られます。
これら新しい技術の波によって、数年ごとに好不況を繰り返すことで知られる半導体市場が「スーパーサイクル」(通常のサイクルを超えて成長する)に入っているとの見方も浮上しており、循環的な産業から成長産業として評価し直される可能性があります。
関連業界では半導体製造装置に注目できるでしょう。波の大きい半導体産業の設備投資を担うため、関連業界の中でも最もシクリカル性が高くなっています。もし、成長産業として評価し直されるなら、変化の度合いが最も大きくなると考えられます。
半導体製造装置の企業には、グローバルシェアの上位から、アプライドマテリアルズ、ASML、ラムリサーチ、東京エレクトロンなどがありますが、トップシェアを有し、そのシェアも拡大基調にあるアプライドマテリアルズ(AMAT)が最有力銘柄として注目できるでしょう。
半導体市場についてより詳しくは、16年8月4日掲載の「売上増への転換点!?物色の柱として期待の半導体セクター!!」、17年2月8日掲載の「半導体の大相場がくる!?」をご参照ください。
◯OLED(有機EL)
有機ELディスプレイはフラットパネルディスプレイの一種で、LCD(液晶ディスプレイ)に比べて、(1)バックライトが要らず薄くて軽い、(2)自発光なので省電力、(3)高画質(高コントラスト、反応が速い)などの特長があり、普及が期待されています。家電各社が有機ELテレビへの参入を進めているほか、11月に発売予定のアップル「iPhoneX(テン)」には有機ELディスプレイが採用されることもあり、市場の拡大が注目を集めています。
関連銘柄として、有機ELパネルで9割以上の世界シェアを有するサムスン電子(005930)も最有力銘柄の一つですが、同社はスマホや半導体などの売上も大きく、有機ELへのエクスポージャーは必ずしも高いとは言えません。これに対して、ユニバーサルディスプレイ(OLED)は、有機EL事業が100%を占めるピュアプレイです。有機EL関連で世界最大の特許保有者であり、サムスン電子やLG電子の有機EL生産を陰で支える黒子でもあり、最有力銘柄と考えられます。
尚、10/4(水)日本経済新聞1面で報道されたジャパンディスプレイグループが進める「印刷方式」による有機ELが実現すると、現行のものよりコスト競争力が高いため、注意しておく必要があります。同グループは19年に量産を開始する予定です。
有機ELの市場についてより詳しくは、16年9月7日掲載の「拡大が期待される有機EL!ど真ん中銘柄はコレ!?」、17年5月17日掲載の「注目が高まる有機EL市場!相場はまだ初動!?」をご参照ください。
◯EV(電気自動車)
地球環境への影響に配慮して、EVの普及を促進する動きが広がっています。フランス、イギリスが40年にガソリン自動車の販売を禁止する方針を発表、また、中国政府もガソリン車禁止の導入時期の検討に入ったとの観測も出ています。このような動きに呼応して、世界の自動車メーカーもEVの長期生産目標を発表し、EVへのシフトは世界的な動きになっています。
EV関連の投資として、主要パーツであるリチウムイオン電池が注目できるでしょう。関連銘柄として、米国上場のリチウムイオン電池の関連企業に投資するETFの組入れ銘柄が参考になるでしょう(図表3)。これを見ると、自動車メーカー、電池メーカー、部材メーカーなど幅広い分野に分散投資していますが、組入れ比率が高いのは、リチウムを生産している企業です。
リチウムの生産は事業の性格が鉱業に近く、保有する権益の価値が上昇することで、企業に利益が残り易いことが高い組入れの理由と考えられます。FMC(FMC)は米国の大手化学企業で、ソシエダードキミカイミネラデチリ(SQM)は、チリの企業ですが、米国市場にADRで上場しています。
リチウムイオン電池関連銘柄についてより詳しくは、17年7月26日掲載の「リチウムイオン電池の関連銘柄はコレだ!?」をご参照ください。
図表2:各投資テーマの最有力銘柄の株価推移
- 注:銘柄名横の数字は、15年初を100とした場合の現在の株価水準です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:リチウムイオン電池ETFの組入れ銘柄
市場 |
銘柄(コード) |
組入比率(%) |
---|---|---|
米国 |
FMC(FMC) |
23.6% |
米国 |
ソシエダードキミカイミネラデチリ ADR(SQM) |
18.3% |
韓国 |
サムスンSDI (006400) |
6.3% |
米国 |
テスラ(TSLA) |
5.2% |
米国 |
アルベマール(ALB) |
4.8% |
韓国 |
LG化学 (051910) |
4.7% |
中国 |
比亜迪 (Byd)(01211) |
4.4% |
日本 |
パナソニック(6752) |
4.2% |
日本 |
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674) |
3.8% |
米国 |
エナーシス(当社取扱なし) |
3.1% |
- 注:米国市場に上場しているグローバルXマネジメント社の「グローバルXリチウム&バッテリーテックETF」の組入れ銘柄です(9/29時点)。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
注目銘柄のご紹介 |
市場:米国(NASDAQ) | |||||
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決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.1予 |
89.8 |
30% |
25.2 |
47% |
4.04 |
19.1予 |
100.1 |
11% |
28.1 |
11% |
4.61 |
株価(10/3):179.37ドル |
予想PER(19.1期):38.9倍 |
||||
|
市場:米国(NASDAQ) | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
147 |
10% |
44.6 |
19% |
4.28 |
18.12予 |
152 |
4% |
46.1 |
3% |
4.41 |
株価(10/3):89.94ドル |
予想PER(18.12期):20.3倍 |
||||
|
市場:米国(NASDAQ) | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.10予 |
145 |
34% |
34.7 |
95% |
3.23 |
18.10予 |
159 |
10% |
38.9 |
12% |
3.68 |
株価(10/3):51.84ドル |
予想PER(18.10期):14.1倍 |
||||
|
市場:米国(NASDAQ) | |||||
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決算期 |
売上高(百万ドル)(前年比) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
287.8 |
45% |
100.38 |
108% |
2.00 |
18.12予 |
351.9 |
22% |
135.88 |
35% |
2.69 |
株価(10/3):128.70ドル |
予想PER(18.12期):47.8倍 |
||||
|
市場:米国(NYSE) | |||||
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決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
20.8 |
7% |
4.18 |
57% |
1.59 |
18.12予 |
22.3 |
7% |
4.48 |
7% |
1.72 |
株価(10/3):57.50ドル |
予想PER(18.12期):33.4倍 |
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- ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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