今回は今週末から本格的に発表が始まる、米国の4−6月期決算の注目ポイントと注目銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄
銘柄 | 株価 (7/11) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
プライスライン グループ(PCLN) | 1929.15ドル | 1936.22ドル | 1305.09ドル |
フィリップ モリス インターナショナル(PM) | 117.21ドル | 123.55ドル | 86.78ドル |
ユニオン パシフィック(UNP) | 108.59ドル | 115.15ドル | 87.06ドル |
ハリバートン(HAL) | 42.71ドル | 58.78ドル | 40.12ドル |
ベライゾン コミュニケーションズ(VZ) | 42.89ドル | 56.25ドル | 42.80ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
米4-6月期決算の注目ポイントは? |
4-6月期決算発表の季節となりました。米国の主要企業では、7/11(火)のペプシコ、7/13(木)のデルタ航空を皮切りに、7/14(金)のJPモルガンチェース、シティグループ、ウェルズファーゴの大手銀行から発表が本格化します。
米国では金融政策が引き締められ、経済指標が好悪まちまちとなる中でも、S&P500指数が年初来8%の上昇となっているのは、企業業績の回復が主因と見られるため、今回の決算も重要です。注目ポイントとして以下の3つが考えられます。
◯ポイント1・・・4-6月期の増益率は1-3月期から低下する見込み(図表2)
4-6月期のS&P500指数ベースのEPS増加率は、FactSet社の集計で前年同期比6.5%増が見込まれています(7/6時点)。1-3月期のEPS増加率は14.0%増でしたので、増益率は大幅鈍化の形です。
ただ、1-3月期の増益率が高かったのは、16年1-3月期の落ち込みの反動という面があります。また、決算発表後の結果は発表直前の予想に対して2.9%ポイント上方修正されるのが過去の平均的な動きであることから、10%近い増益での着地が推定されます。ですから、「鈍化」をさほど気にする必要はないと見られます。
◯ポイント2・・・ドル高の影響は1-3月期よりも縮小する見込み(図表3)
昨年11月のトランプ大統領誕生からドル高が進んだことで、1-3月期の決算リリースではドル高による売上・利益の目減りに言及する企業が再度増えました。しかし、4-6月期については、その影響は緩和する見通しです。ドル指数(ユーロ、円、ポンドなど主要通貨に対するドルの価値を指数化したもの)の前年同期比は、1-3月期の6.1%高から4-6月期は0.5%安に転じています。
◯ポイント3・・・業種別にはエネルギー、情報技術、金融、素材などが牽引(図表4)
業種別に増益を牽引するのは、エネルギー、情報技術、金融、素材などとなります。これら業種は、1-3月期にも増益率が高く、業種間の相対的な関係は4-6月期もさほど変わっていないと言えます。
一方、7-9月期の予想まで見渡すと、素材、資本財・サービスなど景気敏感業種の業績モメンタムが強くなると見込まれている点も注目できるでしょう。
図表2:4-6月期の増益率は1-3月期から低下見込み
- 注:S&P500指数採用企業のEPS増加率の推移です。17年2Q以降は、7/6(木)時点の予想です。
- ※FactSet社の公表データをもとにSBI証券が作成
図表3:ドル高の影響は4-6月期には緩和
- 注:ドル指数の四半期平均値の前年同期比です。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4:増益を牽引するのは、エネルギー、情報技術、金融、素材など
- 注:S&P500指数の業種別の予想EPS増加率で、7/6(木)時点です。
- ※FactSet社の公表データをもとにSBI証券が作成
個別に注目できる銘柄は? |
米国市場の主要企業であるS&P100指数の採用企業について、1-3月期決算から4-6月期決算にかけて、売上とEPSの増加率が高まると予想されている企業を抽出しました(図表5)。
{ [4-6月期の予想売上高増加率] - [1-3月期の実績売上高増加率] }と{ [4-6月期の予想EPS増加率] - [1-3月期の実績EPS増加率] }を計算して、両方ともプラスの企業をリストアップしています。
(1)で確認した通り、主要企業全体としては1-3月期から4-6月期に業績は減速となるため、このような条件に合致する銘柄は9つと比較的少数になりました。
この中から、株価動向や予想EPSの修正動向などを考慮の上、5銘柄を注目銘柄としてご紹介いたします。
図表5:1-3月期から4-6月期にかけて業績の伸びが加速見込みの企業
銘柄(コード) | 売上高 増加率 (今回予想) |
売上高 増加率 (前回実績) |
EPS 増加率 (今回予想) |
EPS 増加率 (前回実績) |
売上高 増加率変化 (%ポイント) |
EPS 増加率変化 (%ポイント) |
予想EPS 修正率 (4週) (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ベライゾン コミュニケーションズ(VZ) | -2.2 | -7.3 | 1.7 | -10.4 | 5.2 | 12.0 | -0.2 |
プライスライン グループ(PCLN) | 16.8 | 12.6 | 20.5 | 11.3 | 4.1 | 9.2 | 0.5 |
フィリップ モリス インターナショナル(PM) | 6.5 | -0.3 | 6.7 | 0.0 | 6.8 | 6.7 | 0.1 |
アルトリア グループ(MO) | 3.1 | 1.3 | 7.0 | 1.4 | 1.8 | 5.6 | 0.1 |
ユニオン パシフィック(UNP) | 8.6 | 6.3 | 18.3 | 13.8 | 2.3 | 4.6 | 0.3 |
アップル(AAPL) | 6.2 | 4.6 | 10.8 | 10.5 | 1.5 | 0.2 | -0.2 |
AT&T(T) | -1.6 | -2.9 | 2.9 | 2.8 | 1.3 | 0.1 | -0.1 |
ハリバートン(HAL) | 26.4 | 1.9 | 黒字転換 | -42.9 | 24.5 | - | 1.4 |
ボーイング(BA) | -6.6 | -7.3 | 黒字転換 | 15.5 | 0.7 | - | 0.1 |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
注目銘柄をご紹介 |
市場:NASDAQ |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
124 |
15% |
36.8 |
18% |
73.62 |
18.12予 |
142 |
15% |
43.0 |
17% |
85.54 |
株価(7/10):1,921.82ドル |
予想PER(17.12期):26.1倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
283 |
6% |
76.3 |
11% |
4.90 |
18.12予 |
306 |
8% |
84.8 |
11% |
5.47 |
株価(7/10):118.16ドル |
予想PER(17.12期):24.1倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
211 |
6% |
46.4 |
11% |
5.77 |
18.12予 |
222 |
5% |
50.1 |
8% |
6.44 |
株価(7/10):108.50ドル |
予想PER(17.12期):18.8倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
202 |
27% |
8.51 |
黒字転換 |
0.98 |
18.12予 |
246 |
22% |
22.51 |
165% |
2.40 |
株価(7/10):42.32ドル |
予想PER(17.12期):43.2倍 |
||||
|
市場:NYSE |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.12予 |
1,224 |
-3% |
152 |
1% |
3.74 |
18.12予 |
1,228 |
0% |
155 |
2% |
3.82 |
株価(7/10):43.20ドル |
予想PER(17.12期):11.6倍 |
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。