米国企業の16年1-3月期決算発表が4/11(月)のアルコアを皮切りに、4/18(月)の週から本格化します。米株式市場は年初の急落から回復してきましたが、予想PERは既に17倍を超えてきたため、さらなる上値を期待するには企業業績がこれまでの停滞から抜け出すことが必要です。ドル高による業績へのマイナスの影響が緩和する中、これまで逃げ水のように遠のいてきた収益の底入れが実現するか注目です。
今回は15年10-12月期から16年1-3月期にかけて業績モメンタムの改善が予想されている銘柄をスクリーニングで抽出して、以下の5銘柄をご紹介いたします。同様の手法で選んだ、前回(15年10-12月期)の決算プレビューで取り上げた銘柄のパフォーマンスは良好でした(図表4)。
図表1:1-3月期決算の注目銘柄
銘柄 | 株価(4/4) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
タイム ワーナー(TWX) | 73.56ドル | 91.34ドル | 55.53ドル |
プライスライン グループ(PCLN) | 1281.76ドル | 1476.52ドル | 954.02ドル |
マイクロソフト(MSFT) | 55.43ドル | 56.85ドル | 39.72ドル |
アクセンチュア(ACN) | 115.50ドル | 116.52ドル | 88.43ドル |
ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMY) | 65.97ドル | 70.87ドル | 51.82ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
業績停滞を抜け出す決算となるか! |
米国企業の1-3月期決算発表は、4/11(月)アルコアを皮切りに、4/18(月)の週から本格化します。
米株式市場は年初の急落から回復してきましたが、予想PERは既に17倍を超えてきたため、さらなる上値を期待するには企業業績がこれまでの停滞から抜け出すことが必要です。
S&P500指数採用企業のEPSの動向を確認しますと、図表2の通り14年3Q(7-9月)をピークに15年4Q(10-12月)まで、ドル高や新興国経済の減速を受けて低下傾向となっています。
前年比では15年10-12月期に4.4%減で底入れして、16年1-3月期には0.7%減へ改善する見通しとなっています。しかし、15年10-12月期決算発表前には、15年7-9月期に底入れする見通しでしたので、また今回も逃げ水のように遠のいていかないか、注意して見ていく必要がありそうです。
米企業業績が改善すると見込まれる重要な要因は、ドル高による業績へのマイナスが緩和していくと期待される点です。図表3はドル指数の前年同期比を四半期ごとに計算したものですが、15年7-9月期がピークでその後低下しています。企業業績へのマイナスのインパクトは緩和していくと期待されます。
実際に15年10-12月期の決算リリースを主要企業についてチェックしたところでは、為替の影響がさほど緩和しているようには見えませんでした。
しかし、3/22のナイキと3/24のアクセンチュアの15年11月-16年2月期の決算では、ドル高による売上・利益の押し下げが緩和していることが明らかになっていました。
このため今回の決算では為替の重しが軽くなることがはっきり数字として表れ、経営者から今後のドル高の影響の緩和について前向きな発言が聞かれると期待されます。
図表2:S&P500指数企業のEPS(白抜きは予想です)
- 注:予想はBloomberg集計によるコンセンサス予想です。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:ドル高による業績の押し下げは15年7-9月期がピークでした
- 注:米連邦準備制度理事会(FRB)が発表している貿易加重のドル指数の月次終値を四半期で平均して、前年同期比の変化率を計算しています。16年の2Qと3Qは16年4/1の119.8268を使って計算しています。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
決算で注目の業績モメンタム改善銘柄はコレ!? |
前回の四半期決算プレビューレポート「株安を止める決算となるか!10-12月の米決算で注目できるのはコレ!?」(16年1/13掲載)で取り上げた5銘柄の株価騰落率を検証したところ(図表4)、5銘柄のうち4銘柄がS&P500指数の上昇率9.3%を上回り、パフォーマンスが良好でした。
そこで今回も前回同様に、15年10-12月期決算実績から16年1-3月期決算にかけて、業績モメンタムの改善が予想されている銘柄を以下の条件でスクリーニングしています。
【スクリーニング条件】
1. 16年1-3月期予想の増収率が15年10-12月期実績よりも高い
2. 16年1-3月期予想のEPS増加率が15年10-12月期実績よりも高い
3. 過去3ヵ月の通期予想EPSの修正率が-1%以上
4. S&P100指数採用銘柄
抽出された銘柄を「増収率の差」によってランキングしたのが図表5です。この中から今期予想EPSの増加率、予想PERの水準などを総合的に勘案した5銘柄を注目銘柄として取り上げました(赤字でハイライト)。
映画のヒットと堅調な業績で低いバリュエーションに見直しが期待されるタイム ワーナー(TWX)、ドル高の修正が業績を押し上げると期待されるプライスライン グループ(PCLN)、 クラウド事業の好調と「Windows10」によるPCの買い替え需要で業績モメンタムの改善が期待されるマイクロソフト(MSFT)、市場シェアの拡大により業績好調が期待されるアクセンチュア(ACN)、がん免疫治療薬「オプジーボ」による業績拡大が期待されるブリストル マイヤーズ スクイブ(BMY)です。
図表4:前回の決算プレビューで取り上げた銘柄は平均でS&P500指数を凌駕
銘柄(コード) | 株価(1/13) (ドル) |
株価(4/4) (ドル) |
騰落率 (%) |
---|---|---|---|
ジョンソン&ジョンソン(JNJ) | 97.02 | 108.59 | 11.9 |
ユナイテッド パーセルサービス (UPS) | 90.61 | 104.88 | 15.7 |
サザン(SO) | 46.8 | 51.53 | 10.1 |
マクドナルド(MCD) | 115.12 | 127.57 | 10.8 |
アルファベット(GOOG) | 700.56 | 745.29 | 6.4 |
5銘柄平均 | - | - | 11.0 |
S&P500指数 | 1,890.28 | 2,066.13 | 9.3 |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表5:15年10-12月期から16年1-3月期にかけて業績モメンタム改善が予想されている企業
- 注:アクセンチュアは既に直近の四半期決算を終えており、15年12月-16年2月期実績と15年9-11月期実績との比較によります。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
注目銘柄のポイント |
銘柄名 | 株価 (4/4) |
73.56ドル | 予想PER (倍) |
13.8 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (4/4) |
1281.76ドル | 予想PER (倍) |
18.5 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (4/4) |
55.43ドル | 予想PER (倍) |
20.1 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (4/4) |
115.50ドル | 予想PER (倍) |
21.6 | |
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ポイント |
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銘柄名 | 株価 (4/4) |
65.97ドル | 予想PER (倍) |
27.7 | |
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ポイント |
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- ※注目銘柄(5銘柄)の株価週足チャートは、当社のチャートツールを用いて作成(2016/4/4時点)
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。