米国株式市場は2/12(金)、2/16(火)と続伸して相場底割れへの懸念が後退、ひとまず安心感が広がっているようです。テクニカル面ではS&P500指数で1950ポイントのネックラインを超えないと「ダブルボトム」形成による底入れを確認できませんが、ここ数日の投資環境の推移を見ると、そうなる可能性が高まっていそうです。株価底割れへの懸念が後退する中、年初来続いたマクロ要因が主導した相場から、今後は四半期決算の状況を吟味して銘柄を選別する動きが強まると見込まれます。
そこで今回は、米国企業の10-12月期決算の動向から、良好な推移を示した銘柄群をスクリーニングで抽出、有望と考える以下の5銘柄をご紹介しています。中でも、良好さが突出しているのがフェイスブックです。
図表1:言及銘柄リスト
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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米国株式市場は底割れを回避、銘柄の選別へ
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米国株式市場は2/12(金)、2/16(火)と続伸して相場底割れへの懸念が後退、ひとまず安心感が広がっているようです。テクニカル面では、S&P500指数で1950ポイントのネックラインを超えないと「ダブルボトム」を確認できませんが、ここ数日の投資環境の推移を見ると、そうなる可能性が高まっていそうです(図表2)。
一時はリセッションの可能性も懸念された米国経済については、2/12(金)に発表された小売売上高が市場予想を大きく上回ったことが効いているようです(図表3)。内需景気の減速は否めないとしても、まだリセッションを云々する段階ではないとの見方が強まったようです。
原油価格については、一気に減産まで合意できなくても、サウジアラビア、ロシアを含む産油国で生産調整の方向で話し合いが持たれたこと自体が大きな変化と言えるでしょう。また、欧州の銀行株は落ち着きを取り戻しつつあり、休場明けの中国本土市場も反発地合いと外部環境には落ち着く兆しが見られます。
株価底割れへの懸念が後退する中、年初来続いたマクロ要因が主導する相場から株式相場は落ち着きを取り戻しつつあり、今後は四半期決算の状況を吟味して銘柄を選別する動きが強まると見込まれます。
そこで今回は、米国企業の10-12月期決算の動向から、良好な推移を示した銘柄群をスクリーニングして有望銘柄を探りました。
図表2:米国市場は底割れを回避、ダブルボトム形成へ(S&P500指数、日足6ヵ月、2/16)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:1月の米小売売上高は大幅改善
- 注:食品・自動車・建設資材・ガソリンを除くベースの小売売上高です。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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10-12月期決算が良好な企業をスクリーニング
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S&P500指数採用企業のうち、2/12(金)までに決算発表の終わった381社について、以下の条件でスクリーニングを行っています。
【スクリーニングの条件】
(1) 10-12月期決算の売上・EPSとも前年同期比増加
(2) 10-12月期決算の売上・EPSとも市場予想を上回った
(3) 10-12月期決算の売上増加率・EPS増加率が7-9月期実績を上回った
(4) 今通期のEPSが増加予想
抽出された銘柄のリストが図表4になります。
今回のスクリーニングで明らかとなったのは、前年同期比の業績伸長、市場予想との乖離、前四半期との比較のいずれをとっても、フェイスブックの良好さが突出していることです。決算を受けてまず投資対象として検討すべき銘柄と考えられます。
また、2/10(水)のニュースで自動運転車の分野で重要な前進が明らかになったグーグルにも注目できるでしょう。
その他に、今期の増益率の高さやPERの水準等を勘案して合計5銘柄(赤字で表示)を選んでご紹介しています。
図表4:10-12月期決算が良好な銘柄群
- 注:EPSの修正率は過去3ヵ月です。フェデックスは、6-8月期決算と9-11月期決算によります。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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四半期決算を受けて買える銘柄はコレ!?
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- 競合となりそうなサービスを提供する企業を次々に買収していったことにより、SNSのグローバル市場で他社が追いつくことが難しい圧倒的な地位を確保していることが魅力です。
- 15年10-12月期の売上は広告単価の上昇が寄与して前年同期比50%増に加速、16年12月期は売上が41%増、EPSは2.4倍が見込まれています。同社SNSサービスの広告メディアとしての価値が上昇しつつあると考えられます。
- 今回スクリーニングを行った企業の中で、業績の動向が最も良好と考えられます。過去3ヵ月のEPS修正率も10%と突出しています。成長率の高さに比べて、32.4倍のPERにも割安感があると言えるでしょう。
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- 世界最大の航空貨物輸送会社です。昨年4月に欧州の物流大手TNTの買収で合意(欧州委員会の承認待ち)しています。
- 主力のエキスプレス部門は、ドル高の影響を受けて減収となるも、値上げやコスト削減で増益を確保しています。陸上貨物部門はeコマースの拡大を受けて増益が続いています。景気低迷の影響を強く受けている航空貨物部門のマイナスをカバーして、全体として増益基調が確保されています。
- ドル高や景気低迷への懸念から株価は大幅に下落しましたが、PERが大きく低下してバリューが改善、投資のチャンスと考えられます。
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- インターネット検索でグローバルシェアが6割を超えるほか、YouTube、地図、アンドロイド、Gメールなど利用者が世界で10億人を超えるサービスを複数擁することが魅力です。
- YouTube、モバイル検索、プログラム広告などが好調で、10-12月期の業績の伸び率は7-9月期から加速しています。業績の伸びに対してPERは割安と考えられます。
- さらに、2/10(水)には、同社の自動運転車のAI(人口知能)は法律上の「運転手」に相当するとの見解を米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が示していたことが明らかになっています。競合に対して先行している可能性が高いと考えられます。グーグル以外の「その他の賭け」の事業にも期待が高まる契機となりそうです。
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- リストにも抽出されている米国のマテル(MAT)と並ぶ世界的なおもちゃメーカーです。変形ロボットの「トランスフォーマー」や「マイリトルポニー」等のキャラクターブランドで知られ、モノポリーなどカードゲームも有名です。
- 15年10-12月期は、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や「ジュラシック・ワールド」など提携ブランドの売上が牽引して業績の伸びが加速しました。16年はこれらブランドの貢献が継続すると期待され、16年12月期は5%増収、11%のEPS増加が見込まれています。
- さらに、利益率の高い自社ブランドの「トランスフォーマー」の映画が17年、18年、19年と3本計画されていることが2/12(金)に発表され、17年以降も業績の伸長が期待されます。また、同社は「妖怪ウォッチ」のおもちゃを15年12月から世界展開しており、同アニメの海外での人気が高まると同社への恩恵となります。
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- ホテルチェーンとリゾートマンションのタイムシェアを運営する企業です。ホテルの物件数では世界最大で、「Days Inn」「Ramada」「Travelodge」「Howard Johnson」など中高級のホテルチェーンが多く占めています。
- 株価はここ1年で大きく下落していますが、(1)ドル高で米国への観光客の来訪が鈍ったこと、(2 )リーマンショックから8年経ってホテルの供給が増加する懸念があること、が要因と考えられます。
- しかし、足元の業況は依然堅調で今期も増収・増益が見込まれています。一方、かつて17〜18倍で取引されていた予想PERは11倍台まで下がり、これらの懸念を織り込んだ水準にあると見られます。
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※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。