2月のマレーシアの消費者物価指数は前年比2.2%増となり、前月の同2.7%か ら大幅に鈍化した。市場予想は同2.4%増とあらかじめ鈍化は見込んでいたわ けだが、市場予想以上に同国の物価上昇圧力は減速している。上昇率は2010年 末の水準まで落ち着いてきている。しかし、昨年は中国の春節(旧正月)が2 月にあったのに対して、今年は1月だったことを背景としてベース効果を考慮 すれば、それほど驚くような数字ではない。
ヘッドラインの大幅な減速には食品価格の上昇率が大きく鈍化したことが影 響しているだろう。食品価格は前月が前年比4.78%増だったのに対して、今 月は同2.89%となっている。また、運輸価格も今月は同1.35%増と前月の同 1.65%から鈍化している。食品価格と運輸価格だけで今月発表されたCPIの半 分以上を構成している。また、構成項目として3番目に大きい住宅価格に関し ては前月の同1.79%増から同1.88%へ加速している。
世界経済の成長減速やベース効果を背景に、引き続きインフレ圧力の鈍化傾 向は続くと予測する。これまで数本書いてきた同国に関するレポートにおい て、今年の通年のCPIを2.7%と予測したが、この予測は現時点でも据え置く。
しかし、これまでも指摘したように、原油価格の上昇、政府支出の増加、最 低賃金の引き上げなど、インフレ要因が数多く存在しており、同国中銀の今 後の金融政策としては、年前半は政策金利を据え置くことをメインシナリオ とするが、インフレ率の上昇次第では年後半の利上げシナリオは引き続き頭 の中に入れておくべきだろう。
図1:マレーシアの消費者物価指数(前年比)内訳の推移
年前半よりも年後半以降の展開に注意したい