予想外の金利据え置き
前回のレポートの中で、これまで利下げを見送ってきたインド準備銀行(以下、同中銀)が、約3年ぶりに利下げをするかもしれないと書き、実際に4月17日の会合で市場予想の25bpsを上回る50bpsの利下げを3年ぶりに決定した。世界的に各国が金融緩和を続けていく中で、同国も緩和サイクルに入ったとの見方から、6月の会合でも追加緩和が予想されていたが、政策金利の据え置きが決定された。
景気の減速感とインフレ圧力の綱引き
同国の1−3月期の実質GDP成長率が前年比5.3%増と7年ぶりの低成長となったことを背景に追加緩和の期待が市場では高まったが、5月の卸売物価指数が前年比7.55%増と同中銀のインフレ見通しである同7.0%増を上回ったことが据え置きの決め手となったようだ。また、前回、利下げを決定した際の卸売物価指数も上方修正されており、同中銀の追加緩和に対するスタンスがより消極的になってしまった。
年内の追加緩和が期待される
足元では海外資金の流出に伴い、ルピー安が続いている。対ドルで史上最安値を更新した背景としては、経常赤字を嫌気する売りやリスクオフに伴うエマージング通貨離れ、国内の強いドル需要など様々な要因が挙げられるが、この通貨安によって、更に輸入価格が高止まりし、国内のインフレ圧力を根強いものとしている。しかし、前回のレポートにも書いたが、年後半ではインフレ率は徐々に低下していくとの予想は変えておらず、今後の同国市場については追加緩和を期待する形で投資戦略を立てるのがよいと考える。