2月29日に発表されたインドの2011年10〜12月期の実質GDPは前年比6.1%増となった。リーマンショック後の2009年1〜3月期(同5.9%増)以来、11四半期ぶりの低い伸びとなった。内訳を見てみると、GDP全体の約6割を占める個人消費は前期から持ち直しており、直近のインフレ率の緩和による家計の実質購買力の増加などが影響していると考えられる。しかし、輸出全体の約2割を占める欧州が債務問題で景気が低迷した上に、前述のように内需が強い反動として輸入が加速したために、純輸出が成長を下押す要因となった。また、供給項目別に見ると鉱業が大きく落ち込んでいるが、違法採掘に対する政府の操業停止措置が背景にあると考えている。
インド中央銀行は1月24日の金融政策決定会合で3年ぶりに預金準備率を50bps引き下げて5.5%とする決定を行ったが、政策金利(レポレート)は8.50%に据え置いていた。しかし、今回のGDPから読み取ることが出来る同国の景気減速と昨年にピークアウトした感のあるインフレ率を考慮すれば、今月15日の金融政策決定会合において、2009年4月以来、約3年ぶりの利下げも十分に考えられるだろう。その観点からすると、会合前の3月14日に発表される同国の卸売物価指数の結果には普段以上に注目する必要がある。
図1:インドの実質GDP(前年比)と内訳の推移
景気減速が鮮明となるなかで、利下げ期待が台頭
図2:SENSEX指数とインド株式市場への資金純流入額
株価の大局観を知る際には見逃せない指標
MICEX指数は主要10業種の国内大手企業のうち、流動性が最も高い30銘柄で構成されており、上表はウェイト上位10銘柄を抜き出したものである。この10銘柄で全体の79.9%を占めているが、色づけをした「オイル・ガス」セクターだけでも、指数全体の47.6%を占めている。これこそが前述の強い相関関係のからくりである。つまり、原油価格が上昇するというシナリオを立てたときに、投資先の選択肢として、ロシア株も1つの選択肢として考えるに十分値するという事が言えるのではないか。
図3:インドのインフレ指標と金融政策の推移
BRICsでは最後の金融緩和ステージ突入へ