インドネシアの株式市場が高値を更新し続けている。同国を代表する株価指数、ジャカルタ総合指数は史上初の4,400ポイントの大台が目前まで来ている。リーマンショック以降、4年以上に渡ってほぼ右肩上がりのチャートを形成しており、毎年「バブルなのではないか?」と危惧する言葉が見られる訳だが、そのような指摘も関係なく相変わらず上昇トレンドを維持している。
この背景には当然のことながら同国のステータスが大きく影響している訳だが、人口が世界第4位であることや資源が豊富であることなど、この数年で言われ続けてきた同国の魅力を再度ここで記載するのはやめておこう。
リーマンショックが起こった2008年から直近までの日経平均とジャカルタ総合指数の推移を見てみよう。震災があったことなど、日本にはやや不利な期間設定になってしまっているかもしれないが、それを差し引いても圧倒的なパフォーマンスの差が出ている。
図1:2008年初から見た日経平均とジャカルタ総合指数の推移
前回のレポートでも株価指数の推移については期間は違えど比較しており、海外株式の方がパフォーマンスが良かったという事実は紹介しているので、今回は更に踏み込んで個別銘柄のパフォーマンスもみていきたい。
下図は当社において2012年10月26日時点で保有人数が多いインドネシア株式を上から順に5つピックアップしたものである。パフォーマンスの期間は前述の株価指数と同様に2008年初からである。
図2:2008年初から見た『SBI証券・インドネシア株式保有人数上位Best5の株価推移』
表1:SBI証券におけるインドネシア株式 保有人数上位Best5
順位 |
ティッカー |
銘柄名 |
業種 |
---|---|---|---|
1 |
ASII |
鉱業、金融、IT事業も手がける自動車メーカー |
|
2 |
TLKM |
通信サービス会社 |
|
3 |
BUMI |
石炭・石油探査会社 |
|
4 |
INDF |
インスタント麺、ベビーフード、調味料、コーヒーなどの食品メーカー |
|
5 |
UNVR |
石鹸、洗剤、飲料、化粧品などの一般消費財メーカー |
- ※2012年10月26日時点
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
5銘柄中3銘柄は2倍以上になっている。テレコムニカシ・インドネシアはほぼ変わらずである。ここで、しっかりと見なくてはいけないのは、ブミ・リソーシズは89%も下落しているということだ。
個人投資家に外国株式を啓蒙する立場ではあるが、高パフォーマンスの銘柄だけを取り上げて魅力を伝えるのは間違っており、このように逆にいくケースもあるということもしっかりと認識していただくことこそが啓蒙するうえでは重要だと考える。株価指数に比べ、個別銘柄のボラティリティーが高いというのは先進国、新興国の区別なく当然のことであり、上図の結果を見て外国株式投資は高リスクだと感じるのは誤りである。
これまでもレポートや各メディアにて主張してきたが、「外国株式投資は魅力的ですよ=資産全額を外国株式で運用しましょう」と言いたい訳ではない。不確実な世の中だからこそ、1つの資産だけで運用することは高リスクであり、分散投資をすることでリスクをヘッジしましょう。その際に、投資先の1つとして外国株式は魅力的ですよ、と伝えたいのである。
ここ数年は円高にやられ続けた投資家も多いため、今後もずっと円高が続くような気がしていて海外資産への投資に抵抗がある方も多いだろう。そのシナリオが今後も数年〜数十年続くのであれば、たしかに全財産を円建て資産で保有・運用し続けることが正解だろう。しかし、日本の様々な条件を勘案すれば、そのシナリオに全額ベットすることはとてつもないリスクではないだろうか?
分散投資で投資対象や国・地域を分散することが推奨されているが、私は運用戦略をたてる上でのシナリオも複数用意して分散することも重要だと考えている。今後の為替動向など、誰にも確実に予測など出来ない訳だから、円高継続シナリオに備えて一部は円建て資産で保有・運用し、円安転換シナリオにも備えて一部は外貨建て資産で保有・運用するという戦略こそが、個人投資家の中長期で考えた資産運用に適したものなのではないだろうか?