インドネシアの4月のインフレ率のヘッドラインは前年比4.5%増となった。前年比で4%を超えるのは2011年の11月以来となる。結果としては市場の予想の範囲内であった。コア・インフレ率は依然として同4%以上の水準で高止まりしており、4月のコア・インフレ率は同4.24%であり、前月とほとんど数字としては変化がなかった。
同国のインフレ率において、構成要素の4割近くを占める食品価格(未加工・加工を両方合算)の上昇が今回のインフレ率上昇の主因である。未加工食品価格は前年比6.72%増と前月の同4.56%から加速。同様に加工食品価格も同5.13%と前月の同4.69%から加速している。輸送コストも同1.92%と前月の同1.77%から僅かながら上昇しており、その他の項目もほとんど変化がないか、微増という状況である。
インフレ率のヘッドラインが再加速したことと、依然としてコア・インフレ率が高止まっていることは、予想インフレ率が想定していたよりも早く不安定になってきたことを暗示している。燃料価格の引き上げが不確定要素としてくすぶっていることが同国のインフレ率の見通しを非常に複雑なものにしているのだろう。しかし、依然としてこれまでの見通しどおり、2012年通年では同5.5%増というインフレ率のヘッドライン見通しをまだ変更しない。ちなみに、この数字は同国中央銀行の予想レンジである同3.5〜5.5%の上限を意味している。とはいえ、同国中銀が金融政策の方針や政策金利をすぐに変更するとも考えていない。むしろ、同国中銀は政策金利ではなく、期待インフレ率の調整の為にマクロプルデンシャル政策や流動性対策などを手法として用いると想定している。よって、本日の金融政策決定会合では金利を現行の5.75%に据え置くと見ている。
また、直近発表された貿易関連の統計では、外需の減速が目立っている。3月の輸出総額は前年比5.5%増と前月の同8.9%増から更に鈍化する結果となった。輸入も同様に同13.4%増と前月の同26.2%増から鈍化した。この結果、貿易収支は8.4億ドルの黒字と前月の8.29億ドルの黒字から若干増加した。貿易黒字が10億ドルを下回ったのは貿易赤字になった2010年の7月以降で3回のみである。外部環境が再び不確実性を帯びてきていることから、貿易収支は今後も弱い数字が続くかもしれない。