インドネシア中央銀行は今月8日に政策金利を現行の5.75%に据え置くことを決定した。先月の会合では6.00%から25bps引き下げる決定をしており、昨年10月から見ると3度の利下げで計1.00%引き下げているが、前回のレポートでも書いたように、燃料価格の引き上げによるインフレ懸念もあり、今回は据え置きという決定になった。
インフレ懸念を抱いているとしたものの、同中銀は燃料価格によるインフレ圧力は一時的なものになると予測している。しかし、中東の情勢が現状より緊迫すると更なる原油相場の上昇も考えられるため、同中銀は慎重な舵取りを求められるだろう。同中銀の政策に対して、同国の債券相場で大きな存在感を示す海外投資家が不信感を抱いた場合は当然のことながらルピア安になる可能性が高くなる。そうなると、通貨安による輸入価格の上昇が同国のインフレ圧力を更に強めるため、対処のしづらい悪循環が生じる可能性もある。
しかし、ここ数年の同中銀のスタンスを見れば、着実に積み上げ、潤沢になった外貨準備を背景に、想定外のルピア安が進めば為替介入の可能性も十分に考えられるため、大きく下落していくことは考えにくく、今後も底堅い展開が見込めるだろう。
図1:インドネシアの対ドル相場と外貨準備高の推移
ルピア相場の底堅さは豊富な外貨準備が支える