表1:消費者物価指数(CPI)と貿易関連指標
幅広くなるインフレ要因と縮小する貿易収支
1月のインドネシアのCPIは前月比0.76%増となった。米や肉、調理用油など、主要食品が上昇の牽引役となった。これらの農産物セクターの価格上昇はWPI(卸売物価指数)全体にも大きく寄与している。来月発表されるCPIでは、同セクターの上昇を受けて、比較的ボラティリティーの高い食品や加工食品にも価格上昇圧力がかかると考えており、CPIのヘッドラインだけでなく、コアの数字にも上昇圧力が潜在していると予測している。
住宅価格や家政婦の賃金は年初という季節要因もあいまって、わずかに上昇した。一方で、国内の宝飾品価格は予想していたほどには大きく下落しなかった。おそらく11月からのインドネシアルピアの下落が効いているのだろう。電子製品や医薬品価格の上昇などからも、ルピア安による輸入価格の上昇などの影響が読み取れる。
インドネシア中央統計局は2012年1月の消費者物価指数の発表と同時に、2011年12月の貿易関連の指標も発表している。それによると、2011年12月の貿易収支の黒字額が前月(2011年11月)の約18億4,200万米ドルから12月は約8億5,800万米ドルに減少している。当然のことだが、輸出が大きく減速したのに対し、輸入は旺盛な内需を背景に前月より伸び率が加速したことが大きく影響している。なかでも、動物性・植物性油の輸出が大幅に減少した。同国にとって、動物性・植物性油は対中国の輸出品目の中で2番目に多い項目である。
輸出が減少する一方で、輸入は国内の強い消費に下支えされ、堅調な数字が出てきている。なかでも、輸入項目の内訳を見ると、消費財の輸入が2011年通年の力強い数字の根源となっているようだ。しかし、ここ2ヶ月に関しては、資本財や原材料の輸入が消費財を大きく上回る伸びを見せており、この状況が今後も続くようであれば、我々はインドネシア経済に現在以上に前向きな見方をしていいかもしれない。
図1:インドネシアの貿易関連指標
旺盛な内需による輸入の増加が収支へ影響
図2:インドネシアルピアの対円相場推移
対日本円でのルピア安はそろそろ反転か?