類似する原資産に投資するETFが日米で上場している時、為替の変動でパフォーマンスに違いは生じるのでしょうか？今回は海外上場ETFに投資する場合の為替のインパクトについて考えてみました。直観的には円高になると海外上場ETFへの投資は不利になりそうですが、投資する原資産が同じであれば、為替のインパクトは概ねニュートラルとなることを確認します。

取引	チャート	コード	銘柄
		1306	TOPIX連動型上場投資信託
		EWJ	iシェアーズ MSCI ジャパン ETF
		1557	SPDR　S&P500　ETF
		SPY	S&P 500 ETF トラスト
		1582	iシェアーズ　エマージング株ETF−JDR（MSCIエマージングIMI）
		IEMG	iシェアーズ コア MSCI エマージング ETF
		1361	iシェアーズ　米国ハイイールド債券ETF−JDR（iBoxxドル建てLHYC）
		HYG	iシェアーズ iBoxx USD Hイールド社債 ETF
		1326	SPDRゴールド・シェア
		GLD	SPDR ゴールド シェア

類似する原資産に投資するETFが日米で上場している時、為替の変動でパフォーマンスに違いは生じるのでしょうか？今回は海外上場ETFに投資する場合の為替のインパクトについて考えてみました。

直観的には円高になると海外上場ETFへの投資は不利になりそうですが、原資産が同じであればETFの価格に為替の動きが反映されるため、日本から投資する場合の為替のインパクトは概ねニュートラルになります。

具体例で確認してみましょう。図表2は、主な資産クラスごとに連動対象指数が類似するETFの組み合わせを列挙して、年初来の騰落率を比較しています。

トップの日本株では、東京市場の「TOPIX連動型上場投資信託」、NY市場の「iシェアーズ MSCI ジャパン ETF」を取り上げています。

現地通貨ベースでは年初来、東京市場の「TOPIX連動型上場投資信託」が16.6％上昇、NY市場の「iシェアーズ MSCI ジャパン ETF」は20.7％上昇しています（図表3）。

年初来のドル円相場は、昨年末の116.96円/ドルから17年11月16日の113.06円/ドルへ、円がドルに対して3.3％上昇しています。この円の上昇がドル建てのETF価格に反映されていることで、「iシェアーズ MSCI ジャパン ETF」のほうがパフォーマンスは良くなっています。

一方、円建ての投資パフォーマンスは、「iシェアーズ MSCI ジャパン ETF」のドル価格に3.3％の円高による目減りを加味すると、20.7％から16.7％に低下して、「TOPIX連動型上場投資信託」の16.6％にほぼ同水準となります。

もう一つ、米国株のケースを見てみましょう。米国株でS&P500指数への連動を目指すETFを購入しようと思ったときには、東京市場に上場している「SPDR　S&P500　ETF」か、ニューヨーク市場に上場している「SPDR S&P 500 ETF トラスト」から選べます。

両ETFの年初来の騰落率は、現地通貨ベースでは前者が11.5％、後者が15.7％と後者が上回っていますが（図表4）、円がドルに対して3.3％上昇したことを勘案した円建ての騰落率では、前者が11.5％、後者が11.8％と同程度になります。

日本株のケースと同様に、東京市場上場の「SPDR　S&P500　ETF」には、円高による米国資産の効果がETF価格に反映されていることが確認できます。新興国株、米国債券、金でも、概ね同様の傾向があると言えるでしょう。

つまり、類似する原資産に投資するETFが日米で上場している時、東京上場ETFかニューヨーク上場ETFかによる為替のインパクトは概ねニュートラルで、為替のインパクトは市場選択の考慮から外してよいと言えるでしょう。

東京市場のETFは流動性に欠けるものも多く、流動性が相対的に大きいニューヨーク市場のETFを選ぶほうが安心なケースも多いと考えられます。

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