今回は米国上場ETFの純資産額上位銘柄をご紹介いたします。米国のみならず、世界の投資家から幅広く支持されているETFで、日本の投資家がグローバル投資を進める上で非常に重要な金融商品と考えられます。7月から8月にかけて進んだ円高は一服の様相で、外貨資産に投資する好機とみられます。これら銘柄への買い付けをご検討されてはいかがでしょうか。
図表1:純資産額が大きいETF(米国上場)
取引 | チャート | コード | 銘柄 |
---|---|---|---|
SPY | SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY) | ||
EFA | iシェアーズ MSCI EAFE ETF(EFA) | ||
VWO | バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO) | ||
QQQ | Pシェアーズ QQQ ナスダック100(QQQ) | ||
AGG | iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG) |
※SBI証券が作成
今回は世界のETF市場の4分の3近くを占める米国上場ETFの純資産額上位銘柄をご紹介いたします。
投資対象の資産を決めた上で、類似したETFから銘柄を選ぶ場合、「純資産額が大きい」また「出来高が大きい」ことを考慮することは大切です。
純資産額が大きいことの重要性は、言うまでもないかもしれません。幅広い投資家の支持を受けている証拠だからです。
ETFを選ぶ際に、過去のパフォーマンス、経費率、分配金の額・回数、組入れ銘柄のウェイトなどを勘案すると、銘柄選択は複雑になってしまうケースもあるかと思います。そのようなときに純資産額は総合的な判断が反映された指標と言え、安心して投資することができるでしょう。
また、出来高については、個人投資家で流動性が直接的な問題になることはないでしょうが、銘柄の選択基準としては重要と考えられます。
というのは、出来高が少ないと個々の投資家の売り注文・買い注文によって市場で付く値段が変わってしまう可能性がありますが、市場に参加しているどこかの誰かが「何を根拠に何を思うか」は予想がつきません。
このため、公表情報からなる「ファンダメンタルズ」より形成されるであろう価格から乖離してしまう可能性があり、その分リスクが大きい投資になってしまうからです。
これに対して、出来高が大きいETFでは個々の投資家の注文によるインパクトは小さくなり、そのような本来取る必要のないリスクが小さいETFと言えます。純資産額が大きいETFは出来高も大きい傾向があるため、純資産額に注目することはその意味でも重要だと言えるでしょう。
図表2は、米国に上場するETFの純資産額上位15銘柄です(8/30時点)。米国の大型株式、米国を除く先進国株式、新興国株式、米国の投資適格債券、米国のテクノロジー株式の各カテゴリーから、それぞれ純資産額が大きいものを以下にご紹介いたします。
◯米国株式に投資するなら・・・SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY)
米国のS&P500指数への連動を目指すETFです。S&P500指数は米国の株式市場を代表する株価指数で、米国株式への投資を考える場合に、まず検討すべき銘柄だと言えそうです。純資産額、売買代金とも図抜けて大きく、個人のみならず機関投資家も盛んに売買している銘柄と思われます。
◯米国を除く先進国株式に投資するなら・・・iシェアーズ MSCI EAFE ETF(EFA)
米国を除く先進国株式の指数への連動を目指すETFです。米国の投資家が海外株式に投資する際の利便性を考えて開発されたものですが、日本の投資家にとっても有用な場面がありそうです。というのは、米国株については、アップル、アマゾン、フェイスブック、アルファベットなどで既に投資しているというケースで、投資対象を米国を除く先進国株式に広げたいときにまとめて投資することができます。
◯新興国株式に投資するなら・・・バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO)
幅広い新興国株式(中国の本土株を含む)をカバーする指数への連動を目指すETFです。成長性の高い新興国の企業に投資したいが、新興国の個別株に投資するのは投資経験からみてハードルが高い、また、国別のETFに投資することに伴うカントリーリスクを軽減したいという方に良いでしょう。
◯米国のテクノロジー企業に投資するなら・・・Pシェアーズ QQQ ナスダック100(QQQ)
米国のテクノロジー企業からなるナスダック100指数への連動を目指すETFです。米国のテクノロジー企業には、世界的な競争力をもち、当該銘柄以外では代替が効かないような、魅力的な投資対象が多くあります。組入れ上位銘柄は、アップル、マイクロソフト、アマゾンドットコム、フェイスブック、アルファベットです(8/30時点)。
◯米国の幅広い債券に投資するなら・・・iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)
米国の投資適格債券市場のパフォーマンスへの連動を目指すETFです。米国で公募発行される国債、社債、モーゲージ・パススルー証券、資産担保証券など幅広い投資適格債券に投資します。
これらは米国の投資家のみならず、世界の投資家から幅広い支持を受けているETFと言え、日本の投資家がグローバル投資を進める上でも重要な商品群と考えられます。
尚、数多くある金融商品の中でなぜETFの人気が高まっているのかについて詳しくは、17年2/22掲載の外国株式特集レポート「「ロボアドバイザー」はなぜ米国上場ETFで運用するのか?」をご参照ください。
図表2:純資産額が大きいETF(8/30時点)
銘柄名(コード) |
投資対象 |
純資産 |
売買代金 |
---|---|---|---|
SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY) |
S&P500指数 |
2,442 |
156.8 |
iシェアーズ S&P 500 ETF(IVV) |
S&P500指数 |
1,237 |
7.3 |
バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) |
幅広い米国株式 |
817 |
2.3 |
iシェアーズ MSCI EAFE ETF(EFA) |
米国を除く先進国株式 |
782 |
10.1 |
バンガード S&P 500 ETF(VOO) |
S&P500指数 |
717 |
3.8 |
バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO) |
新興国株式 |
593 |
3.6 |
バンガード FTSE先進国市場(除く北米) ETF(VEA) |
北米を除く先進国株式 |
586 |
2.9 |
Pシェアーズ QQQ ナスダック100(QQQ) |
ナスダック100指数 |
519 |
51.3 |
iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG) |
米国の投資適格債券 |
501 |
2.5 |
iシェアーズ S&P 中型株 ETF(IJH) |
S&P中型400指数 |
387 |
1.5 |
iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF(LQD) |
米国の投資適格債券 |
385 |
6.6 |
iシェアーズ コア MSCI エマージング ETF(IEMG) |
新興国株式 |
367 |
3.4 |
iシェアーズ ラッセル 2000 ETF(IWM) |
ラッセル2000指数(米国の小型株) |
362 |
30.1 |
iシェアーズ MSCI エマージング ETF(EEM) |
新興国株式 |
359 |
19.7 |
バンガード 米国トータル債券市場ETF(BND) |
米国の投資適格債券 |
350 |
1.3 |
注:売買代金は過去30日の平均によります。純資産額ランキング15位までで当社で取り扱いがないのは「iシェアーズラッセル1000グロースETF(IWF)のみで、それ以外は表に網羅されています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:ETF市場は米国が突出して大きい
※ブラックロック社資料をもとにSBI証券が作成