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2024-04-28 16:48:30

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中国株 ココがPOINT!  〜中国株の急落要因、ウクライナ危機下の米中対立リスク〜

2022/3/11
投資情報部 李 燕

3/3-3/10の香港市場は調整しました。主な要因は、1)スタグフレーション・リスク、2)ウクライナ危機下の米中対立リスク、3)中国の金融緩和余地に対する懸念、4)世界最大の政府系ファンドによる中国株売却などです。リスク回避姿勢が一層鮮明になるなか、海外投資家の持ち株比率が比較的高い業種や銘柄が売られました。

今回は、ウクライナ危機下の米中対立リスクを取り上げたいと思います。

図表1 ハンセン指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

注:3/10(木)までのチャートです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。

図表2 香港市場の業種別指数騰落率(3/10(木)までの騰落率)

注:業種別騰落率はハンセン総合指数が母集団です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図表3 香港市場の個別銘柄の騰落率と関連ニュース等(3/10(木)までの騰落率)

ハンセン指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00968 信義光能 [シンイー・ソーラー] 16.0% 9.1% 3.6% 太陽光発電ガラスメーカー。欧州連合(EU)がロシアへの依存低下を目指すため、クリーンエネルギーの利用拡大を加速させると表明。太陽光ガラスへの需要拡大につながると期待され、買われた。
01038 長江基建 [チョンコン・インフラ] 9.7% 4.8% 13.8% グローバルインフラ会社。香港財閥の李嘉誠氏一族が所有する企業が買われた。李一族が保有している英国最大の配電事業者UK Power NetworksをめぐるM&Aが好感された。
00006 電能実業 [パワー・アセッツ] 6.3% 3.4% 9.2% 電力会社。香港財閥の李嘉誠氏一族が所有する企業が買われた。李一族が保有している英国最大の配電事業者UK Power NetworksをめぐるM&Aが好感された。
00001 長江和記実業[CKハチソン] 4.8% -6.6% 10.2% コングロマリット。香港財閥の李嘉誠氏一族が所有する企業が買われた。李一族が保有している英国最大の配電事業者UK Power NetworksをめぐるM&Aが好感された。
01113 長江実業[CKアセット] 4.5% -1.2% 9.3% 不動産会社。香港財閥の李嘉誠氏一族が所有する企業が買われた。李一族が保有している英国最大の配電事業者UK Power NetworksをめぐるM&Aが好感された。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
09618 JDドットコム -17.1% -21.3% -24.0% EC大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。
03690 美団(Meituan) -17.2% -38.1% -40.7% 中国フードデリバリー最大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。外資系ファンドによるポジションの圧縮がみられた。大手証券会社が投資判断を引き上げたが、材料視されなかった。
09633 Nongfu Spring Co Ltd -17.9% -21.8% -21.6% 大手飲料メーカー。市場全体のリスク回避の売りが響いた。外資系ファンドによるポジションの圧縮がみられた。
02331 李寧 [リー・ニン] -19.0% -26.3% -35.2% 中国国産ブランドのスポーツウエア大手。世界最大の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金が、「人権侵害に関与している受け入れ難いリスク」を理由に同社株を処分したと報じられ、売りを誘った。
06862 海底撈(Haidilao) -22.9% -26.0% -20.9% 火鍋チェーン中国最大手。3/1に創業者の張勇氏がCEOを退任。張氏は、2020年半ばの拡大路線は「盲目的で自信過剰だった」と認めた。新たに選出されたCEOが結果を出すまで時間がかかる可能性があると、大手証券会社が指摘した。

ハンセンテック指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00981 中芯国際 [SMIC] -3.0% -8.0% -13.7% 半導体受託生産(ファウンドリー)大手。市場全体のリスク回避の売りを受け、3/8まで下落が続いたが、3/9以降は好悪材料まちまちのなか、買い優勢だった。悪材料:米国が中国企業に対し、「対ロシア制裁に違反なら供給網から遮断」と警告。好材料:2022年1-2月の営業収益と純利益はそれぞれ前年同期比59%増、95%増となった。
03888 金山軟件 [キングソフト] -3.7% -30.5% -32.4% ゲーム・ソフトウェア大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。ただ、大手ファンドによる買い増しが報じられるなか、その他のハイテク株よりは下げ幅が限定的だった。
00020 SenseTime Group Inc -4.1% -3.2% 70.7% AIソフトウェア大手。3/7からハンセンテック指数入りした。市場全体のリスク回避の売りが響いた。
09999 網易 [ネットイース] -4.9% -17.7% -16.8% ゲーム大手。市場全体のリスク回避の売りを受け、3/8まで下落した。RSIが短期的に売られすぎサインの30まで下がると、3/9以降は買い優勢に転じた。
02018 瑞声科技 [AACテクノロジーズ] -6.4% -18.7% -40.6% 音響部品メーカー。市場全体のリスク回避の売りを受け、3/9まで下落した。3/10はアップル(AAPL)の新製品発表を好感し、小反発した。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
03690 美団(Meituan) -17.2% -38.1% -40.7% 中国フードデリバリー最大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。外資系ファンドによるポジション圧縮がみられた。大手証券会社が投資判断を引き上げたが、材料視されなかった。
09868 小鵬汽車 -17.5% -30.1% -39.0% 新興EVメーカー。3/7からハンセンテック指数入りした。ウクライナ情勢の悪化を受け、電気自動車(EV)の原材料の供給懸念が浮上した。3/9以降は、ウクライナ情勢の改善期待で反発した。
06618 京東健康(JD Health) -19.8% -25.9% -36.3% JDドットコム(09618)傘下のインターネットヘルス大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。外資系ファンドによるポジション圧縮がみられた。
09626 ビリビリ -22.2% -34.6% -59.5% 動画プラットフォーム大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。外資系ファンドによるポジション圧縮がみられた。(SBI証券取り扱いなし。リンク先は米国上場のBILIとなっています。)
00909 Ming Yuan Cloud Group -30.0% -44.0% -54.7% 不動産会社向けソフトウェア大手。市場全体のリスク回避の売りが響いた。外資系ファンドによるポジション圧縮がみられた。(SBI証券取り扱いなし)

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。

今週の中国株市況

3/3-3/10の香港市場は、ハンセン指数が7.0%下落、ハンセンテック指数は10.5%下落しました。米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は、13.8%下落しました。

主な要因は、以下と考えられます。
1)スタグフレーション・リスク:
ウクライナ情勢の悪化を受けた資源高により、世界経済のスタグフレーション・リスクが強く意識されました。
2)ウクライナ危機下の米中対立リスク:
中国のロシア支援を警戒し、米国が中国に圧力を強めていることから米中対立が激化するとの懸念が強まりました。(詳細は「今回のトピックス」部分をご参照願います)
3)中国の金融緩和余地に対する懸念:
世界的なインフレ圧力が中国の金融緩和の余地を狭めるのではないかとの懸念も浮上しました。
4)世界最大の政府系ファンドによる中国株売却:
ノルウェー政府年金基金は「人権侵害に関与している受け入れ難いリスク」を理由に、李寧(02331)の持ち株を処分したと報じられました。中国株全般に対する警戒が強まり、売りを誘いました。

上記を受け、リスク回避姿勢が一層鮮明になり、海外投資家の持ち株比率が比較的高い業種(一般消費財やヘルスケア、生活必需品)が大幅に調整しました。一般消費財は、主に電気自動車(EV)関連銘柄が下げを主導しました。ウクライナ危機を受け、電気自動車(EV)の原材料の供給懸念が浮上しました。こうしたなか、ロンドン金属取引所(LME)で「ニッケル騒動」が起き、EVバッテリー原材料の先高観に対する警戒も強まりました。

EVバッテリー原材料をめぐっては、欧米の対ロ制裁でロシアからの供給懸念が強まっています。それを受け、ニッケル価格は3月に入ってから急上昇し、3/8は一時2倍に急騰しました。急騰要因について、ニッケルのショートポジションを取っていた生産会社などが損切りを余儀なくされ、大規模なショートスクイーズ(踏み上げ)があったと報じられています。相場の混乱を避けるため、LMEは3/8にニッケルの取引を一時停止すると発表しました。

ニッケル価格の急騰が一旦収まるとの期待から、EV関連銘柄は3/9に買い戻されました。しかし、3/10の米国市場では中国のEV関連銘柄が再び大きく調整し、3/11の香港市場でも寄り付きでEV関連銘柄が急落しました。ロシアとウクライナの外相会談が進展なく終了したことに加え、中国企業の米国上場廃止リスクの再燃が売り材料となりました。なお、新興EVメーカー3社(ニオ(NIO)、シャオペン(XPEV)、リーオート(LI))は既に上場廃止リスクに備え、香港市場への重複上場を完了しています。

今回のトピックス

今回はウクライナ危機下の米中対立リスクを取り上げたいと思います。

米証券取引委員会(SEC)は3/8に外国企業説明責任法に基づき、中国ADR5社を上場廃止リスクのある企業リストに掲載しました。5社は、ベイジーンADR(BGNE)、ヤムチャイナ(YUMC)、ザイラボADR(ZLAB)、ACMリサーチ(ACMR)、和黄医薬(中国)(HCM)です。同リスト入りしたことで、上記の5社は外国企業説明責任法の会計監査要件を3年連続で順守できなかった場合、米国市場から上場廃止となる可能性があります。

中国ADRの上場廃止リスクの再燃を受け、中国ADRは大きく調整しました。一部では、ウクライナ危機下で米中対立がさらに激しくなる可能性があるとの懸念も強まりました。背景には、欧米が対ロ制裁を強化しているなか、米国が中国の対ロ支援を警戒し、中国をけん制する動きを強めているからです。

米バイデン大統領は2/24に追加の対ロ制裁として、半導体などハイテク製品の対ロ輸出規制を発動すると発表しました。ロシアがハイテク製品を中国企業から調達する可能性があると指摘されるなか、米国は3/8に、a)中国企業に対し、「対ロシア制裁に違反なら供給網から遮断する」と警告しました。また、b)中国ADR5社を上場廃止リスクのある企業リストに掲載しました。

a)とb)は、米国が中国に対して圧力をかけている点で共通しています。しかし、相場の反応を確認してみると、a)に対してはある意味で冷静的だったのに対し、b)対しては“激しい売り”で反応しました。

たとえば、a)が伝わった3/9の香港市場の関連銘柄の動きを確認してみると、中国半導体大手のSMIC(00981)は上昇しました。一方、b)が報じられた3/10の米国市場では中国ADRが大幅に下落し、3/11の香港市場も寄り付きで急落しました。投資家は、中国ADRの上場廃止リスクをより警戒した格好です。主な要因は、以下2点と考えられます。

1)ロシアとウクライナの外相会談に対し、市場では問題解決に向け、一歩前進することを期待していましたが、3/10に明らかになった会談の結果は“進展なし”でした。それを受け、ウクライナ危機の長期化懸念が意識され、リスク資産を圧縮する動きが強まりました。

2)米国の「上場廃止リスクのある企業リスト」入りで、中国ADRは直ちに上場廃止になることが警戒されました。しかし、これは“誤解”で、相場の反応は“行き過ぎ”と考えられます。というのは、同リストに入った企業はすぐ上場廃止になることはないからです。リスト入りした企業は、リスト入りした時点から連続3年で米国の外国企業説明責任法の会計監査要件を満たせなかった場合にのみ、上場廃止となる可能性があります。これに従うと、上記5社の上場廃止は早くて2024年になる可能性があります。

2)を受け、中国当局は3/11に、同措置は米国が外国企業説明責任法に基づいて実施した通常の手順だとの認識を示しました。同時に従来通りに、問題解決に向けて米国の規制当局と協議する意向があると示しました。米国との協議は続いていることも示唆しました。もし、3年以内に解決策が見つかった場合、中国ADRの上場廃止は避けられる可能性もあります。

なお、ベイジーンADR(BGNE)をはじめとする上記の5社が「上場廃止リスクのある企業リスト」入りした理由はいたって単純です。中国ADRのうち上記5社は、米国証券取引委員会(SEC)に最初に2021年度通期の決算報告書を提出したからです。したがって今後、より多くの企業がSECに通期決算報告書を提出することで、“リスト入り”する企業が増える可能性もあります。しかし、“リスト入り”したこととすぐ上場廃止になることは“イコール”ではないので、時間経過とともに投資家は冷静な反応を取り戻すこととなるでしょう。

一方、「今週の中国株市況」で挙げた4つの調整要因を考慮すると、欧米投資家はリスク資産と認識されやすい中国株に対し、ポジションの圧縮を続ける可能性がありそうです。他方、中国本土投資家による香港上場株への買越額は3月上旬で既に2月の1ヵ月分を超えたと報じられています。海外投資家の売り姿勢に対し、中国本土投資家は押し目買いを行っているもようです。

ウクライナ情勢は流動的で不透明感も濃いことから、ハンセン指数の下値目途を予測することは難しいですが、ご参考までに過去の危機時の株価水準の最安値を確認してみたいと思います。ブルームバーグがまとめたハンセン指数のPBR(株価純資産倍率)の最安値は、2008年の世界金融危機時が約1倍、2015-2016年のチャイナショック時が約0.9倍、2020年の新型コロナの感染急拡大時が0.9倍です。足元のPBRは1倍となっています。予想PER(株価収益率)の最安値の場合は、2008年の世界金融危機時が約8倍、2015-2016年のチャイナショック時が約9倍、2020年の新型コロナの感染急拡大時が9倍です。足元の予想PERは10倍となっています。過去の危機時の最安値を参考にすると、ハンセン指数は一段と下落する可能性もありそうです。中国本土投資家の押し目買いは、短期間な反発を狙ったものというより、中長期的な目線に立った投資であるかもしれません。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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