明日、ブラジルで定例会合(COPOM)があるが、市場の予想通り利下げを決定すると考える。しかし、利下げ幅は前回の75bpsから50bpsへ縮小させると予想する。前回の定例会合の議事録の中で「追加的な金融緩和については倹約的なものになるだろう」としており、追加緩和を示唆しているものの、過去の議事録において上記と同様な表現をした次の会合では利下げ幅を縮小している。
また、4月の消費者物価指数(IPCA)は前年比5.1%増と鈍化しているものの、瞬間風速を示す前月比ではむしろインフレ率は加速しており、同国におけるインフレ動向の見極めが非常に難しい事が分かる。依然としてインフレ懸念がくすぶる中で、追加緩和を推進することも難しいため、今回は利下げ幅を縮小するという予想に関しては、それなりの確度を持つことが出来るのではないだろうか。裏を返せば、今回も75bps下げるということになれば、市場ではサプライズ要因として注目されることになるだろう。
今月3日にブラジル政府が貯蓄預金の金利設定を変動金利へ変更したことや、マンデガ財務相がレアル安容認の発言を繰り返していることを勘案すると、今後もレアル建て資産は非常に厳しい環境が続くと想定されるが、同国特有の税構造やタイトな雇用環境を背景とする賃金上昇等を考えると、年後半から来年以降は再びインフレが加速する可能性は高く、再度、引き締め政策への転換を折り込む形で中期的には金利が上昇していく見通しを立てている。
図1:ブラジルのインフレ率と政策金利の推移
前年比ではインフレ鈍化は継続も、前月比では再加速