オーストラリア準備銀行(RBA)は4月3日に開かれた政策理事会において、政策金利を現行の4.25%に据え置くことを決定した。同国中銀は世界経済の減速を背景に昨年の11月、12月に連続で政策金利を引き下げたものの、その後は政策金利を据え置いており、これで3会合連続での据え置きとなった。前回の会合における声明文では「緩和の余地がある」と追加の金融緩和を示唆したものの、結局今回の会合では利下げをしなかった。ただし、今回の声明文でもマクロ指標を考慮したうえでの追加緩和を示唆しており、依然として政策金利の引き下げというオプションは持ち続けていると考えた方がいいだろう。
同国のマクロ指標に目を向けると、洪水被害による一時的な物価上昇は収まりつつある一方で、先進国の中では比較的金利が高い上に、依然として高格付けを維持している同国通貨への需要に起因する通貨高が同国経済には悪影響を与えており、政策金利の引き下げの素地は整っていると理解している。
同国の統計局が4日に発表した2月の貿易収支(季節調整済み)は4.8億豪ドルの赤字であった。事前予想では2月の結果が貿易赤字になるとは予測されていなかったうえに、2010年初め以来、久々に貿易収支が2カ月連続で赤字となったため、統計発表後は流石に市場では豪ドル売りが加速した。しかし、その後の推移を見ていても下値は堅く、余程の事がない限りは依然として底堅い展開が続くだろう。
図1:2012年初から直近までの豪ドルの対円、対ドル相場の推移
2012年は各材料に左右される相場展開が続く
図2:オーストラリアの消費者物価指数(前年比)の推移
水被害による一時的な物価上昇圧力は緩和
図3:オーストラリアの貿易収支の推移
2月の貿易収支は予想外に赤字となった。
2010年初め以来の2ヶ月連続赤字となった