2Q(4-6月期)決算速報(現地7/21寄り前発表)
●決算発表当日の株価:18.92ドル(-7.62%)
●売上高:296.4億ドル(予想295.7億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:0.65ドル(予想0.62ドル)〇市場予想を上回った
●フリーキャッシュフロー:11.8億ドル(予想37.0億ドル)X市場予想を大きく下回った
●2022/12期通期フリーキャッシュフロー:従来予想の160億ドルから140億ドルへと引き下げた(予想159.6億ドル)X市場予想を下回った
●2022/12期通期モビリティ事業売上高見通し:+4.5〜+5.0%
売上高、調整後EPSは市場予想を上回りました。しかしフリーキャッシュフローが予想に全く届かず、加えて通期の見通しを下方修正しました。同社は理由の一つとして設備投資の増額を挙げております
決算発表当日のチャート
決算のポイント
●ポストペイド携帯新規加入者数:+81万人(予想+55.4万人)〇市場予想を大きく上回った
●ポストペイド携帯合計加入者数:6,830万人(予想6,810万人)△市場予想とほぼ一致した
●AT&Tファイバー合計契約者数:660万人(前年同期比22%増)
●AT&Tファイバー新規契約者数:31.6万人(前年同期比28%増)
●コミュニケーション事業収入:287.0億ドル(予想285.3億ドル)〇市場予想を上回った
●南米事業:8.1億ドル(予想7.2億ドル)〇市場予想を上回った
●モビリティ事業:199.3億ドル(予想196.5億ドル)〇市場予想を上回った
●フリーキャッシュフロー:11.8億ドル(予想37.0億ドル)X市場予想を大きく下回った
●CAPEX(資本的支出):47.3億ドル(予想47.6億ドル)
●ミッドバンド5Gサービスのユーザー数は期初目標の7000万ユーザーを達成、年末には1億ユーザーに拡大を見込む
経営陣の主なコメント
●ネットワークインフラを充実させ5G(ワイヤレス)とファイバー(ケーブル)のツインエンジンで成長に寄与、全米No1のブロードバンド事業者であると認識している
●モビリティ(携帯電話)の勢いは21年から継続している。2Qも1Q同様、過去最高水準のポストペイド携帯加入者を獲得した
●業績はプロモーション活動に加えて適正な価格提案が貢献している。2QのARPU(顧客あたり平均売上高)は改善し下半期も好調を見込む
●重要課題であるコスト削減については年末までに60億ドルを目標としているが40億ドルについては実現可能と見ている
●インフレにより経営コストが上昇している。値上げ(5月一部携帯電話料金の値上げを実施)によるカバーは十分ではないが期待値には達している
●フリーキャッシュフローは会社予想を下回った。原因の一つは強い顧客ニーズに応える為、設備投資の増額がある
●配当金の支払いに関して、当社は株主にとって魅力的水準を過去も現在も提供していると考えている。経営課題としてはバランスシートの改善、設備投資増強、自社株買いなども検討に値しよう
決算を受けたマーケットの反応
売上高、調整後EPSは市場予想を上回りました。しかしフリーキャッシュフローが予想に全く届かず、加えて通期の見通しを下方修正しました。会社は理由の一つとして設備投資の増額を挙げましたが、投資家は高インフレによる顧客の支出削減を懸念。株価は2002年末以来の大幅下落となりました。
会社は携帯電話加入者数が過去最高水準にあるなどブロードバンド事業の好調をアピールしております。その一方で投資家はフリーキャッシュフローの下振れが配当金の減額に繋がる、インフレが顧客の支出抑制を招くとの懸念を強めたようです。米国最大のブロードバンド事業者を誇るAT&T。経営陣は今後5年間でネット上のデータは5倍に増加するとしております。市場拡大の恩恵を受ける成長企業か、配当金を産む「キャッシュ・カウ」企業への投資なのか投資戦略が問われそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:22.74ドル、予想PER7.5倍、配当利回り5.87%(7/21時点)