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決算速報(現地1/27引け後発表)
●決算発表後の時間外取引(日本時間10:00時点):820.39ドル(-5.07%)
●売上高:107.4億ドル(予想103.8億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:0.80ドル(予想1.03ドル)×市場予想を下回った
●通期納入台数目標:今後複数年、平均で前年比50%増のペースで納入台数は増加する見込み。また、2021年がそうであると予想するが、それ以上のペースで増加する年もあると予想する。
調整後EPSが市場予想を下回ったことや、具体的な納入台数目標が示されなかったことが嫌気され、株価は時間外取引で大幅安となりました。
決算発表直前までの、過去半年間のチャート
※出所:トムソン・ロイター(現地1/27までの過去半年間、移動平均線は200日)
決算のポイント
●10-12月期の売上高は市場予想を上回ったものの、調整後EPSが市場予想を下回りました。
●フリーキャッシュフローは18.7億ドルとなり、市場予想の10.4億ドルを上回りました。
●通期納車台数については具体的な数字が発表されませんでしたが、昨年の約50万台からの50%増とすると約75万台となります。また、「2021年はそれを上回るペースになる見込み」ともコメントしています。
●エネルギーストレージ事業や太陽光発電事業が大きく伸びました。
●「モデルS」と「モデルX」について、大規模なアップデートが発表されました。
経営陣の主なコメント
●ドイツのベルリンと米国テキサス州に建設中の工場では、計画通り今年中に生産を開始する予定。
●ベルリンとテキサスの新工場で生産される「モデルY」については、「(昨年のバッテリーデイで発表された)ストラクチュアルバッテリー構造と自社生産のバッテリー」が活用される。
●EVトラックの「セミ」については年内に納車を開始する予定。
●EVピックアップトラックの「サイバートラック」については少数を年後半に納車できることを「望んでいる」が、量産は2022年になる。
●アップデートされた「モデルS」は来月にも納車が開始され、「モデルX」はもう少し後になる。
●完全自動運転機能(FSD)のベータ版については開発が進んでおり、サブスクリプション型の提供も来月かその後くらいに開始する見込み。
●運転支援システム「オートパイロット(もしくはFSD)」については、他の自動車メーカーにライセンス供与することについて話し合ったこともあるが、もう少しまずはソフトウェアの能力を実証する必要があるかもしれない。
●自社でバッテリーを生産しているが、それは他社から買わないことを意味しない。むしろ、適正な価格なら「いくらでも買う」ので、いくらでも生産してほしい。
●世界的な半導体の不足に対しては影響がでないように注力している。
●やることはまだまだあるので、まだ当分の間はCEOにとどまるつもりだ(イーロン・マスク氏)。
決算を受けたマーケットの反応
市場関係者の間では「80万台以上」といった具体的な数値目標が発表されるとの期待が高まっていたため、「前年比で平均50%の成長率」といった曖昧な表現が嫌気されたようです。
もっとも、年50%以上の成長率で、特に2021年はそれ以上のペースになる見込みとのコメントは実質的には80万台以上の納車台数を示唆しているため、それほど悲観しなくても良いのかもしれません。また、新工場の建設が概ねスケジュール通りであるということや、「モデルS」や「モデルX」のアップデートの発表などを考えると、内容的には良い決算発表であったともいえそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:531.97ドル(1/27時点)