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決算速報(現地8/20寄り前発表)
●決算発表当日の終値:257.97ドル(-1.01%)
●売上高:1,537.5億人民元(予想1,480.6億人民元)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:14.82人民元(予想13.79人民元)〇市場予想を上回った
売上高の成長率が新型コロナのパンデミック前をほぼ回復するなど堅調な業績が示されましたが、その決算の中身が表面上ほど良くないのではないかという指摘が一部であったことや、米中関係の緊張の高まりなどを背景に、株価は売りに押されました。
決算発表当日を含む、過去1年間のチャート
※出所:トムソン・ロイター(現地8/20までの過去1年間、移動平均線は52週)
決算のポイント
●4-6月期の売上高と調整後EPSは市場予想を上回りました。
●4-6月期のモバイルユーザーのMAU(月間アクティブユーザー数)は8.74億人となり、市場予想の8.71億人を上回りました。
●4-6月期のクラウド関連の売上高は123.5億人民元となり、市場予想の120.9億人民元を上回りました。
●33%の株式を保有し、IPOが計画されている金融関連会社アント・グループについて、1-3月期の利益が前年同期比約6倍の13億ドルとなっていたことも明らかになりました。
経営陣の主なコメント
●当社の中国国内の中核コマース事業は新型コロナの感染拡大前を完全に回復し、クラウド事業の売上高は前四半期比+59%となった。
●地政学的な情勢の変化は注視している。
●成長のために積極的に投資を行っていく。
●米国における事業は継続され、今後も米国の各種ブランドや小売り企業、中小企業、農家が中国を含め世界各国と取引できるようにサポートしていく。
決算を受けたマーケットの反応
4-6月期の業績は市場予想を上回りましたが、米中関係の緊張の高まりが引き続き意識されたほか、決算の内容が表面上ほど良くないのではないかという指摘も一部であり、株価は売りに押されました。
マーケット関係者の一部から出た指摘に、「4-6月期の売上高の伸びに一番貢献したものは『ニューリテール』と中国企業が呼ぶ分野だが、このニューリテールとは実際のところ従来からの実店舗、スーパーマーケットとなる」、「Eコマースの伸びだけをみると前年同期比の成長率はたったの21%で、これより悪かったのは新型コロナの感染拡大が起きた1-3月期のみ」といったものがありました。
また、そうした指摘のほか、クラウド事業についても成長率は前年同期比+59%となったものの、引き続き赤字となっていることが嫌気された可能性があります。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:293.10ドル(8/20時点)