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決算速報(現地7/22引け後発表)
●決算発表後の時間外取引:1657.00ドル(+4.06%)※7/24引け時点では1417.00ドル
●売上高:60.4億ドル(予想54.0億ドル)〇市場予想を上回った
●EPS:0.50ドル(予想-1.06ドル)〇市場予想を上回った
最大の注目点であったEPS(1株当たり利益)が黒字となり、株価は決算発表直後の時間外取引で上昇しました。
※その後は一部アナリストによる慎重なコメントや、マーケット全体が下落したことなどを受け、7/24の株価は1417.00ドルへと下落しています。
決算発表後の2日間を含む、過去1年間のチャート
※出所:トムソン・ロイター(現地7/24までの過去1年間、移動平均線は52週)
決算のポイント
●4-6月期の売上高、EPS(GAAPベース)が共に市場予想を上回りました。
●4四半期連続の黒字となったことで、S&P500指数への組み入れ時に考慮される前提条件を満たしました。
●フリーキャッシュフローは4.2億ドルのプラスとなり、市場予想の6.2億ドルのマイナスよりも良好な結果となりました。
●EVトラック「セミ」については2021年に納入を開始するとしています。
●年間50万台以上の納入目標については据え置きました。
●米テキサス州オースティン近郊にEVピックアップトラック「サイバートラック」などを生産する工場を建設するとしています。
経営陣の主なコメント
●テキサスに新しい工場を建設し、「サイバートラック」、「セミ」、「モデル3」、「モデルY」などを同工場で生産する。
●カリフォルニアの工場も引き続き拡大する。
●「完全自動運転」については年内に機能が完成する自信はあり、実際自分で運転してみたところ、自宅から勤務先までほぼ完全に自動で運転している。
●かつてないほど、当社について興奮しているし、前向きだ。
●コンパクトカーを将来的に開発することは妥当だが、当面は「モデル3」や「モデルY」、「サイバートラック」、「セミ」などいろいろとそれまでに道のりがある。
●上海の工場を見てもらえばわかるように、当社は車の生産が格段に上達している。ベルリンの工場ではさらに上達しているだろうし、車のデザインも生産性を上げるために変更していく。
●テスラの長期的なアドバンテージは、製造能力にあると考えている。
●成長の最も大きな障害となっているのは、バッテリーを安価に製造することだが、ここについては「バッテリーデイ」で話したいと思う。
●ニッケルを掘ってくれ、効率的かつ環境に優しければ、テスラは長期かつ巨大な契約を結ぶだろう。
●二酸化炭素排出枠(排出規制信用、クレジット)売却による売上高は2020年に倍増する見込み。
●保険事業は今後拡大する予定で、年内にはカリフォルニア州以外の州にも展開したい。
●当社は倒産は回避する必要があるが、とてつもない利益を上げようとも思っていない。車をより手が届く価格で販売し、成長を最大化したいと考えている。
決算を受けたマーケットの反応
四半期連続の黒字を達成したことで決算発表直後の時間外取引では上昇したものの、その後はマーケット全体が軟調になったこともあり、売りに押されています。
新型コロナの影響で主力のカリフォルニア州の工場が3月下旬から約1ヵ月半稼働を停止していたにもかかわらず4-6月期が黒字となったことで、テスラはS&P500指数への組み入れに必要となる4四半期連続の黒字を達成しました。しかしながら、材料出尽くしではないかとの声や、S&P500指数への組み入れは必ずしも、そして早期に行われるものではないとの指摘があったほか、米中関係の緊張化や軟調な経済指標などを受けマーケット全体が下落したこともあり、テスラの株価は23日と24日に連日の下落となりました。
今後の展開としては、当面売りに押される可能性があるものの、S&P500指数への組み入れが発表された場合は急騰する可能性があるほか、9/22に予定されているテスラの株主総会と「バッテリーデイ」のイベントが近づくにつれ、再度株価は上昇に転じる可能性があると思われます。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:1055.44ドル(7/26時点)