米国株の当社顧客保有人数上位50で、1/22(火)〜1/24(木)に10-12月期決算を発表したジョンソン & ジョンソン(JNJ)、IBM(IBM)、プロクター & ギャンブル(PG)、インテル(INTC)、インテューイティブ サージカル(ISRG)の決算速報です。
ジョンソン&ジョンソンは訴訟の懸念を除けば堅調、IBMは7-9月期よりも改善、P&Gは2四半期連続で改善、インテルは急減速、インチュイティブサージカルは好調持続と言えそうです。
銘柄名(コード) 決算発表日、株価反応日 株価、前日比、今期予想EPS、アナリスト目標株価 |
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直近実績 |
前年同期比 |
予想乖離 |
前四半期の 前年同期比 |
ジョンソン エンド ジョンソン(JNJ) 1/22、1/22 |
売上(億ドル) |
204 |
1% |
1% |
4% |
128.80ドル、-1.5%、8.58ドル、145.16ドル |
EPS(ドル) |
1.97 |
13% |
1% |
8% |
【医薬品部門が牽引して業績堅調ながら、ベビーパウダーの訴訟が心配】
- 10-12月期の基調売上は前年同期比5.3%増(4-6月期は同5.5%増)と堅調です。ドル高による売上の押し下げや事業売却の影響などで報告ベースの売上は前年同期比1.0%増でした。19年12月期のガイダンスは、売上が804〜812億ドル、調整後EPSが8.50〜8.65ドルで、基調売上は2〜3%の増加が想定されています。
- 10-12月期の部門別の売上は、医薬品部門が乾癬治療薬「ステラーラ」、多発性骨髄腫治療薬「DARZALEX」、B細胞性腫瘍の治療薬「IMBRUVICA」の増加などの貢献で前年同期比5.3%増(オーガニックには同7.2%増)、大衆薬などの伸びがベビーケア、傷ケアの減少で相殺された消費者部門が同0.1%減(同3.3%増)、糖尿病関連事業の売却が影響した医療用機器部門が同4.4%減(同2.2%減)でした。
- 医療品部門が牽引して業績は堅調です。ただし、同社ベビーパウダーにアスベストが混入していた件に関連する数千件の訴訟を抱え、賠償額が巨額となる可能性がある点には注意が必要です。
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IBM(IBM) 1/22、1/23 |
売上(億ドル) |
218 |
-3% |
0% |
-2% |
132.89ドル、+8.5%、13.91ドル、143.39ドル |
EPS(ドル) |
4.87 |
-6% |
1% |
4% |
【コグニティブ・ソリューションの売上が改善】
- 10-12月期は人工知能の「ワトソン」を擁し売上の牽引が期待されているコグニティブ・ソリューション部門の売上が前年同期比横ばい(為替の影響を除いて同2%増)と、7-9月期の同6%減(為替の影響を除いて同5%減)から改善して安心感が広がりました。19年の業績ガイダンスは、調整後EPSが「少なくとも13.90ドル」(18年実績は13.81ドル)、キャッシュフローが約120億ドルとしました。
- 主力部門の売上は、コグニティブ・ソリューションが55億ドルで前年同期比0%(7-9月期は同6%減)、グローバル・ビジネス・サービスが43億ドルで同4%増(同1%増)、テクノロジー・サービス&クラウド・プラットフォームが89億ドルで同3%減(同2%減)、システムが26億ドルで同21%減(同9%増)でした。システムはメインフレームの新製品「Z」の投入で前年同期が膨らんでいたことによる減少です。部門を横断する「戦略上不可欠な売上」(クラウド、モバイルコンピューティング、ビジネス・アナリティクス、セキュリティなど)の過去12ヵ月の売上は398億ドルで前年比9%増で7-9月期の同13%増から減速でした。
- 決算全体の見栄えはよくないものの、メインフレームの製品サイクルの影響を含み、コグニティブ・ソリューション、グローバル・ビジネス・サービスの売上伸び率が高まっているため、前回から改善を示す決算と言えるでしょう。
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プロクター アンド ギャンブル(PG) 1/23、1/23 |
売上(億ドル) |
174 |
0% |
2% |
0% |
94.84ドル、+4.9%、4.45ドル、97.24ドル |
EPS(ドル) |
1.25 |
5% |
3% |
3% |
【2四半期連続で業況が改善、19年ガイダンスも堅調】
- オーガニック売上成長率(為替や事業買収・売却の影響を除いた成長)は前年同期比4%増と7-9月期の同4%増と替わらずで堅調です。数量効果がヘルスケア、ファブリック&ホームなどの分野が牽引して前年同期比2%増、価格効果が同1%増、ビューティが牽引して製品ミックスが同1%増となっています。為替による売上の目減りは4%ポイントあり、営業利益は前年同期比1%減ですが7-9月期の同3%減よりも悪化幅は低下しました。
- 19年のガイダンスは、オーガニック売上成長率が前年比2〜4%増、為替による押し下げを3〜4%ポイント想定して、報告ベースの売上は前年比1%減〜同1%増としています。18年のコアEPS4.22ドルに対して3〜4%の増加を想定しています。
- 2四半期連続で業況が改善し、決算リリースのCEOコメントも「マクロ環境、競合状況は厳しいものの、優位性、生産性、組織と企業文化の改善によって業績を改善しつつある。」として、以前よりもコメントがポジティブになっています。
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インテル(INTC) 1/24、1/24(時間外) |
売上(億ドル) |
187 |
9% |
-2% |
19% |
46.47ドル、-6.6%、4.51ドル、54.79ドル |
EPS(ドル) |
1.28 |
19% |
5% |
39% |
【18年7-9月期から19年1-3月期に向け業績モメンタムが急低下】
- 10-12月期決算は、PC向け、データセンター向けとも7-9月期に比べてモメンタムが低下、市場予想に対して売上は2%ショートしました。会社は売上が10月の予想を下回った要因として、モデム需要の低下、中国売上の鈍化、クラウドの鈍化、フラッシュメモリー市場の軟化をあげています。
- 主力部門は、クライアントコンピューティンググループ(PC向けCPUなど)は、売上が前年同期比10%増(7-9月期は同16%増)、営業利益は同12%増(同26%増)、データセンターグループ(サーバー向けCPU)の売上は同9%増(7-9月期は同26%増)、営業利益は同2%増(同37%増)と、いずれも7-9月期からモメンタムが低下しています。IoTは同7%の減収、メモリーは同25%の増収でした。
- 19年1-3月期のガイダンスは売上が160億ドル(前年同期比0%)、調整後EPSは0.87ドル(同5%減)で、市場予想のそれぞれ173億ドル、1.02ドルを大きく下回りました。データセンター向けが前年同期比一桁台前半のマイナス、PC向けが一桁台前半のプラスが想定されています。19年12月期は、売上が715億ドル(前年比1%増)、調整後EPSは4.60ドル(同6%増)で、データセンター向けが1桁台半ばのプラス、PC向けが一桁台前半のマイナスが想定されています。
- 同じ半導体メーカーのテキサスインスツルメンツは産業景気の影響が大きく7-9月期に業績悪化がはっきりしていたため、今回の決算発表ではガイダンスが予想を下回っても株価は上昇で反応しました。一方、インテルは7-9月期が絶好調であったため、今回は失望で反応したと解釈できるでしょう。
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インテューイティブ サージカル(ISRG) 1/24、1/24(時間外) |
売上(億ドル) |
10.47 |
17% |
1% |
14% |
514.99ドル、-3.2%、12.78ドル、586.18ドル |
EPS(ドル) |
2.96 |
17% |
-2% |
2% |
【見かけよりも良好な堅調決算】
- 手術支援ロボットの「ダビンチ」の製造・販売を主力事業とする企業です。10-12月期は、同社製品を使った手術の増加で、上表の通り順調に拡大しています。7-9月期に比べてモメンタムが強まっているように見えますが、7-9月期は売上の期ズレや税金関係の一時要因で売上・EPSとも前年同期比の伸びが低くなっていたことによります。
- ダビンチを使用した手術件数は前年同期比19%増、米国では全般的な手術で、海外では泌尿器手術での使用が牽引しています。同システムの出荷台数は290台で前年同期の216台から34%増と順調に拡大しています。分野別の売上は、システムが3.41億ドルドルで前年同期比20%増、機器およびアクセサリーが5.39億ドルで同18%増、サービスが1.67億ドルで同11%増でした。
- 10-12月期実績が市場予想を下回って、1/24(木)の株価は時間外で下落していますが、中期的な業績拡大は順調に見えます。
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※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
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