9月を迎え先進各国の金融政策の発表が進んでいます。本稿執筆（9月18日）時点において発表が済んでいるECBのほか、9月19日に発表される日銀、9月26日に発表があるFOMCと市場予想から大きな波乱はないものと見られており、為替相場の値動きは今後も乏しい展開が予想されます。

現在の米ドル対円相場を見ると、相場の変動性（ボラティリティ）は歴史的な低水準にあります。ボラティリティが低い、すなわち市場の値動きが小さくなった相場では、株式投資やFXなど、相場の上昇・下落で利益を目指す投資では、なかなか利益をあげることが難しくなり、一時的に相場から離れる方も多いのではないでしょうか。しかし、もし相場が動かないことが予想されているのであれば、逆にそれを投資機会にできる商品があることをご存知でしょうか。

eワラントの一種であるニアピンという商品は、銘柄の選び方次第で動かない相場を投資機会とすることができる大変ユニークな商品です。本レポートでは、ニアピンeワラントの商品特性と今後予想される動かない相場でどのようにニアピンeワラントを活用することができるのかを紹介しています。

ニアピンeワラント（以下、ニアピン）は特殊なeワラントです。コール型eワラントは相場の上昇を、プット型eワラントは相場の下落を予想するのに対して、ニアピンは一定の期日（＝満期日）において、対象となる相場の水準が「いくらくらいになるか」を予想します。ニアピンには、権利行使価格ではなく「ピン価格」が設定されています。

満期日の相場水準がピン価格とピッタリ一致（ゴルフでいうホールインワン）した場合、満期日に1ワラントあたり100円を受け取ることができます。eワラントは1000ワラント単位の売買となりますので、仮に1000ワラント保有していた場合には、10万円の受取り金が発生する計算になります。

仮にピッタリ一致しなくても、満期日の相場水準がピン価格から一定の範囲内に収まっていれば（ゴルフでいうニアピン賞）、ピン価格からの乖離額に応じて受取り金が発生します。

ニアピンの対象原資産は「日経平均」と「米ドル対円相場」の2つのみです。「日経平均」を投資対象とするニアピンは、満期日の日経平均株価がピン価格の前後250円未満におさまれば、満期日に受取金額が発生します。「米ドル対円相場」を投資対象とするニアピンは、満期日の米ドル対円相場の水準がピン価格の前後2円未満におさまれば、受取金額が発生します。具体的な受取り金の計算式は以下の通りです。

1．日経平均ニアピンの満期決済金額
日経平均ニアピンの満期受取金額は、日経平均の満期日の始値をもとに計算されます。日経平均の満期日の始値と、日経平均ニアピンのピン価格との差額をA円とした場合、Aが250円未満のときの満期決済金額の計算式は次の通りです（Aが250円以上のときは満期受取金額は0円）。
【日経平均ニアピンの満期決済金額】
満期決済金額 ＝ 100 − A × 0.4

2．米ドルニアピンの満期決済金額
米ドルニアピンの満期決済金額は、米ドルの満期日の午前9時における米ドルリンク債（米ドル対円相場に連動する債券）の価格をもとに計算されます。同時間の米ドルリンク債の価格と、米ドルのピン価格との差額をB円とした場合、Bが2円未満のときの満期決済金額の計算式は次の通りです（Bが2円以上のときは満期受取金額は0円）。
【米ドルニアピンの満期決済金額】
満期決済金額 ＝ 100 − B × 50

相場水準がニアピンのピン価格に近いとき、相場水準などの条件が変わらず時間だけが経過すると、満期日に受取金が発生する確率が高まり、ニアピンの価格も上昇することが期待されます。つまり、ニアピンを活用すれば、相場が上にも下にも値動きしない局面でも値上がり益を狙うことができます。なお、ニアピンはコール型やプット型と同様に、満期日の前でも売却をして損益を確定させることができます。ただし、満期前のお客様の売却は満期日の前営業日の15時までとなります。

とはいえ、将来の相場水準をピッタリ予想することが難しいものです。そのような場合には、満期が等しく、ピン価格が隣り合うニアピンを複数（下記の試算では2銘柄）保有することで受取り金の発生確率を高めるという投資手法があります。本稿執筆時点（2018年9月18日16時時点）で2018年11月14日が満期となっているニアピンがありますので、これを活用した事例を紹介します。なお、以下の価格情報は本稿執筆時点のものです。

例えば、満期日（午前9時時点）の米ドル対円相場が111円から113円のレンジに収まることを想定するならば、
Aピン価格111円　販売価格（売気配）29.22円を1,000ワラント
Bピン価格113円　販売価格（売気配）32.84円を1,000ワラント
を購入して満期まで待ちます。合計投資金額は62,060円となります。
A、Bそれぞれの満期受取金は満期日の米ドル対円相場の水準によって次の通りとなります。

合計投資金額は62,060円ですので、満期の受取金額が62,060円超となれば利益が発生します。この例では2銘柄に投資することを紹介しましたが、上下のピン価格のニアピンを購入して幅広にすることもできます。ただし、受取金発生の可能性が高まる一方で投資にかかる元手も増えるので、得られる利益は低下します。仮に同一満期日を持つ全ての種類のニアピンを購入しても、一般に投資金額の全てを回収することはできない可能性がある点には注意が必要です。

今週は安川電機のコールを選んだよ。米国による通商政策の影響が株価をここまで押し下げた主因の一つだと考えられるけど、過去1年間での安値を更新するほどの業績に悪影響はでていないんじゃないかな。コールで今後の反発に期待したいところだね。

選んだ権利行使価格は現状の株価よりもやや高めだけど、株価が上昇した際にはレバレッジ効果の拡大が期待できるよ。

1ヵ月程度を想定しているよ。

4円まで上昇を期待しているよ。

• ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。

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• ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。

トランプ米政権は制裁関税の第3弾を24日に発動すると発表したよ。過去2回の関税対象が合計で500億ドルなのに対し、第3弾の対象は2000億ドル規模となる見込みで、実施されれば中国経済が大打撃を受けることは避けられないね。米国との貿易摩擦の更なる激化を懸念して、上海市場は下落し、終値ベースでチャイナショック以降の最安値を更新したらしいよ。でも、実際に中国経済への影響が本格化するのはまだ先だと考えると、更なる下落にプットで備えをしておきたいところだね。eワラントには上海指数と相関性が高いと考えられるハンセンH株を対象としたものがあるよ。

中期的な下落トレンドを想定しているので、満期までやや長い銘柄を選んだよ。

まずは2週間程度で情勢が変わるかどうか見てみたいね。

3円を目標価格に設定するよ。

• ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。

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