今週19日の朝方、トランプ米大統領の中国製品に対する2,000億ドルの追加関税発言をきっかけに世界の株式市場は大きく下落しました。中国も対抗する構えを見せており、世界的な貿易摩擦に対する懸念が大きくなりつつあります。
景気の先行指数として注目されているものの1つにISM(米サプライマネジメント協会)が発表しているPMIがあります。PMIは景況感指数とも言われており、直近のISM製造業PMIやISM非製造業PMIの動きを見ると、トランプ米政権による貿易摩擦への懸念なのか、景況感は悪化しつつあるのかもしれません。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
PMIと株価
ISM製造業PMIは製造業の購買担当者、ISM非製造業PMIは非製造業の購買担当者に対するアンケートを集計したもので、50を超えていれば景気の拡大、50を下回ると景気の減速を示すとされています。このことからこれらのPMIは景気の先行指数とされています。
図1は製造業PMIとNYダウ平均株価の関係を比較したものですが、近年は米国でも産業構造の転換が進んでいることから、製造業PMIよりも非製造業PMIを重視すべきという考え方もあります。そこで図1のPMIは製造業PMIと非製造業PMIの平均値をとり、更にそのトレンドを見るためにその平均値の移動平均も載せています。PMIが上昇傾向にあるときは株価も上昇傾向にあり、PMIが低下傾向にあるときは株価の上値も重くなっています。過去20年間を振り返るとPMIは30から60ほどのレンジ内にあることが分かります。
景況感はピークアウトしたのか?
図2は直近2年の状況です。PMIは毎月上下にブレていますが、トレンドを見ると今年に入ってから上昇トレンドから横ばいに変化しており、景況感はピークアウトしたのかもしれません。株価もPMIと同様に景気の先行指標とされることから、景況感のピークアウトとともに株価もピークアウトしたのかもしれず、今後発表されるPMIに株価は敏感に反応するかもしれません。
ボラティリティとの関係
景況感との関係で興味深いのはボラティリティ(価格変動の大きさ)との関係です。図3はPMIとNYダウ平均株価のボラティリティの関係を示したものです。ここではNYダウ平均株価の過去の価格変動を元に計算したヒストリカルボラティリティを載せています。
ISM製造業PMIとボラティリティは逆の動きをしています。つまり、景況感が良くなると株価変動が落ち着き、景況感が悪くなると株価変動が大きくなる傾向にあったということです。昨年のボラティリティは歴史的な低水準で推移していましたが今年に入ってからは上昇傾向にあります。PMIが低下傾向に転じるとするとボラティリティは一段と上昇していくかもしれません。
トランプ米大統領の通商政策を巡る発言は世界各国の反発を招いていますが、貿易摩擦がどこまで発展するかは不透明な状況です。企業としては製造・開発拠点を変えるべきなのか、変えるとすればどの国に置くのが良いのかなど、海外の設備投資計画が立てにくいなどといった弊害が生じているかもしれません。今年に入ってからの景況感の悪化は米国の通商政策の不透明感が一因かもしれず、今後の株安やボラティリティの上昇に注意が必要かもしれません。
投資戦略としては株安とボラティリティ上昇の両面の恩恵を期待できるプット型eワラントやプットオプションの買いを検討します。タイミングとしては毎月のISM製造業PMI及びISM非製造業PMIの発表日などが狙い目かもしれません。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
eワラントの関連コンテンツ
ちょっとe(イー)銘柄の見つけかた
ご注意事項
- eワラント、ニアピンeワラントおよびトラッカーeワラントは取引時間内であっても取引が停止されることがある等、リスクがあります。詳しい情報はホームページの「手数料及びリスク説明:必ずお読み下さい」をご参照下さい。
- 本資料は情報の提供を目的としており、本資料によって何らかの行動を勧誘するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社は本資料が正確、完全あるいは/且つ最新のものである事を表明するものではなく、またその責任も負いません。尚、当社及び当社の関連会社、役員、社員その他本資料の作成に携わった関係者が本資料に記された企業の証券または(オプションなどの)派生商品の買い持ちや売り持ち、及び売買を時として行うことがあり得ます。本資料に掲載されている内容の著作権は、原則としてeワラント証券に帰属します。事前に当社の書面による許可なく、本文の一部または全部を第三者へ再配布することを禁じます。
- eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式(上場投資信託等を含む)・株価指数、預託証券、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
- ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
- トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。
- SBI証券におけるカバードワラント取引手数料は無料です。また、お客様の購入価格と売却価格には価格差(売買スプレッド)があります。トラッカーeワラントの購入価格には年率で計算された管理コストが予め織り込まれています。管理コストは、計算時点におけるマーケット・メーカーのヘッジコスト(金利水準、ヘッジ対象の流動性、資金調達コスト等を含む)の予想に基づいて設定され、銘柄および購入時点によって異なる可能性があります。
商号等 / eワラント証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会 / 日本証券業協会
提供:eワラント証券