日本株や米国株で、11月から翌年4月までのパフォーマンスが好調となることが多いという「半年アノマリー」は広く知られるようになりました。また、従来から12月は「掉尾の一振(とうびのいっしん)」とも言われ、大納会にかけて株高になりやすいとされています。そこで、日米の主要株価指数、クロス円為替レート、主なコモディティに関して、12月の過去の平均リターンを確認してみました。
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日米の主要株価指数:12月は群を抜く強さ
図1は、日経平均、TOPIX、マザーズ総合、NYダウ、S&P500、NASDAQ総合という日米各3つ、計6の株価指数の、過去12年における各月の平均リターンです。これらを見ると、ややバラツキがあるものの年末から春にかけては総じて堅調ということが見てとれます。日本の株価指数で大型株の影響が強く出る日経平均とTOPIXは概ね同じような値動きで、平均すると11月と12月、2月〜4月が堅調で「半年アノマリー」が顕著です。また、新興企業市場であるマザーズ総合指数は各月の浮き沈みが大きい事に加えて、日経平均やTOPIXが落ち込む1月は逆行高となる一方、2月は反対に独歩安という点に特徴があります。
米国の主要株価指数であるNYダウ、S&P500 、NASDAQ総合は共に似たような値動きとなっていて、2月〜4月、7月、9月〜12月に上昇しています。なお、NASDAQ総合指数は新興企業市場とはいえ、マイクロソフトやグーグルといった巨大企業を含み、3000銘柄以上を対象としているので、成長企業の多くが次々と東証一部に移行していくマザーズ総合指数とはかなり性質が異なっている点も値動きに出ているようです。
これら全てに共通しているのが12月パフォーマンスがかなり堅調という点です。ただし、マザーズ総合指数を除く全ての株価指数が1月は軟調となっていて、日経平均の方がTOPIXよりも大きく凹んでいることは留意すべきと思われます。
図1:日米株価指数の各月平均リターン(2004.1-2015.11)
※ロイターデータよりeワラント証券が作成
クロス円為替レート:米ドル、ユーロ、豪ドルは12月高い。1月は円高
図2は米ドル、ユーロ、豪ドル、ポンドの対円為替レートの月平均変化率をみたものです。為替レートは一方が上がれば他方が下がるという、あくまで交換レートなので「リターン」ではなく「変化率」としています。なお、通貨間の金利差は考慮していません。
為替レートの表記慣行で「米ドル/円」とした場合は、「米ドルの1単位あたりの交換レートを日本円で表したもの」という意味になります。図ではすべて外貨/円と揃えてあるので、変化率がプラスなら外貨高(円安)、マイナスなら外貨安(円高)と単純に比較できます。これは、国内投資家が外貨に短期投資した場合のリターンと概ね同じと考えることができます。
米ドル/円レートは、日経平均やTOPIXとほぼ同じで、冬から春にかけてドル高(円安)となり、秋にドル安(円高)となっています。これは、円安=日本株高という感覚と一致しています。ユーロと豪ドルのクロス円レートは12月に高く(外貨高円安)、1月に安く(外貨安円高)、2月〜4月は再び高く(外貨高円安)となってる点や、夏から秋に円高となるところは概ね同じです。12月に関して言えば、米ドル、ユーロ、豪ドルは円に対して上昇しやすいといえそうです。
ちょっと異なるのが英ポンド/円で、特に12月と3月に他通貨が円に対して上昇するのに、ポンド高(円安)とならないことが特徴的です。全ての通貨に共通しているのは、1月と8月に円高、2月と4月に円安となっていたことでした。
図2:為替レートの各月平均変化率(2004.1-2015.11)
※ロイターデータよりeワラント証券が作成
コモディティ:12月とは無縁。敢えて言えば秋は原油安
原油、金、プラチナなどのコモディティの多くは、米ドルでまず価格が決まり、それが各国の価格に換算されるという特徴があります。図3はWTI原油、金、プラチナのドル建価格の各月の平均リターンです。
この中ではWTI原油が2月〜4月に高く、8月〜9月に安いという点は株式の半年効果とやや近いようですが、11月と12月に大きく下げている点は違いが明らかです。また、金とプラチナは株式が軟調な1月、8月、11月に高くなっています。一般に「ドルが高くなると金が下がる」と言われます。図2で円高ドル安になりやすい1月と8月に、図3のドル建ての金価格が上昇しているので、それを裏付ける形となっています。ただ、11月は円安ドル高で金価格上昇なので、いつもドル安金高と言う訳ではなさそうです。
また、プラチナは同じ貴金属として金と値動きが近いかというと、必ずしもそうではありません。9月にプラチナは下げやすいようですが、同じ9月に金価格は上昇しています。12月に関して言えば、コモディティ価格は12月は堅調とは言えないようです。
図3:コモディティ価格の各月平均リターン(2004.1-2015.11)
※ロイターデータよりeワラント証券が作成
投資に活かすには
月次の過去のリターンを分析する際の難点としては、数十年も遡ると世界情勢がガラリと変わってしまって将来の予測に役立たなくなる一方、年数が少なすぎると観測点が少なく、統計的有意が確認できないことです。つまり、月別リターンや変化率の平均値が将来の有効な予測になっているかどうかはよく分からないことになります。
これを踏まえた上で、上記の過去12年で観察された傾向が今後も継続すると仮定するのであれば、12月の日本株・米国株は買い、米ドル・ユーロ・豪ドル/円は外貨ロング円ショートに投資妙味がありそうです。また、1月は日本株・米国株は売り、米ドル・ユーロ・豪ドル/円は外貨ショート円ロング、金は買いといえそうです。
具体的な投資法としては、12月初めに(数週間程度の保有に適している)日経平均プラス5倍トラッカー18回(2016/4/13満期)や日経平均コール885回(権利行使価格17,500円、2016/5/11満期)を購入して月末に手仕舞ったり、12月末日に日経平均マイナス3倍トラッカー18回(2016/4/13満期)や金リンク債プラス5倍トラッカー5回(2016/5/11満期)を購入して1月末に手仕舞うことが有効と考えられます。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)
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