著名な経済学者、投資の達人、成功したベンチャー投資家などの名言には、それぞれに経験と知恵が詰まっています。もちろん、自分の経験から同じことが分かっている方もおられるでしょう。ただ、それを他人に上手く伝える時に、先人の名言は、「上手いこというなぁ」と感心するものが多いだけに説得力があります。
それもあって、拙著『最強の「先読み」投資メソッド』を執筆する際にも、各章の内容を端的に表したものを掲載しています。その際に、秀逸な名言でも紙面の都合で掲載できなかったものが多くありました。そこで、今回は2015年8月からの相場に臨む際に役立ちそうな名言に、私なりの解説をつけてご紹介します。
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投資の名言10選:2015年8月版
1.「経済学とは非常に洗練された分野で、過去にとった行動がいかに間違えていたかを説明するのに秀でている。将来については、それほどでもない」
(ベン・バーナンキ)
2006年から2014年までFRB議長を務めた米国の経済学者。「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばら撒けばよい」という発言から「ヘリコプター・ベン」とも言われました。また、1930年代の大恐慌、1990年代の日本のデフレの研究者として知られ、2008年の世界金融危機発生時に非伝統的な量的緩和政策を導入して、米国経済だけでなく世界を恐慌の縁から救いました。そんな経済学のプロ中のプロであり、通貨マフィアの最重要ポストにいた人物でも、「経済学はこの程度のもの」という認識をしている点は興味深いところです。
2.「日本には大きな長期的問題があり、基本的には日本人の不足が問題だ」
(ポール・クルーグマン)
ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者。コラム等での積極的な発言でも知られています。アベノミクスについては消費増税以外は高く評価していますが、日本の少子高齢化・人口減少による長期的な見通しについてはかなり悲観的な見方をしています。
3.「物事はすべて確率論として見るべきで、絶対に正しいということはあり得ない」
(ロバート・ルービン)
天才的なトレーダーとして知られ、ゴールドマン・サックス経営トップに上り詰めた後、米国財務長官、シティグループ経営執行委員会会長を歴任。トレーディングも米国の財政・金融政策も極めた人物の、”すべて確率で考える”という合理主義・現実主義は常人が模倣するには難しそうです。それでも、心構えとして紙に書いてデスクに貼っておいてもいいかもしれません!
4.「ウォール街や証券会社のセールスマンに今の推奨銘柄は何でしょうか?と聞くことは、床屋に行って今日は散髪したほうがいいかなと聞くようなものだ」
(ウォーレン・バフェット)
オマハの賢人として知られる投資家・経営者。床屋=金融機関のセールスという喩えは秀逸です。
5.「我々が歴史から学ぶべきなのは、人々が歴史から学ばないという事実だ」
(ウォーレン・バフェット)
再びバフェット氏です。これと同種のことは古代ローマのユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)からプロシアの鉄血宰相ビスマルクまで多くの先人が述べています。時代を読んで投資を考える習慣を身につけたいものです。
6.「良いアイディアが相場で大きな利益を上げる秘訣ではない。頼りになるのは株価であって、思惑ではない。最も重要なのは、絶好の時が来るまで静かに座っていることだ。私が常に手痛い目にあうのは、自分の判断が正しいと自信を持ってゲームに臨める時にしか相場に入らないという方針を守ることができない時だった。」
(ジェシー・リバモア)
米国の著名な相場師・投機家。「売り」が得意だったので「ウォール街のグレートベア」という異名を持っていました。彼の人生は破綻と復活の繰り返しで波乱万丈でした。ただ、彼がその経験とトレード手法を公開した結果、現在でも多くの投資家がメリットを享受しています。
7.「ほとんどの人がグローバリゼーションが世界の未来を左右すると思っているが、実はテクノロジーの方がはるかに重要だ」
(ピーター・ティール)
PayPalの共同創業者。Facebook、LinkedIn、SpaceXなどへの投資で大成功したベンチャーキャピタリストとしても知られています。彼の著書「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」の中で、“このまま中国やインドが経済発展すると、資源消費で地球の環境は大変なことになる。これはグローバリゼーションでは解決できない。それを解決できるが(ゼロを1にして我々の生活を一変させることができる)テクノロジーだ”ということを述べています。
テクノロジーが人類を救えるかどうかは何十年か経ってみないと分かりませんが、「現在の発展の延長上に未来はない」ということは投資対象を考える上でも重要と思われます。
8.投資五箇条
(1)銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選ぶ
(2)二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
(3)株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物
(4)株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
(5)不測の事態などリスクはつきものと心得る
(是川銀蔵)
日本の相場師、投資家、事業家。「最後の相場師」と呼ばれていました。戦前、戦中の活躍に加えて、昭和50年代の日本セメント、同和鉱業、平和不動産などの仕手戦、住友金属鉱山株での大成功でも知られています。彼の投資5か条は日本株だけでなく、外国株への投資に今でもそのまま使えます。
9.「百貫の力量あるものが、常に百貫の全力を一杯に用いることは誤りである。よろしく七十貫の力を常に用いて、余りの三十貫は貯蓄しておくべきである。こうすれば、一朝事があった場合には、百二十貫の力を出すことも出来よう」
(高橋是清)
第20代内閣総理大臣ですが、その後に大蔵大臣として昭和金融恐慌を沈静化し、世界恐慌後には金本位制停止、財政支出増大というリフレ政策(いわゆる高橋財政)でデフレ脱却に成功したことの方がよく知られています。上記は「だから普段は会社でも学校でも、周囲の目を盗んで手を抜いて過ごすのがよい」という意味と考えるなら、都合のよいように読みすぎです!
なお、投資にはこれがよく当てはまり、「平時は資金を出し切らずに、常にバッファを持つ」ことが重要と言えます。
10.「株価の下落は、1月のコロラドに吹雪が吹き荒れるのと同じくらい頻繁に起こることである。株価の下落は慌てふためいて逃げ出した投資家が残して言った割安株を拾う絶好の機会である」
(ピーター・リンチ)
長年驚異的な投資パフォーマンスをあげた米国の著名なファンドマネージャー。書いてあるとおりで、暴落は珍しい事ではなく周期的にやってきます。それを前提に備えておけば、絶好の投資機会にできるでしょう。
投資に活かすには
自分なりの長期の見通しを持ち、天井で買わず、大底で慌てず…と「それができれば苦労は無いよ」という声も聞こえてきそうです。ただ、上記のような先人の名言を、機会がある度に読み返すことで平静さを取り戻す一助になるはずです。また、クルーグマン教授が指摘する“日本人の不足”については、今後抜本的な対策が採られる可能性が低いと予想されます。そうなると、日本株の調子が良いうちに、人口動態的に有利な国(米国、インド、バングラデシュ、インドネシア、フィリピン)といった国々への投資割合を増やしていくとよさそうです。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)
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