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深堀り!注目セクター【VOL.3 商社】〜三井物産・三菱商事・・・「出遅れ」顕著な商社株への投資ポイントは!?

2015/7/15
投資調査部 鈴木英之

先月からスタートした「深堀り!注目セクター」も第3回目を迎えました。注目しているセクターはあるけど、そのセクターの将来性がよくわからない上、どの銘柄を買ったらよいかわからない。そう感じる投資家の方は少なくないと思います。そこで、「日本株投資戦略」の鈴木が月に2回(原則15日と月の最終営業日)、注目セクター(業種)の深堀りレポートを配信しています。注目セクターは、SBI証券で保有金額の多い銘柄を参考に選びました。今回は「商社」です。業種別指数の名称は「卸売」ですが、総合商社が上位を占める現状を勘案し、「商社セクター」と表現しました。

掲載直後にお役に立つことはもちろんのこと、各種セクターのレポートが蓄積した後も、あるセクターについて知りたいときに、参考にできるようなコーナーにしたいと思っております。何卒、よろしくお願い申し上げます。

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【商社セクターのアウトライン】「総合商社」が圧倒的な存在

総合商社が圧倒的な存在

今回は、商社セクターについて「深堀り」したいと思います。後述するように「総合商社」が業界の上位を占める現状を重視し、東証業種でいう「卸売」に属す企業を「商社セクター」と呼ぶことにします。

もともと商社は、他の企業(政府であることもある)から商品を仕入れ、それを第三者に販売する事業(トレーディング)を行ってきました。しかし、近年の総合商社などは情報通信や資源など様々な分野に投資し、そこから生産された商品の販売や、投資先企業の配当等により収益を得るのが主体になってきました。

「商社セクター」(卸売)は、東証一部の全時価総額の4.0%(図1)を占めています。東証一部には157社が上場しており、比較的大きめのセクターになっています。特定の商品を取り扱う「専門商社」と、多くの商品を取り扱う「総合商社」に大別されますが、表1にもある通り、総合商社が時価総額の面では上位を独占しています。表1の時価総額トップ10にランクされる企業の時価総額構成比は、業界全体の3分の2弱に相当する64%にも達しています。特に「総合商社」と呼ばれる上位5社は「卸売」の全時価総額の54%を占めています。

総合商社以外では、部品や工具などを総合的に扱い、Webでも販売するミスミグループ本社や、医薬品卸のメディパルホールディングスが上位に位置しています。日立ハイテクノロジーは、現在では半導体製造装置メーカーといった方が適切であり、商社セクターの企業としては違和感があります。

図1:「卸売」の時価総額構成比は4.0%

図1:「卸売」の時価総額構成比は4.0%
  • ※2015/7/10現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。

表1:「卸売」の時価総額上位10社〜「総合商社」が圧倒的存在

取引 チャート コード 銘柄名 株価
(円)
時価総額
(百万円)
構成比
(対「卸売」)
現買信買 チャート 8058 三菱商事 2,650.5 4,304,509 18.6%
現買信買 チャート 8031 三井物産 1,605.5 2,884,303 12.5%
現買信買 チャート 8001 伊藤忠商事 1,495 2,486,020 10.8%
現買信買 チャート 8053 住友商事 1,372.5 1,716,452 7.4%
現買信買 チャート 8002 丸紅 683.1 1,187,187 5.1%
現買信買 チャート 8015 豊田通商 3,185 1,127,670 4.9%
現買信買 チャート 9962 ミスミグループ本社 1,716 470,557 2.0%
現買信買 チャート 7459 メディパルホールディングス 1,945 475,600 2.1%
現買信買 チャート 2784 アルフレッサ ホールディングス 1,914 449,824 1.9%
現買信買 チャート 8036 日立ハイテクノロジーズ 3,140 432,500 1.9%
東証業種別指数「卸売」157社 23,108,195 100%
  • ※2015/7/13現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。

総合商社は企業グループの中核企業〜薬品・食品の卸売企業も上位に

商社セクターを売上高の大きい順にランクしたのが表2となっています。時価総額ランキング同様、総合商社が上位で、医薬品卸がそれに続くという勢力図に大きな変化はありません。旧財閥系の企業が多く、各グループをけん引する中核企業的な存在の会社が多くなっています。

もっとも、仕入・販売を主業務とする「商社」において、例えば、他社の生産した製品をほぼ素通り状態で仲介しても売上となってしまう点は注意が必要です。ビジネスの規模を示す参考指標程度に考えた方が良い場合もあります。特に総合商社では、国際会計基準が採用され、「売上高」や「収益」は参考指標的と扱われています。表2で、売上高トップの丸紅より、三菱商事を実質トップとしたのは、売上高よりも利益規模を重視したためとなっています。

表2:「卸売」の売上高上位10社〜「総合商社」と「医薬品卸」「食品卸」が上位

取引 チャート コード 銘柄名 売上高
(百万円)
純利益
(百万円)
利益率 各社のアウトライン
現買信買 チャート 8002 丸紅 13,925,339 105,604 0.8% 芙蓉系総合商社。重電・プラントに強い。
現買信買 チャート 8015 豊田通商 8,663,460 67,571 0.8% トヨタ系。金属・自動車等に強い。トーメンと合併。
現買信買 チャート 8058 三菱商事 7,669,489 400,574 5.2% 総合商社で利益額が最大。資源・エネルギーに強い。
現買信買 チャート 8001 伊藤忠商事 5,591,435 300,569 5.4% 独立系。非資源分野でトップを目指す。
現買信買 チャート 8031 三井物産 5,404,930 306,490 5.7% 三井グループの中核企業。金属・自動車に強い。
現買信買 チャート 8053 住友商事 3,762,236 -73,170 -1.9% 住友グループの中核。メディア事業にも特色。
現買信買 チャート 7459 メディパルホールディングス 2,872,913 23,687 0.8% 医薬品卸の最大手企業。
現買信買 チャート 2784 アルフレッサ ホールディングス 2,421,105 22,922 0.9% 医薬品卸の大手企業。製造部門も有する。
現買信買 チャート 7451 三菱食品 2,337,252 9,752 0.4% 食品卸の大手。三菱商事、日本水産等が仕入先。
現買信買 チャート 9810 日鉄住金物産 2,104,606 17,434 0.8% 鉄鋼卸。新日鉄住金と三井物産が大株主。
  • ※2015/7/13現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。業績データは前期基準(実績)。
2

【商社セクターの現状を深堀り!】投資家の視点は「配当」と「エネルギー価格動向」に集まる

配当利回りは主力企業の中でトップクラス

商社のうち、特に総合商社は個人投資家にとっても、保有残高が多く、人気セクターになっています。その最大の理由は、配当利回りが高いためと考えられます。

表3は、主力上場企業(時価総額1千億円以上・不動産投信と金融を除く)について、予想配当利回りの高い順に並べたものです。トップは三井物産であり、第3位に住友商事、第8位に伊藤忠商事がランクインしています。東証一部の予想配当利回りは平均で1.5%程度であり、総合商社の配当利回りはそれを大きく上回っています。加えて、総合商社は、歴史が古く、多くの投資家にとって知名度が高く、投資の際の安心感が強い存在と考えられます。近年はさらに、大手総合商社5社のすべてが、最低売買単位で100株になっており、少額で投資が可能になったことも、人気化の一因と考えられます。

株価は全体をアンダーパフォーム

一方、株価は全体を大きくアンダーパフォームする傾向になっています。図2は、東証業種別株価指数「卸売」について、過去150週間(約3年間)の動きをTOPIX(東証株価指数)と比べたものです。「卸売」がTOPIXを大きく下回っていることがわかります。

大きな理由は、原油価格の下落で米シェール業界への投資が採算割れ、減損計上へと追い込まれた会社があるためです。前項でもご説明したように、近年の商社は自己資金で権益を買い、そこからの生産物を販売するケースもありますが、有望視されてきた米シェール業界もそのひとつです。しかし、原油価格(WTI先物)が、2014/6の1バレル107ドルから2015/3には同44ドルまで下落し、総合商社のシェール権益の収益力が落ち、住友商事と丸紅等が2015/3期に減損計上へと追い込まれてしまいました。

実は、業種別指数「卸売」を、他の主要指標と比較した相関係数の強さは、

TOPIX・・・・0.865(東証業種別指数33業種中第9位)
日経平均・・・0.807(同18位)
ドル・円・・・・0.492(同18位)
原油相場・・・・・0.159(同5位)
CRB商品先物指数・・・・・0.124(同4位)

となっており、相対的に特に強い相関関係を有する指標は少なくなっていますが、原油や商品先物相場は、他の業種と比べるとやや高め(絶対値は低い)になっています。市場は、原油価格の下落が、商社株の逆風になりやすいことをある程度、株価に織り込んできましたが、実際に商社の一角が減損を計上したことで、それが現実のものとなった形です。

図2:TOPIXに対し出遅れが目立つ業種別株価「卸売」

図2:TOPIXに対し出遅れが目立つ業種別株価「卸売」
  • ※2015/7/13現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。

相関係数

2つの指数・指標の間の連動性の強弱を示しています。
-1から+1までの値をとり、数字により次のような傾向があります。

1・・・・まったく同一方向に連動して動く
0・・・・相関性がまったくない
-1・・・・まったく逆方向に動く

表3:主力企業・配当利回りランキング(REIT・金融を除く)

取引 チャート コード 銘柄名 株価
(7/13)
売買単位
(株)
予想配当
利回り(%)
現買信買 チャート 8031 三井物産 1605.5 100 3.99
現買信買 チャート 7751 キヤノン 3928.5 100 3.82
現買信買 チャート 8053 住友商事 1372.5 100 3.64
現買信買 チャート 9810 日鉄住金物産 421 1000 3.56
現買信買 チャート 7201 日産自動車 1197 100 3.51
現買信買 チャート 5002 昭和シェル石油 1088 100 3.49
現買信買 チャート 6417 SANKYO 4435 100 3.38
現買信買 チャート 8001 伊藤忠商事 1495 100 3.34
現買信買 チャート 8219 青山商事 4780 100 3.24
現買信買 チャート 5020 JXホールディングス 506.1 100 3.16
  • ※SBI証券のスクリーニング・ツールを用い、2015/7/13現在のデータをもとにSBI証券が作成。時価総額1千億円以上の企業で、金融・不動産投信以外の企業を予想配当利回りの高い順にランクしたもの。あくまでも商社セクターの現状を示す参考として作成したもので、掲載銘柄の推奨を意図したものではない。
3

【商社セクターの今後を深堀り!】「出遅れ」から「リード役」へ脱皮を図る

商社セクターの出遅れ感は顕著/原油価格への影響は意外に限定的?

商社株について、今後はどう評価すべきでしょうか。表3では予想配当利回りの高い銘柄が多いこと、図2では、市場全体に対し株価面で出遅れ感が顕著であることを示しました。さらに、表4では、予想PERやPBRの面でみても出遅れていることを示しています。

予想PERの面では「卸売業」の加重平均は10.6倍で、東証一部全体の約17倍を大きく下回り、低PER順でも第4位になっています。さらに、PBRは加重平均で0.83倍で、東証一部の1.4倍を下回り、低PBR順で第5位となっています。前述したように原油価格下落の影響を受けたことが、商社株を割安な水準に放置している大きな要因とみられます。表4のランキングには、石油・石炭も入っており、市場は原油価格の低迷が、商社や石油・石炭の業績・株価に悪影響を及ぼし続けると考えているようです。

ただ、株式市場は原油価格の動向から商社株をネガティブに考え過ぎているかもしれません。図3は、業種別株価指数「卸売」と原油先物価格を比較したものです。確かに原油価格は大きく下げており、商社株も影響を受けていますが、その影響は意外に小幅かつ短期間に終わっています。そもそも、原油価格下落の要因のひとつとしては「ドル高」があげられる(一般的にドルの上昇が続くと、金や原油の価格は下がりやすいと考えられています)わけですが、ドルが高い時は我が国の株式市場全体が追い風を受けやすくなります。前項で示したように、商社株は、他の業種と比べて原油価格変動の影響を強く受ける傾向にありますが、相関係数の絶対値(0.159)はそれ程高いわけではないのです。

商社株はやや割安に放置され過ぎている可能性もありそうです。むしろ、三菱商事、三井物産、丸紅のROE(株主資本純利益率)が、重要な目安とされる8%を下回り、住友商事に至っては赤字(前期)になっています。このROEを改善させ、少なくとも8%台に乗せることが、商社の当面の課題と言えそうです。

表4:低PER・PBR上位5業種

低予想PER・5業種(全33業種中)

  予想PER
石油・石炭 9.4
空運業 9.6
ゴム製品 10.4
卸売業 10.6
海運業 10.6

低PBR・5業種(全33業種中)

  PBR
海運業 0.58
パルプ・紙 0.63
銀行業 0.74
石油・石炭 0.75
卸売業 0.83

図3:原油価格下落の「商社」への影響は意外に限定的?

図3:原油価格下落の「商社」への影響は意外に限定的?
  • ※2015/7/13現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。

ROEの8%超が相次げば、市場の評価が変わってくる可能性も

これまでご説明したように、商社株の割安感が強いことは確かです。予想配当利回りが高い銘柄も多いため、キャピタルゲインを享受しながら、中長期投資で業績の回復を待つという投資スタンスが良さそうです。

ROEが7%台の企業が多く、8%台乗せが課題になりますが、逆にそこに「投資チャンス」が隠れていると考えることはできないでしょうか。一般的にROEが8%未満では、株価が安値に放置され、PBR1倍割れに追い込まれる企業が増え、逆にROEが8%超では、株価評価が高まる傾向があります。今後、商社のROEが向上してくるのであれば、商社株の評価も高まってくる可能性があります。最後に、商社セクターで圧倒的な存在感を持ち、時価総額で上位を独占する総合商社の投資ポイントをご紹介したいと思います。

取引 チャート コード 銘柄名 投資のポイント
現買信買 チャート 8058 三菱商事 資源・エネルギーに強い商社。資源分野ではBHPビリトン等と折半出資するなど、指導権を握った状態で参加するのが、他社との違い。一方、非資源分野の純利益を3,500億円で安定させ、2020年にROE12〜15%を目指します。前期のROEは7.5%で、8%目前。計画通りなら、株価評価が変わる可能性もありそうです。
現買信買 チャート 8031 三井物産 予想配当利回りが3.9%(2015/7/13)と、総合商社の中で最も高く、株主還元にも積極的なため、個人投資家に人気の銘柄です。資源価格低迷の影響で今期も減益予想ですが、ROEは7.7%で、やはり8%目前です。資源価格が戻れば、株価の反応も良くなる可能性が高い銘柄と言えます。
現買信買 チャート 8001 伊藤忠商事 非資源分野が前期は52%増益となり、過去最高益となりました。当社はこの分野で総合商社トップを目指しています。ROEはすでに13.4%あり、予想PER7.3倍には割安感も漂います。6月に、シェール関連会社の株式を売却し、同事業から撤退しています。
現買信買 チャート 8053 住友商事 前期、シェール油田や鉄鉱石で減損を計上し、唯一総合商社で赤字を計上しました。もっとも、減損を計上した分、さらなる原油価格の下落にも耐久力が増しているとみられます。
現買信買 チャート 8002 丸紅 前期、減損を計上し、一転減益となりました。今期は、その影響が剥落し、業績は回復の公算。本来は重電やプラント、穀物などに強みがあります。資金管理を強化し、来期以降、配当性向を引き上げる計画であることを表明しています。
  • ※報道、各社資料をもとにSBI証券が作成。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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