11/4(水)に郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)が東証1部に新規上場しました。初値は3社とも公開価格を大きく上回り、その後の株価も堅調です。郵政グループ3社の今後の株価動向を大胆に予想します。また、上場初日にSBI証券で郵政グループ3社を購入した約4割の方が投資初心者でした。郵政グループ3社の上場を機に、多くの個人投資家が誕生したようです。今回は、郵政グループ3社の次に買われそうな銘柄をご紹介いたしましょう。
11/4(水)に郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)が東証1部に新規上場しました。初値は、表1のように3社とも公開価格を大きく上回りました。翌日11/5(木)も3社ともに値上がりしています。
特に図1の1時間足チャートでわかるように、かんぽ生命は公開価格に対し33.1%高の2,929円で初値を付け、その後ストップ高。さらに、翌日11/5もストップ高直前まで上昇する局面がありました。
表1:日本郵政グループ3社の株価動向
コード |
銘柄名 |
公開価格 |
初値 |
騰落率 |
上場来高値 |
騰落率 |
11/5終値 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
7181 |
かんぽ生命 |
2,200 |
2,929 |
33.1% |
4,120 |
87.3% |
3,890 |
7182 |
ゆうちょ銀行 |
1,450 |
1,680 |
15.9% |
1,823 |
25.7% |
1,775 |
6178 |
日本郵政 |
1,400 |
1,631 |
16.5% |
1,854 |
32.4% |
1,820 |
図1:かんぽ生命 1時間足チャート
郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の公開価格について、株価指標面では、強い割安感がある水準でした。しかし、11/5終値時点での株価指標が表2ですが、ゆうちょ銀行と日本郵政の実績PBRを除けば、特に割安感のある水準ではありません。特に大きく株価が上昇したかんぽ生命については、東証1部平均と比べても割安感のある水準とは言えないでしょう。
表2:郵政グループ3社の主な株価指標(11/5終値ベース)・予想配当は東洋経済新報社予想
コード |
銘柄名 |
予想PER |
実績PBR |
予想配当利回り |
---|---|---|---|---|
7181 |
かんぽ生命 |
27.79 |
1.18 |
1.44% |
7182 |
ゆうちょ銀行 |
24.96 |
0.57 |
1.41% |
6178 |
日本郵政 |
22.14 |
0.54 |
1.26% |
3銘柄の値動きに差がついたのは、単に需給の問題のようです。表3にあるように、かんぽ生命は他の2社より一桁少ない6,600万株しか売出株がありませんでした。日本経済新聞の報道によると、かんぽ生命は10倍以上、ゆうちょ銀行は5倍以上、日本郵政も5倍以上の抽選倍率であったようです。かんぽ生命は当たりにくかったので、買えなかった投資家が多く、その投資家が、上場初日に市場で買い向かったようです。SBI証券内での売買動向では、11/4上場初日に郵政グループ3社を買った投資家の39.1%は、抽選で外れた投資家でした。
初値を付けてからは、2種類の投資家層が売買したようです。ひとつはデイトレーダーです。11/4のSBI証券の売買動向では、郵政グループ3社を買った株数の46.5%は当日中に売却されていました。もうひとつは、投資初心者を中心とする中・長期の投資家層です。11/4に郵政グループ3社を購入した38.7%が投資経験のない投資初心者でした。
売出株・市場での買い付けともに、投資初心者が数多く購入したのが、今回の郵政グループ3社の新規公開の大きな特徴でしょう。「貯蓄から投資へ」の国策のまさに起爆剤となったのが、今回の郵政グループ3社の新規公開でした。
逆に投資初心者が、中・長期投資目的で多く保有していることが、年末に掛けての郵政グループ3社の株価上昇に大きく繋がりそうです。それは、株価指数に連動させるための、インデックス買いの需要が見込まれるからです。
株価指数に連動させるよう運用されているインデックスファンドの場合、新たな銘柄が構成銘柄に採用されると、既存の保有株を売却して、新規構成銘柄を買うことになります。これが、「インデックス買い」と呼ばれるものです。
郵政グループ3社は、年末までに主要な3つのインデックスの構成銘柄になります。
まずは、3社とも11/10にロンドン取引所の100%子会社のFTSEグループのFTSEインデックスの構成銘柄になります。その後、11/17取引終了後に、時価総額の大きい日本郵政とゆうちょ銀行の2社が米国のMSCI Inc.が算出するMSCIインデックスの構成銘柄になります。
最後に、年末最終営業日の12/29に、3社とも東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄となります。
株式市場では、この3つのインデックス買いの規模が推定されています。
表3が、市場で推定されている3つのインデックス買いの合計と、売出株数との比率と、売出株のうち市場で売却されて流通している株数を想定した比率です。 想定流通株数は、国内機関投資家は売却無し、外国人投資家の売出株の配分の3割、個人投資家の配分の5割を売却したと想定したものです。
3社合計で、売出株数の約16%、想定流通株数との比率では、約36%となっているのです。
表3:郵政グループ3社の売出株数と想定流通株数とインデックス買いの比率
コード |
銘柄名 |
売出株数 |
インデックス買い/ |
インデックス買い/ |
---|---|---|---|---|
7181 |
かんぽ生命 |
6,600 |
12% |
28% |
7182 |
ゆうちょ銀行 |
41,214 |
19% |
42% |
6178 |
日本郵政 |
49,500 |
14% |
32% |
合 計 |
97,314 |
16% |
36% |
これだけ、年末までに購入してくれる可能性の高いインデックス買い需要があると、多少割高な水準でも、株価が下落しにくくなり、更に割高な水準まで上昇する可能性があります。
しかしながら、株式市場は半歩先を織り込むものなので、年末ではなく、12月上旬までに高値を付ける可能性が高いと思います。
その後は、反落局面となる可能性が高そうです。
郵政グループ3社への投資は、インデックス買いを期待した割り切りの年内の短期勝負を行うか、年明けに行われる10〜12月期の3社にとって、初めての四半期決算発表を見極めてからじっくり中・長期投資を行うかのどちらかが良さそうです。
- ※チャートは、すべて当社WEBサイトからSBI証券が作成
今回の郵政グループ3社の新規上場のもっとも大きな特徴は、今まで株式投資を行っていなかった投資初心者が多く参加したことです。郵政グループ3社の圧倒的な知名度と、安定性、信頼感が国策である「貯蓄から投資へ」の起爆剤になったようです。
前回の福の神レポートでは、「郵政グループ3社お迎え相場」&「郵政グループ3社含み益 個人投資家活躍相場」を予想しましたが、約1兆円の郵政グループ3社の売出株を購入した個人投資家は、全体で2千億円を超える含み益となっていると想定されます。
それでは、「郵政グループ3社含み益 個人投資家活躍相場」で買われそうな銘柄を考えて見ましょう。
やはり、今回の郵政グループ3社の大きな特徴は予想配当利回りの高さでした。短期的な売買益よりも、中・長期でじっくりほ保有して、高い配当利回りを享受することを狙った、いわゆる「草食系」のインカムゲイン狙いの投資家です。
また、時価総額・資産規模の大きな大型株であること、知名度も必要でしょう。郵政グループ3社ではまだ実施されていませんが、個人投資家に人気な株主優待のあることも条件となりそうです。
今回は、以上の条件から、SBI証券の「株主優待検索」を使って銘柄を検索してみました(図2)。
12月権利確定の大型優良株・配当利回り平均以上の3つの条件で検索すると、10銘柄が選定されました。
その10銘柄の中から、株価指標・テクニカル分析などから、5銘柄を選定しています。
郵政グループ3社の次に買われそうな銘柄として、この5銘柄をご紹介いたします。
図2:SBI証券株主優待検索
銘柄コード | 2503 | 銘柄名 | 取引 | ||
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ポイント |
東京都中野区中野に本社があるビール国内シェア2位の大手食品企業です。株主優待でグループ会社商品等の詰め合わせが貰えます。 |
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日足チャート |
銘柄コード | 2579 | 銘柄名 | 取引 | ||
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ポイント |
福岡市に本社があるコカ・コーラのボトラー大手企業です。九州から近畿まで幅広くカバーしています。株主優待で、コカ・コーラ社製品詰合せに交換できる株主優待ポイントが貰えます。 |
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日足チャート |
銘柄コード | 2914 | 銘柄名 | 取引 | ||
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ポイント |
東京都港区虎ノ門に本社があるタバコの製造・販売会社。専売公社を民営化。現在の売上高比率は国内タバコ28、海外タバコ55と、M&Aにより獲得した海外事業が収益の柱。 |
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日足チャート |
銘柄コード | 3197 | 銘柄名 | 取引 | ||
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ポイント |
東京都武蔵野に本社があるファミリーレストラン最大手企業。「ガスト」が主力店舗。株主優待で、2,000円相当の優待食事券が貰えます。 |
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日足チャート |
銘柄コード | 4927 | 銘柄名 | 取引 | ||
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ポイント |
東京都中央区銀座に本社がある化粧品の大手企業。訪問販売のポーラ、通信販売のオルビスが2大ブランドです。株主優待で、グループ関連商品と交換できる株主優待ポイントが貰えます。 |
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日足チャート |
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