あと10日あまりで師走相場が始まります。米国株式は中間選挙後の11月前半は急速に値を戻したのですが、主力のハイテク株の決算が冴えなかったことから、中旬以降、NYダウは反落に転じ、再び25,000ドルを割り込む展開になっています。日経平均株価も同様に冴えない値動きです。残り１ヵ月ちょっとですが、これから年末にかけての株式相場については「掉尾の一振」を期待したいものです。

日本では決算シーズンが終了し、現在は決算説明会がたくさん行われています。企業側の業績予想については、上方修正もあれば下方修正もあるなど、これまでとは異なり企業業績は踊り場を迎えつつあります。株価の企業業績への感応度がいつになく高まっているとの印象が、今回の決算発表シーズンではなかったでしょうか。

今週の「新興株ウィークリー」では、そろそろやってくる12月のボーナスシーズンにちなんで、株式入門者でも買いやすい銘柄、あるいはNISAの残り枠の消化などのニーズに応えるべく、「20万円以下」で買える好業績銘柄をピックアップしてみることにしました。100株単位での投資が可能で、業績が良く、収益性の高い（ROE）銘柄の発掘です。これらの銘柄が、株式市場全般の波乱で低水準で買える今が逆に投資チャンスになるかもしれません。皆さまの投資のご参考になれば幸いです。

• ※図1・図2ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

• ※表1・表2はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は11/13（火）終値と11/20（火）終値の比較による。時価総額は10月末基準。

東証マザーズ指数は、10/30（火）に一時821.32ポイントの安値まで下落しましたが、値ごろ感からの買戻しや、米中貿易摩擦の緩和観測、米国中間選挙やFOMCなどの重要イベントを無事通過したことなどから株価は反発に転じ、11/9（金）には1,006.66ポイントと安値からは22.6％の大幅な上昇となり、日経平均の上昇率を上回りました。メルカリ（4385）、MTG（7806）などのマザーズ市場の主力株が値を戻したほか、再生細胞薬の臨床実験進展のニュースで急騰したサンバイオ（4592）などの上昇が全体を牽引しました。

ただし、11月中旬以降は、米国のハイテク株を中心に業績懸念から株価は下落し、マザーズ指数も950ポイント前後で調整局面を迎えています。

先週のマザーズ指数は、0.9％の下落と、ほぼ日経平均株価並みの値動きとなりました。個別銘柄ではメルカリ（4385）、PKSHA　Technology（3993）が大きく下がりましたが、MTG（7806）、サンバイオ（4592）が逆に大きく上昇とするなどやや荒っぽい展開となっています。

なお、12月には表4に見るように、ソフトバンク（9434）を筆頭に、現在までのところ19社の新規上場が予定されており、ラッシュ状態です。将来の成長株を見極めたいところです。

※東証マザーズ指数について：東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄である、メルカリ（4385）やミクシィ（2121）などの影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに10月末のマザーズ市場の時価総額に占めるメルカリのシェアは8.0％、ミクシィのシェアは同5.4％となっています。

冒頭でご説明したように、今回の「新興株ウィークリー」では、株式入門者でも買いやすい銘柄、あるいはNISAの残り枠の消化などのニーズに応えるべく、「20万円以下」で買える好業績銘柄をピックアップしてみることにしました。スクリーニング条件は以下の5点です。

（1）マザーズまたはJASDAQの上場銘柄であること
（2）最低売買単位が100株で、20万円以下で買うことができる銘柄
（3）ROEが20%以上の銘柄
（4）通期の会社予想経常利益が20%以上の増益見通しであること
（5）直近四半期までの経常利益の進捗率が標準以上であること（1Q決算なら年度予想利益の25％、2Q決算なら50％、3Q決算なら75％）を上回っていること。なお、9月決算期の会社は前期実績が増益決算なら可としました

上記の全条件を満たした銘柄を、今期予想経常増益率の高い順に並べたものが表3の9銘柄となります。それではこのうち、数銘柄について簡単に事業内容、ポイントをご紹介したいと思います。

レカム（3323）は、2004年にJASDAQに上場しています。おもに中小企業向けにIP電話、デジタル複合機、インターネットセキュリティ商品、LED照明などの情報機器販売を中心とする会社です。この他に業務受託（BPO）を日本で受注し、オフショア（中国やミャンマーなど）で運営しています。M&Aにより取り込んだLED照明販売の寄与、BPOの拡大、海外法人（ベトナム）の好調により、業績が拡大しています。

メイコー（6787）は、2000年にJASDAQに上場しています。電子機器に使用されるプリント配線基板の大手メーカーです。ベトナムと中国にも工場を持っています。用途別では自動車向けとスマホ向けの比重が高くなっています。特に自動車向けはエレクトロニクス化の進展から1台に使われる基盤の量・質とも上昇しておりマーケットが拡大しています。

共同ピーアール（2436）は、2005年にJASDAQに上場しています。企業などが行うパブリシティ活動（広報・PR）の支援およびコンサルティングを行っている企業です。新規契約の好調に加え、あらたに海外クライアントの獲得などが奏功し好調な決算となっています。 今期はペイドパブリシティ分野（新聞雑誌の特定ページを購入し顧客の意図する内容を記事形式で掲載する）が好調です。

ウェルビー（6556）は、2017年10月にマザーズ市場に上場しています。就労を希望している障害者への職業訓練・求職活動・職場定着などの支援を行っている会社です。首都圏周辺の比重が高いですが、全国展開を進めており、現在72事業拠点を有しています。障害者の就労は政府の重要な施策となっているうえ、同社独自の要因としてエリア拡大により、高い成長が期待できそうです。

グリムス（3150）は、2009年3月にJASDAQ市場に上場しています。電力の自由化を背景に、中小企業等に電力料金の削減プランの提示や電子ブレーカーの販売を主な業務内容としています。一般消費者向けに住宅用の太陽光発電システムの販売も行っています。今期は電力コスト削減プランの好調に加え、電力の小売事業が好調です。

• ※弊社スクリーニングシステム、会社発表資料等をもとにSBI証券が作成。

• ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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