今回から毎週水曜日をめどに新興株（東証マザーズとJASDAQに限定）ウィークリーを発行していきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

筆者は以前大手の資産運用会社で運用に携わってきましたが、全社の中で最もパフォーマンスの良かったのは中小型株のアクティブファンドであることがほとんどでした。かなりの数の銘柄に分散投資をするのですが、そのうちの一握りの銘柄が何倍ものリターンをあげてくれ、全体を大きく牽引してくれたためです。大型株ではそう簡単に何倍にもなる銘柄は出てこない傾向にあります。株の醍醐味は俗に言う「大化けする銘柄」の発掘にあると思います。その意味では新興株市場は魅力ある投資対象であると考えられます。

一般的に新興市場の銘柄は、利益の内部蓄積が相対的に乏しいため、外部環境の変化や法制度の変更、企業が属する業界の競争条件の変化、コンプライアンス懸念、さらには新興株市場自体のボラティリティの高さなど、様々なリスクが存在することも事実です。このウィークリーが投資家の皆さまの「出世株」発掘のお手伝いになれば、との思いで情報提供をさせていただきます。御愛読のほどよろしくお願いいたします。

• 注：先週がGWで日数が少ないため4/25〜5/8の期間を採用

新興市場銘柄の3月期決算の発表が進んでいます。
SBI証券が5/8（火）までに決算を発表した2018年3月期決算の新興株市場企業51社を集計したところでは、経常利益ベースで前期比9.4％増益となっています。今週後半から来週にかけて決算発表する企業が多いため、あくまでも目安ですが、新興市場の企業の企業業績は順調といえます。特徴をまとめると以下の諸点です。

（1）IT、情報通信関連銘柄が引き続き好調
（2）製造業、商社系の業態も好調
（3）外食、サービス、小売なども好調
（4）住宅、不動産関連は企業によって好不調がまちまち

ただし、東証1部の全産業の経常増益率は製造業がけん引し前期比18％程度と予想されており、新興市場銘柄の増益率はやや見劣りします。この背景には新興市場の企業は非製造業が多いうえ、内需型企業が多く円安メリットを享受できないなどが背景と考えられます。

新興市場企業の2019年3月期の会社側の業績見通し（5/8現在）は、SBI証券の集計では8.2％経常増益となっています。現段階では企業は控えめな業績予想を出す傾向がありますので、それを割り引けばかなりの強い数字のように感じます。今後の株式相場では、大型株の2019年3月期の予想増益率は円安効果の剥落や素材市況の上昇一巡などで前期よりも鈍化する見通しですので、相対的に新興市場企業の業績が注目される可能性があります。

• ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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