皆さん、こんにちは。
昨年から今年の1月までは、安定上昇が非常に長い期間で続くゴルディロックス相場(適温相場)となっていましたが、2月の米雇用統計を境に相場の風景がガラッと変わってきました。2月2日に発表された1月の米雇用統計では、インフレ指標とされる平均時給が前年同月比2.9%上昇し、8年7ヵ月ぶりの大きな伸びとなりました。これを受けて市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースが加速するとの警戒感からリスク回避の動きが広がりNYダウは1日の下げ幅としては過去最大を記録しました。翌営業日には暴落の反動高や好調な企業業績など米経済ファンダメンタルズへの信頼感を背景に買戻しが入り大幅反発となりました。
米議会上院の与党執行部は2018年〜2019年会計年度予算の上限引き上げで合意したことで、政府機関の閉鎖を当面回避できる期待感から株式市場に買いが入りましたが、共和党執行部の強硬な反対から、米政府機関の閉鎖回避に必要なつなぎ予算が9日午前0時に失効しました。9日早朝に米議会上下院は失効した予算のつなぎ予算案を含む、今後2年間の連邦政府予算の上限引き上げ法を賛成多数で可決し、トランプ大統領の署名を経て政府機関の一部閉鎖状態が解除されました。一連の騒動でも株式市場は乱高下の様相を呈しており、ボラティリティ―(変動率)が非常に高くなってきているのが分かります。
株式市場のボラティリティ―が高くなった背景には、米長期金利の上昇が要因として上がられるという市場関係者の見方もあるようですが、米国の国防費を中心に予算上限を計約3,000億ドル(1ドル109円計算で約32兆7,000億円)引き上げるとの報道でも、米国債増発への懸念が強まり、債券売りにより長期金利が上昇し株式市場の売り材料となりました。
英イングランド銀行(BOE)は金融政策決定会合を行い、早い時期に追加利上げに動く可能性を示唆しました。このニュースも米国の長期金利の上昇に繋がり株価の売り材料となりました。また、米国産標準油種WTIが約1カ月半ぶりに1バレル=60ドルの節目を割り込んだことをきっかけに、リスク回避の株売りが加速し一時大幅安となりました。
日本政府は4月に任期満了となる黒田東彦氏を日銀総裁に再任させる方針を固めたとの報道を受けて、現行の大規模緩和策が継続されるとの観測が台頭しドル買い円売りの流れになりました。
DAX®やFTSE100は第4ステージの下降相場となっています。日経225も第4ステージに突入してきました。NYダウも第3ステージとなっており、第4ステージ入りするのか、といった局面となってきています。週末のNY市場では、VIX(恐怖)指数が反落しましたが、依然高止まりしています。VIX指数が高止まりしているということは、市場のボラティリティ―(変動率)が高くなっているということです。市場の乱高下に振り回されることなく、チャートの動きを確認しながら対応していきましょう。
週間の概況
◆注目イベント
2月14日(水)08:50(日本)10-12月期GDP・1次速報
2月14日(水)08:50(日本)10-12月期GDPデフレーター・1次速報
2月14日(水)16:00(独国)10-12月期GDP・速報
2月14日(水)19:00(ユーロ圏)12月鉱工業生産
2月14日(水)19:00(ユーロ圏)10-12月期GDP・改定
2月14日(水)22:30(米国)1月消費者物価指数
2月14日(水)22:30(米国)1月小売売上高
2月15日(木)上海休場(旧正月)(〜21日)
2月15日(木)08:50(日本)12月機械受注
2月15日(木)13:30(日本)12月鉱工業生産・確報
2月15日(木)19:00(ユーロ圏)12月貿易収支
2月15日(木)22:30(米国)2月NY連銀製造業景況指数
2月15日(木)22:30(米国)新規失業保険申請件数
2月15日(木)22:30(米国)1月生産者物価指数
2月15日(木)22:30(米国)2月フィラデルフィア連銀製造業指数
2月15日(木)23:15(米国)1月鉱工業生産
2月15日(木)23:15(米国)1月設備稼働率
2月15日(木)24:00(米国)2月NAHB住宅市場指数
2月16日(金)06:00(米国)12月対米証券投資
2月16日(金)18:30(英国)1月小売売上高
2月16日(金)22:30(米国)1月住宅着工件数
2月16日(金)22:30(米国)1月輸入物価指数
2月16日(金)22:30(米国)1月建設許可件数
2月16日(金)24:00(米国)2月ミシガン大消費者信頼感指数・速報
2月19日(月)19:00(ユーロ圏)12月建設支出
2月20日(火)09:30(豪国)RBA議事録
2月20日(火)16:00(独国)1月生産者物価指数
2月20日(火)19:00(独国)2月ZEW景気期待指数
2月20日(火)19:00(ユーロ圏)2月ZEW景気期待指数
※今週は日本、ドイツ、ユーロ圏のGDPの発表に注目しましょう。新規失業保険申請件数の結果も確認しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ4
第4ステージは下降相場です。上昇帯から下降帯に変わってきました。
◆今後を読み取る鍵
第4ステージは下降相場です。帯の動きに注目していきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに勢いが出る場合は、帯に傾きが出て間隔が広がってきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値24,238円 安値20,683円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
ステージ3
第3ステージは下降相場の入り口です。短期移動平均線が帯を下抜けしてきました。
◆今後を読み取る鍵
第3ステージは下降相場の入り口です。帯の動きに注目しましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は、中期移動平均線が長期移動平均線を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値26,835ドル 安値23,027ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
今週は、なぜゴールデンクロスが上昇トレンドの発生の転換点になり、デッドクロスが下降トレンドの発生の転換点になるのかを見ていきましょう。
では、まず移動平均線自体の計算式を確認していきましょう。
◎20日移動平均線の計算式
20日移動平均線=過去20日間の終値の合計÷20
本日を含む過去20日間の平均的買い値(=平均的売り値)を示したものが20日移動平均線です。そのライン(線)と価格を比較してみて、価格が下にあり移動平均線が上にあるということは、「過去20日の間にエントリーしたトレーダーは平均的に損している」ということになります。過去20日の平均的買い値と現在の価格を比較して、どれくらい儲かっているか、あるいはどれくらい損しているのかを分析するのが移動平均線の本質なのです。
では、もう一度チャートを見てみましょう。
チャートの左端では移動平均線が価格の上にあるから買い方はマイナスです。ここで買い方になったつもりで、その心理を分析してみましょう。
買いエントリーした後、価格が下がっているわけですから、当然、不安感を抱いているはずです。早く損切りしたほうがよいのではないかと気が気では無い状態でしょう。
ところが、次第に値動きにも変化が見られ、やがてゴールデンクロスを迎えるまでの動きになります。ゴールデンクロス以降は価格が移動平均線の上にあります。つまり、買い方は儲かっている状態です。
このことからわかるのは「今まで買い方はマイナスだったのにプラスになった」という状況です。ゴールデンクロスを見ることで変化″を把握できます。ここに、重要な意味があるのです。
では、来週はその気持ちの変化″を見ながら、更に理解を深めていきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。