マーケット｜SBI証券

皆さん、こんにちは。
外遊から戻ってきたトランプ大統領に対する「ロシアゲート」疑惑に再び注目が集まっています。6月8日にコミー連邦捜査局（FBI）元長官の公聴会が予定されており、議会やメディアの追求が厳しくなれば、減税対策などが後ずれする懸念が広がっているようです。

6月8日に英国では総選挙が控えており、また、イタリア総選挙も前倒しで実施されるという観測もあります。ギリシャ支援問題なども含め、欧州情勢懸念が台頭してきています。偶然にも6月8日には欧州中央銀行（ECB）の金融政策決定会合が予定されております。先週3日には英国で「イスラム国」が犯行声明を出したテロがあり、英国総選挙の結果が益々読み難くなってきており、様々な面において大注目の日となりそうです。

米国の12地区連銀景況報告（ベージュブック）が発表されました。多くの地区は緩やかながら適度な程度に拡大しており、幅広い職業と幅広い地域で労働者が不足し、多くの地区で雇用と賃金は依然緩やかから適度に上昇していると発表されました。また、個人消費は弱まっているとのことでした。

米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング（ADP）は、全米雇用報告を発表し、非農業部門民間就業者数が前月比25万3,000人増となり市場予想を大きく上回りました。6月2日には米労働省が5月の雇用統計を発表し、景気の動向を反映する非農業部門就業者数が季節調整済みで13万8,000人増と前月から伸びが鈍化し市場予想をも下回りました。失業率は4.3％と前月から0.1％改善し16年ぶりの低水準を記録しました。

米連邦準備制度理事会（FRB）による6月の追加利上げはほぼ織り込み済みとなっており、米雇用統計を受けてドル売りが加速しユーロや円が買われました。

2日の米株式市場の主要株価指数は過去最高値を更新し、NYダウも2営業日連続で最高値を更新する動きを見せました。

トランプ米大統領は、地球温暖化対策の新しい国際枠組みである「パリ協定」から離脱すると表明しました。これに伴い欧州と米国の溝が深まりました。2日に開かれた欧州連合（EU）と中国の首脳会議で、「パリ協定」について全面的に履行することで合意しました。

米国内では、「パリ協定」からの離脱により、エネルギー産業に対する規制が緩み、シェールオイルの増産の流れに拍車が掛るのではないかとの見方などから原油市場が下落しました。

政局が不安定な中、世界の株式市場は好調を維持しています。ファンダメンタルズに振り回されている方は、この流れに付いていけていないと思われます。チャート分析に基づいて対応していきましょう。

週間の概況

◆注目イベント
6月7日（水）10：30（豪国）1-3月期（前年比）GDP、1-3月期（前期比）GDP
6月7日（水）15：00（独国）4月製造業受注
6月8日（木）04：00（米国）4月消費者信用残高
6月8日（木）08：01（英国）5月RICS住宅価格
6月8日（木）08：50（日本）1-3月期名目GDP（前期比）・2次速報、1-3月期実質GDP（前期比）・2次速報
6月8日（木）08：50（日本）1-3月期GDPデフレーター・2次速報
6月8日（木）08：50（日本）4月国際収支-経常収支、4月国際収支-貿易収支
6月8日（木）14：00（日本）5月景気ウォッチャー調査・現状判断DI、先行き判断DI
6月8日（木）15：00（独国）4月鉱工業生産
6月8日（木）20：45（ユーロ圏）欧州中銀金融政策発表
6月8日（木）21：30（米国）新規失業保険申請件数
6月8日（木）未定（中国）5月貿易収支
6月9日（金）10：30（中国）5月消費者物価指数、5月生産者物価指数
6月9日（金）15：00（独国）4月経常収支
6月9日（金）17：30（英国）4月鉱工業生産、4月製造業生産、4月貿易収支
6月9日（金）21：00（英国）英国立経済研究所(NIESR)GDP
6月9日（金）23：00（米国）4月卸売売上高
6月13日（火）17：30（英国）5月消費者物価指数、小売物価指数、生産者物価指数
6月13日（火）18：00（ユーロ圏）ZEW景気期待指数
6月13日（火）18：00（独国）ZEW景気期待指数
6月13日（火）21：30（米国）5月生産者物価指数

※今週は、6月8日の欧州中銀の金融政策に注目です。米国の新規失業保険申請件数の結果を確認しましょう。日本のGDP速報の結果も注目です。中国の消費者物価指数、生産者物価指数の結果も見ていきましょう。

チャート分析による銘柄診断

日経225分析

※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。

◆現在のステージ
ステージ1
ステージ1は上昇期です。帯の間隔が広がり傾きも出ています。

◆今後を読み取る鍵
ステージ1の安定上昇期となってきています。短期移動平均線と帯の関係を見ていきましょう。
・帯の間隔が広がり傾きが出てくれば上昇トレンドは更に勢いが出てきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。

◆重要な価格
高値20,967円　安値19,288円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。

NYダウ分析

※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。

◆現在のステージ
ステージ1
ステージ1は上昇期です。帯の間隔が広がり始めています。

◆今後を読み取る鍵
ステージ1の上昇期です。短期移動平均線と帯の関係を見ていきましょう。
・帯の間隔が広がり傾きが出てくれば上昇トレンドに勢いが出てきます。
・下降トレンドに移行する場合は短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。

◆重要な価格
高値21,242ドル　安値20,495ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。

小次郎講師のVトレーダー養成講座

今週も「正しい資金管理とは何か」を勉強していきましょう。

「余裕をもって取引をする」ことと、「最大限の資金効率を目指す」ことは、真逆の概念で、レバレッジがトレーダーにとって最大の武器ではあるものの、適正なレバレッジを超えると、命取りになるのも事実であることを先週記載しました。

では、レバレッジとはどういうものでしょう。例えるならば、レバレッジとは自動車のスピードのようなものです。自動車を使っても人間の歩く速さと同じスピードであるならば、本来目指したい目的地にはなかなか到達できずに自動車を使うメリットがありません。目的地に早く到達するためには、速いスピードで走るべきでしょう。とはいっても、150キロ、200キロと自分の危機回避能力を超えてスピードを上げていけば、事故につながる確率も急激に上がっていきます。場合によっては命を落とす危険も出てきます。

だからこそ、大前提として「破産しない範囲」という取引量を確りと認識して、それに基づいて「最大限の資金効率（レバレッジ）」を実現することが求められるのです。

「破産の確率」を学んだのもそのためです。1回当たりのリスク値がどの程度であれば適正であるかは確認していただけたと思います。1回当たりのリスク値が高くなるほど、破産の確率は上昇します。

「破産の確率」は1％以下が適正水準であることは学びました。

資金管理の鉄則は、負けトレードがある程度続いても破産しない資金量で、最大限の資金効率を目指すということです。そのルールを貫こうとすれば、次には、「破産しない範囲」をどのようにして計算するかが最大のテーマになるということも理解できると思います。

日本でよく語られている資金管理は、例えば「投資資金を10等分して、そのうちのひとつで、ある銘柄を買う」といった話になっています。確かに「破産しない範囲」を意識した資金管理には違いありません。その「ある銘柄」とはどういった銘柄なのでしょうか。大型株なのか、新興株なのか、それとも、株ではなく、FXや商品先物なのでしょうか。トレードする銘柄によってリスクは違います。株であっても現物株とくりっく株とではリスクの大きさが違ってきます。

ですから、投資資金を10等分して、そのうちのひとつで、ある銘柄を買うやり方は、資金管理の世界でいえば、それは残念ながら小学生レベルの話になってしまいます。

次週からは私が学んだ「タートルズのトレード手法」を勉強していきましょう。

移動平均線大循環分析の見方（簡易版）

移動平均線大循環分析とは？

3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ（優位性）が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。

＜移動平均線大循環分析＞

ステージとは？

3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。（下図参照）
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。